「んっ、ふわぁ……いや! そこ……」  
ぐちゃぐちゃと乱暴に、音を鳴らしながら私の股間が掻きむしられる。  
それも幾本もの「腕」によって。  
私は幾人かの男たちに犯されている……わけではない。  
幾本もの腕……いえ、触手と表現した方が的確でしょう。  
幾本もの触手は、全てが一つの肉塊から伸びている。  
俗に「ローパー」と呼ばれる、奇っ怪な生物。  
先の丸まった円柱状の本体から無数の触手をうねうねと生やした魔法生物が、今私を犯している。  
「ダメ! 激しす……んっ! イヤ、もっ、もっと優し、ふあぁ!」  
抗議の声は途切れ途切れ。聞く耳は持たぬとばかりに、ぬめりとした触手で私を攻め続ける。  
元々粘着質な液体で覆われている触手に、  
私から分泌されるやはり粘着質のある液体が絡み、湿り気のある音を大きくさせた。  
「ね、これ以上は、んっ! ふぐぅ……」  
抗議の声を遮るためか、触手の一本が私の口に押し入れられた。  
こうなると手が付けられない。私はそれを悟った。  
この魔法生物と何度も体を重ねることで、私は彼の性格を把握していた。  
私たちの関係は、一言で言えば主従関係。  
従わせる者と仕える者。  
ううん、もっと的確に言えば、調教する者とされる者。  
そう、これは調教の一環だった。  
「んっ、くぅ……ん、くちゅ……ちゅ、くちゃ……」  
口に入れられた触手を、私は丁寧に舐め始めた。  
もう調教どころではないだろう。  
興奮しきった魔法生物は、ただ快楽を求め乱暴に私へ迫るだけ。  
ならお互いのためにも、ここは私も開き直って楽しむ方が得策。  
人間の肉棒よりもやや太めの触手。私はそれのどこに性感帯があるのかを知っている。  
知らなければ、私たちの関係は成り立たないから。  
乱暴に前後するだけの触手に、私は舌をピッタリと張り付かせ、そして彼の触手同様にうねうねと動かしている。  
ビクリと反応がある。その隙に、私は口に入れられた触手に手をかけ軽く握った。  
引き抜くためではない。しごくために。  
太さを除けば、扱い方は男性の肉棒と同じだ。私はイマラチオされながら攻めに転じている。  
チラリと本体を見る。彼は全身を震わせ快楽に酔っているようだ。  
だがそれも束の間。負けじと彼は攻めるために新たな触手を私へ向けてくる。  
 
「んふぅ!」  
思わず声が漏れた。彼は二本の触手を私の上半身ごと締め付けるようにしながら私の胸に巻き付けてきた。  
触手全体で圧迫と解放を繰り返しつつ、触手の先端は胸の先端、とがった乳頭をくすぐるようにころがしている。  
「んっ!」  
胸に気をとられていたところへ不意打ち。すでにぐっしょりと濡れた私の肉壷に、同じように濡れに濡れた触手の一本を進入させてきた。  
それだけではない。もう一方の穴……菊門へも触手の忍ばせてきていた。  
同時に二穴。なれてはいても、突然、それも一気に入れられては私も舌を止め声を出してしまう。  
「ちょっ、そんないきなりは……んっ!」  
やはり抗議は聞き入れられない。  
攻められていたはずの触手が、口内へのピストンを先ほどより激しくさせることで私の口をふさぐ。  
三点責め。一人の魔法生物によって、私は三つの穴を犯されている。  
「ん、くちゅ、んん、んふぅ……ちゅ、くちゅ、んふぁ、ん、んん……んんっ!」  
声にならないあえぎ声。室内はそんな甘い声とぐちゃぐちゃと激しい水音に支配されている。  
触手によって支えられている私の体は、いつの間にか床から離れ浮かされていた。  
そんな自由のきかない姿勢で犯され続けながら、私は自然と腰を振っている。  
「んん、ちゅ、えふ……んっ、んん、ん、くちゅ……」  
三つの穴に締め付けられた触手が震えている。そしてわずかに肥大してきた。  
これは前兆。彼が高揚の頂点へと駆け上がる前兆。  
そんな触手をさらに強く締め付ける私。これもまた、私にとって同様の前兆。  
「ん、えふ、えふ……ん、んん! えっ、んっ……ん、んんっ!!」  
穴に入れた触手も、体に巻き付いた触手も、全てがビクビクと震えている。  
射精こそないが、彼が逝った証。  
それに続いて、私も体を震わせる。そしてぐったりと力が抜けていった。  
 
「んっ……もう、ダメだって言ったでしょ?」  
ゆっくりと床に下ろされた私は、触手から解放された口でようやっと抗議の声を本格的に上げることが出来た。  
「まったく。興奮すると見境がなくなるんだから……」  
わずかに含まれる怒りの声色。  
状況を理解しているのだろう。彼はあれだけ幾多も伸ばしていた触手を縮ませ萎縮している。  
「いい? 女性はもっと優しく扱いなさいといつも言ってるでしょ。自分のことばかり考えないの。わかる?」  
円柱の本体がしゅんと前屈みになる。  
彼は主人の言っている意味をちゃんと理解しているようだ。怒られているということを。  
とはいえ、まだこの子を調教し始めてから日も浅い。  
この段階で、怒られているということを理解できるようになったのは、まぁ順調に調教が進んでいる証拠か。  
私は腰に手を当て軽くため息をつく。彼はさらに本体を曲げていた。  
「……ね、ちゃんと言うことを聞いてくれれば、もっとたくさんの女性と、もっと気持ちいいことが出来るようになるんだから」  
私は膝を曲げ、体を曲げたままの彼を抱擁する。  
そして軽くキス。わずかに、緑の体が赤く染まる。  
「がんばって、お店に出られるようになろうね。その為にも、ちゃんとご主人様の言うことは聞くのよ?」  
彼は曲げている体を、小刻みに上下させた。  
さっきは暴走したけれど、根気よく調教すれば予定より早くお店に出せるようになるかな。  
私が勤めている店「ローパールーム」では、私のような人間の調教師は珍しい。  
それでも私の腕を評価してくれるオーナーのためにも、この子を立派な「風俗ローパー」に調教しないと。  
「……コラ、言ってるそばから何してるの!」  
気づくと、触手が二本私のお尻を撫で始めていた。  
私の声にビクリと引っ込められる触手、私は頬をふくらませていた息をふぅと吐き出した。  
「ちゃんと言うことを聞いてくれたら……もっと気持ちいいことしてあげるから……ね、良い子にしてね」  
触手の一本を、私はそれを弄ぶように軽く握る。  
そして本体に吸い付くようなキス。そして舌をはわせ、つーっと軽く舐めあげた。  
「続けて欲しい? なら、言うとおりにしなさいよ?」  
本格的な調教は、ここから始まる……。  
 

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