「近い!近いぞ!感じる!ビンビンくるわい!」  
「おぬしもか!わしもじゃ!今までとはまるで違う空気を感じるのじゃ」  
「同士よ、水気ではないのかの?、まあ確かに予感を感ずるわ」  
「皆の者!聖地は近いぞ!最後のひと気合じゃ!」  
「応!!」  
 
暑苦しい塊に、より一層暑苦しい気合が入った。  
 
筋肉隆々の兄貴・・・元腐女子集団は今、最後のスパートに入っていた。  
池袋での屈辱に始まり、秋葉への望み、己が集団にのみ降りかかる障害。  
そして次々斃れ美少女に身を落としナマモノに嫁いでいった仲間たち。  
己が心への葛藤、そして新たに深まる誓い。  
様々な思いが、筋肉1人1人によぎった。  
そして今。彼らの目標は達成されようとしていた。  
「長かった・・・ほんと長かったわい・・・」  
「ばかものぉ!歓喜に涙するのは本懐を遂げられてからにせい」  
「そうじゃ、そうじゃったのう・・・」  
 
やがて仲間の一人が、いつもと違う風景を目にし、指さす。  
「あれを見よ同士よ!あの看板を!」  
「おお、あれはまさしくとら○あな」  
「アニ○イトの看板もあるぞ!」  
「○ッセ○ンオーもあるわい!」  
「間違いない!あれこそ秋葉。我らに約束された聖地なるぞ!」  
もはや咆哮といっていいほどの喜びの声を上げる彼ら。  
「まっておれ・・・日向殿・・・永遠の愛を貴殿に・・・」  
「越前殿・・・これからはずっと・・・」  
目を血走らせて、そんなうわごとを発しながら、  
彼らはついに、この地にたどり着く。  
 
地に足を踏み入れるや、あんなに激しかった逆流がウソのように消えうせ、  
街をもっとよく見渡せるようになった。そして、彼らの目の前にあるのは・・・  
 
美幼女、美少女、美姉さん、美熟女  
どこをどう見渡しても女。しかも必要以上に質の高い女達・・・。  
この光景に、彼らは戸惑いをあらわにする。  
「なんじゃ・・・なんじゃこれは・・・」  
「女共しかおらぬだと・・・?」  
「しかもこの不必要なまでの奇麗ぞろい・・・まさか奴ら・・・」  
「そんな・・・ありえぬ・・・そんなはずはない!」  
そんな彼(女?)らの疑念や否定が、次に響いてくる声によって打ち消された。  
その方角を向いた彼らは、今度こそ仰天した。  
 
あ・・・ん・・・だめぇ・・・  
いやぁ・・・アイドルはぁ・・・純潔であるべ・・・ひあっ!  
その他ファンのみなさんごめんなさぁいぃ・・・い・・いくぅ〜〜〜!  
様々なコスプレをした粒ぞろいの美少女たちが、  
往来でファンと称するナマモノ達に犯されている。  
中にはカメラ小僧もいて、耐水性カメラでフラッシュを連発していた。  
歩行者天国の萌え系ストリートライブかはたまたアイ○スか。  
いずれにせよ筋骨隆々の闖入者を受け入れる場面でないことだけは明らかだった。  
「ぬうおおおおおおおおぅおぅおおおおっ!!!」  
「なぜじゃあああああああぁぁあああぁあぁあああ!」  
「これは何たることぞ・・・」  
「わしらに約束された場面は!?」  
「美少年たちの、美少年たちによる、美少年たちのための失楽の園ぉおぉお」  
筋肉一人一人の困惑は、やがて憤怒へ替わってゆく。  
 
「やあたくましき人達。秋葉原へようこそ。ヲタ一族を代表して歓迎しようwww」  
後方から可愛い声を聞いたのはその時であった。  
振り向くと一人の美少女が立っていた。  
栗色ショートボブの愛らしい顔立ち、小柄な体をLLのシャツとズボンで包んでいる。  
「来ていただいたところ悪いけどさ、ここってやっぱ、  
メンズニーズ要素が強いらしくてさ。少年はおろか蓋すらないんだよねえ。  
いやほんと、遠路はるばる申し訳ないけどさwwwww」  
愛らしい少女の口元が悪戯に歪んだ。こいつは絶対申し訳なく思ってない。  
 
