暗いマンションの中、一人の女性がカチャカチャとコンピューターを操作していた。
亜麻色の髪に、銀縁メガネ、垂れそうな胸を気にせずガシャゴショと入れる。
「へー、これが新型『電子蟲』かぁ。」
うっとりとした目つきでそれを見つめる。彼女はハッカーと呼ばれる人間で、大学で機械工学の勉強をしている。
『電磁蟲』軍特殊部隊御用達のこの兵器は、西暦2138年から使用が開始され、
特殊部隊の対人兵器として無数の戦果を上げ続けていた。
彼女は、うっとりとした目つきでそれを見ると、そっと画面を撫でた。
カサカサと音がして、彼女は嫌そうに後ろを振り向く
「やだ、またゴキブリかしら?明日殺虫剤焚かなきゃ」
そう言ってまたパソコンへと向かう。
「……探査の通りクロか……では少しイタイ目にあってもらうぜ」
「ふぁあああっ。しばらく寝ようかしら」
そう言って大きくあくびをしてから横にあるベッドへ倒れこむように入る。
ネトリとした感触が腕に張り付いた
「何?これ?」
腕を上げてみると、緑色の液体がベッドにばら撒かれていた。眠気が一瞬で覚める。
回りを見渡すと黒ずんだ何かが部屋の中に数体いた。
「機械蟲?なんで私の部屋にそんなのが……」
「軍の機密を覗いた人間にはどんな罰が落ちたって仕方ないのさ」
そう言う声が何処からとも無く響く。
シュルシュルとワイヤーが一体から出てきて、彼女の体に巻きついてくる。
「ひっ!」
体を取り押さえられ、慌てて立とうとした所に、もう一匹が胸に張り付いてくる。
「あーあー、あんまり良い食生活してるとは言えないねえ。口臭するし肌はガサガサ。良い女が台無しだよ」
「貴方には関係ないじゃない!」
声を張り上げた所に機械蟲がやってきて、胸から粘液を彼女の口に流し込む。
「特殊部隊用の栄養剤だ。味はかなりまずいが、慣れれば上手くなる」咳き込む彼女を無視して、更に液体を流し込む。
「はぁはぁひぃ」
ビリビリと服が破かれて、巨大な胸が露出される。
汗ばんだそれに一匹の蟲が張り付いてツンツンと弄ぶ。
「感じ悪いなあ……まあ良い。何で、ハッキングなんてしたんだ?」
「ひゅひゅみです!」
「まあ、そんなところだな。どうせハッキングで手に入れる情報なんて虚実混ざってるのが真実だし」
そう言って、蟲達はそそくさと彼女から離れる。
「だが忘れるな。情報の中に1000に1つ真実がある、それを見つけたら……お前は死ぬ」
何時までも、その言葉が彼女の耳を離さなかった。