私の隣の家に住んでいる腐れ縁の幼馴染、彼の名前は恵 亮太。
彼は昔から変わっていた。外で遊んだりしなかったし、あまり他人と関わらなかった。私の母と亮太の母が仲良かったから、よく家を行き来してひと言ふた言話したぐらいだ。
彼はとても華奢で、女の私から見ても憎い程羨ましい。
‥まあ彼の外見は別に良いとして。
今、私と母は亮太の家に来ている。今日は高校の入学式があったので、ケーキやらを食べてお祝いをしようという事だった。
けど、当の亮太は高校から帰ってきた途端、自室にいつもの様に引きこもってしまったらしい。
テーブルでケーキを三人で食べようとすると、
「絵里ちゃん、亮太にケーキ持っていってくれないかしら?亮太ってば私が持っていっても返事もしないのよ‥、ドアも開けてくれないし。でも絵里ちゃんなら開けるわ、絶対」
亮太のお母さんは私が亮太に気があると思ってるらしい。
私は一切無い。
亮太はとろくて何考えてるか分かんないから、私が世話してやってただけなのに。
まあ、久々に亮太と世間話してやるか、と思いケーキと紅茶をお盆に乗せ、二階にある亮太の部屋へ向かった。
ドアの前に立ち、扉をノックする。
案の定返事は無い。
「おーい亮太、ケーキと紅茶持ってきたよ」
声を掛けても返答無し。
「ケーキと紅茶持ってき・た・よ!!」
ドアを片手でドンドン叩いても返答は無い。
「‥ケーキと紅茶持ってきたよっつってんだろ!!!!!!」
ドアに跳び蹴りしても何も聞こえない。ドアには鍵が掛かっているみたいだ。
「亮太!!ケーキと紅茶、私が喰っちゃうよ!!」
ドア叩きと跳び蹴りのダブルコンボ。これには亮太も流石に懲りたようだ。
「うるさい」
と一言部屋の中から小さく聞こえると、鍵がカチャリと開いた。
私はズカズカと亮太の部屋に入り込んだ。