「おおおおおおおおお・・・・」  
やがて兄貴の一人が天を仰ぎ、ひざをついて慟哭する。  
それをきっかけに、次々と兄貴たちがひざをつき始める。  
なかにはorzの体勢となり号泣する者までいた。  
彼(女)らは、一人一人形こそ違えど、絶望していた。  
「池袋があんな状態だったというのに!不公平なり!理不尽なり!」  
「わしらは、いったい・・・何のためにあの試練を・・・」  
「これでは、散っていった多くの同胞たちが、浮かばれぬではないかぁっ!」  
しかし、中には、まだ希望を失わない筋肉もいた。  
「気をしっかり持たれい同士よ!わしらが立ち上がるのじゃ。  
わしらで新たなる腐の道を、貴腐人道を極めようではないか」  
気丈にも、絶望にうなだれる筋肉を賢明に説得する。  
 
だが・・・  
 
orzの体勢になり微動だにできなくなっていた筋肉の姿が  
ぐにゃぐにゃと変成し、一瞬関取のような女の姿になったが、  
やがてまたメタモルフォーゼしていく。  
「ど・・・同士よ・・・い、いかん!気をしっかり持つのだ!  
わしらの乙女心は永遠のものぞ!同士よ。同士よおおおおっ!」  
必死の説得も空しく、メタモルフォーゼは完成していく。  
それは、毒々しい緑色をしており、何本か蛸のような脚を持ち、  
真ん中に巨大な眼を持っていた。  
そして、何処に口があるのか、「それ」はたった一言、こう言った。  
「絶望!新たなる道!そしてシュマ○ラスでシュ!」  
言うや否や、それは足早に、目下凌辱中の現場へ飛び込んでいった。  
「こ・・・こは如何なること・・・」  
見回すと、他の筋肉も、同様にメタモルフォーゼを始めていた。  
変わるわ変わるわ、巨大イソギンチャクやら犬やら、得体の知れない妖怪変化。  
果ては某閉鎖空間のアメーバ状人型生命体までいる始末。  
 
「これは・・・わしらが忌み嫌っていた、あのナマモノども・・・  
ということは・・・腐たるわしらの運命とは・・」  
「そう、美少女となることをあくまで拒否したものは、  
それでもこの世界で生きる以上、もう一つの道を行くしかないってことさ。」  
後ろで、先程の少女が口を挟んでくる。  
「成程な・・・要は、凌辱せし側に廻るしか、ないということか・・・」  
「ご名答。でも、考えを変えればこれは必ずしも悪いことではないかもよ。  
何しろ今後、責めの立場として過ごすことが出来るんだぜ?」  
少女が淫猥に顔を歪ませながらそう言ってくる。  
「この世に、最早BLの神は存在せぬということか・・・  
だが私、さほど悲哀や絶望が沸いてこぬ。何故だろうか。  
しかもいつの間にか、声、口調まで変わっているようだ」  
「おまいさんの今の姿をよく見な。なかなかダンディに生まれ変わってるぜ」  
 
最後の筋肉が自分の姿を見ると、裸一貫筋肉テラテラだった自分の姿が、  
いつの間にかコートを着た一見怪しげな紳士のような姿になっていた。  
コートの中は暗黒で、正体不明の何かが居そうな雰囲気だったが。  
「これは・・・ふむ、物の本で見知ったことがある。  
吸血鬼の一種で、変幻自在な混沌を操る者・・・確か、教授だったかな」  
 
「ま、この世界もそう悪いもんでもないぜ。  
精々これからの快楽人生、思う存分満喫してくれ。それじゃ・・・」  
言いたいことだけ言って去ろうとしたまさにその時、  
少女の手をつかむ、1本の触手。  
その触手の元を辿ると、思った通り、最後の腐、最後の筋肉だったもの。  
今し方変身を完了した教授であった。  
「お、おい・・・これは何の真似だいジェントルメン」  
当然のことながら、腕を振って見ても容易に解けそうにない。  
「快楽人生か・・・ククク」  
今度は教授が口を笑みに歪ませる。  
「悪くはないな。確かに貴様の言う通りだ。  
元々紳士や教授という種には僅かながら憧れもあったしな。それに・・・」  
嗤いながら触手を増やし、少女を拘束にかかる。  
「この体になってから、性欲と女体への感情が止まぬのだ。  
単刀直入に言う、貴様の体、いや、全てが・・・恋しい!!」  
先ほどまでヘラヘラ笑っていた少女の顔に、ようやく焦りが見え出す。  
「な、なあ・・・冗談は・・・他に一杯、美少女はよりどり・・・」  
喋っている口を塞ぎ、己が体に抱き寄せると、教授はこう言い放つ。  
「勃きよ・・・触事の時間だ!」  
 
  * * *  
 
ひやー。まさかこんなことになってたとはねえ。  
妙な気合で激流を逆泳する腐女子兄貴たちに呆れ、一度は興味を失ったけど、  
せめて目標に辿り着く所までは見届けておきたいと思い、  
再びついていってみたら・・・。  
まさか彼(女?)らが、よりにもよって一番忌まわしいと思っていた、  
凌辱生命体になってしまうとは。  
しかも生命体としての本能が増大し、己が意志で逆らうことが不可能になる、  
要するに、「身も心も化け物になってしまう」ことになろうとはねえ。  
この世界は所詮、男にとって都合よく出来てるのか、と、  
一時は腹も立ったけど、よくよく考えると、彼(女?)らは襲う側。  
少なくともイニシアチブは彼(女?)らにあるw  
それを証拠に彼(女?)ら、嬉々として秋葉原の住人たちを「つまみ食い」している。  
 
先ほどのアイドル陵辱に参加できなかったタコアメコミは、  
手近にいた西天大聖少女に潜在投げ(包み込み投げ)を食らわしている。  
いや、投げではないだろう、何せ丸くなった自分自身にすっぽり少女を入れてしまい、  
そのまま中で少女の全身を愛撫し犯しまくってるからねえ。  
当分出す気はないだろうね。まさにこれ、オカスディメンジョンwwww  
 
かと思えば、うわあ、なんだこれ、  
アメーバみたいな奴だとおもったら、次第に人型を形成していって、  
触手を多岐に分岐させて、超常現象夢見がち女子高生団長をさらって  
コイツも自らの中に入れ、ついでに服も溶かしちゃって、  
やりたい放題しているし・・・・  
 
中でも目を引いたのは、こりゃ明らかに○学生じゃないかって少女を、  
マントを羽織ったどうみても変質者としか思えない奴に、  
良いようにイジラレまくってる所だ。  
少女は、その変質者の体に、顔だけ残して全身を埋没させられている。  
おおかた変質者の体は、触手か何かで構成されているのだろう。  
「ん、んぐっ・・・ぷはっ!ふ・・・腐女子なんぞ・・ぅあっ・・・にいっ・・」  
さっきから全身を責められて顔は真っ赤、眼はとろんとしている。  
にもかかわらず、体をびくびくいわせつつ、上記台詞を何とか口にする少女。  
「何を言うか、貴様こそ、元、容姿のままならぬ哀れな男ではないか。  
まだ反省が足らぬようだな。クックック」  
突然、少女の声のトーンが上がる。  
中でおそらく、急所責めが激しくなっているのだろう。  
「ひっ・・・んく・・・ひぐぅ・・・や、やめぇ、や・・・」  
責められる度に少女は反応する。それまで強がっていた声が弱々しい。  
その愛らしい顔はだらし無く緩み、舌を出して喘いでいる。  
「腐女子時代には考えも及ばなかった、肌と肌の触れ合い・・・  
それが、これ程までに素晴らしいものだったとは・・・  
相手が少年でないのが唯一の悔いだが・・・な」  
言うと、変質者は、少女の舌に自分の舌を絡ませ、  
そのまま口づけに移行する。  
クチュクチュと音がし、少女の体がまたピクピクと動く。  
 
「さあ、性を謳歌しよう!」  
 
 
それまですっかり弛緩しきっていた少女の表情があからさまに変わった。  
次の瞬間、びくびくびくっと体を反応させ、えびぞる少女。  
これ、やっぱり「接合」だよね・・・。  
「うぁ・・・うああああぁぁっ・・・はっ、はっ、あぁぁ・・・」  
強烈な圧迫と、後に襲いくる強烈な性感に、少女の眼は再び見開かれ、  
大きな叫び声が上がる。  
「あ、あっ、うぁっ、は、あ、あん、あうん」  
動きが早くなるにつれ、断続的なその声は、とてもなまめかしくなる。  
「良い感度だ。流石はこの町の住人だな」  
そういいつつ、すっかり赤くなった少女の耳を甘噛む変質者。  
それが止めとなったか、少女は2・3度強くひくついたかと思うと、  
「んあっ・・・うあああああああああっ!」  
叫び声を上げながらこれ以上ないほどエビ反り、絶頂する。  
変質者の方も、限度だったようで、  
「いくぞ、おおおおおおおおおおおっ!」  
少女と共にそう叫び、両腕でマントを少女に覆い被す。  
恐らく、中で「始めての射精」を味わっているだろう。  
変質者は、何とも言えない表情をしていた。  
 
「貴様と私は、なかなかの相性のようだ。  
しばしの間、夜伽相手を努めていただこう」  
そう言うと、マントの中から黒い鹿を取り出し、  
少女を乗せて、立ち去って行く・・・  
 
いやぁ〜久しぶりに見入っちゃったわよ、私。  
自分の好みではないとは言え、あれほど激しいもの見せられちゃ、  
心がときめいちゃうってもんだわよ。  
・・・さて、賢明な君達はそろそろお気づきかと思うけど、  
そう、私は便乗No1の、あのガッツさん。  
全身セクシーダイナマイツな、この世界じゃ異色の存在。  
腐女子筋肉達のヲチを当初の目的に、この街にきたんだけど、  
もしかして秋葉原なら、あらゆる萌えの殿堂であるこの場所なら、  
自分を受け入れてくれるものがあるかもしれない、  
という期待も、実はあったのよ。  
 
でもね、やっぱり・・・というか、だあれもあたしを見向きしてくれない。  
別に襲われたい訳じゃないけど、こうまで無視されちゃ腹が・・・  
いや、やっぱり襲われたい、誰か襲いなさいよ!  
そうなの、実は私、待ってたみたいね。誰かが来てくれるのを。  
今回の凌辱劇を見せつけられて、気づかされちゃった・・・。  
もういいわ・・・待ち続けるの疲れちゃった。  
こうなったら実力行使。私が、襲ってやるんだから。  
腕っ節には自信がある。生命体1匹なら容易に捕まえられるかもね。  
 
そこまで思った時、不意に私、高い場所に引きずられていることに気づく。  
良く見ると、私の腕に白い触手が巻き付いてるのが分かったわ。  
本能的に振りほどこうとする。腕力はあるのでなんとか振りほどくも、  
すぐさま別の触手に巻き付かれる、次第に数を増やして行く触手。  
突然、ものすごい声が、してきた。  
 
UOOOOOO!!スゥエ〜〜〜クスゥイイィダァイナマァイツッッ!!!  
 
「お、珍しいのが捕まってる♪」  
「御神体、御乱心?wwww」  
「ちゃうちゃう、御神体は守備範囲が神レベルに広いのさwww」  
「この筋肉さんも、出戻りにいくのかぁ、いいなあ・・・」  
 
え?え?私?襲われちゃうの!?!?  
そりゃ、選んでくれることは、うれしいけど・・・  
わ!わ!わ!いきなりそんな白い体に、私の体を沈めるんじゃない!  
ZBZBZBZBとめり込まれていく感触はあまりいいものじゃない。  
そうしているうちに全身愛撫が始まった。  
ちょwwwwwおまwwwww本気かよとwwwww  
あのwwww心の準備ってものがwwwwそのwwww  
って・・・  
 
 
アッーーーーーーーーーーー!!!!!  
 
 
 
 * * *  
 
 
 
てなわけで、今のあたいがいるわけよ。  
その後は、海岸に投げ出されるわ、妙なもん出産するわ、  
ついでに勇者に仕立て上げられるわで、とんとん拍子だったねえ。  
しかも、戦士ならいざ知らず、聖職者ねえ・・・wwww  
まあ、あるファンタジーラノベを読んだ影響があるのかしらねえwwww  
って、おい、あんたら・・・。  
全く、もう寝ちまったのかい。人がせっかく話してるのにさあ。  
まあいいわ、メンバーも増えたことだし、よろしくね、スク水ちゃんwwww  
 

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