「ねえおばあさん。おばあさんのお口はどうしてそんなに大きいの?」
「それはね・・・おまえを、食べてしまうためさ!」
そう言って、おばあさんに変装していた狼は赤ずきんに襲いかかりました。
赤ずきんは目の前に大きくがばーっと開いた狼の口と、
その中に並ぶするどい牙を見て、気を失ってしまいました。
そして、狼は赤ずきんを・・・
「う・・・ん・・・」
目を覚ました赤ずきんは、ここは狼さんのお腹の中かしら、それとも天国かしらと思いました。
けれども赤ずきんがいたのはそのどちらでもありませんでした。
そこはおばあさんの家を囲む森の中にある、小さな湖のそばでした。
「お、狼さん・・・は?」
周りを見渡した赤ずきんは、自分の服の左肩あたりが破れているのに気がつきました。
点線のようなその破れ目は、まるで狼の歯型のようで赤ずきんは青くなりましたが、
赤ずきんの肌には傷も、痛むところも無く、服に血の跡もありませんでした。
「へへ・・・目を覚ましたかい、お嬢ちゃん」
声を聞いて、赤ずきんはびくっと振り返りました。
「お・・・狼・・・さん・・・」
銀色の毛皮に包まれた、大きな狼が二本足で歩いてきました。
恐怖に震えながら、赤ずきんは言いました。
「わ・・・私を・・・食べなかった・・・の?」
狼はにやにや笑いながら言います。
「俺は人間の肉なんか食わないよ。人間の肉ってのは不味いからな。
特にあんな婆さんなんかは骨と皮だけで食べられるところがありゃしねぇ。
食うのも嫌だから、ちょっと眠ってもらっただけさ」
お婆さんが無事だと聞いて、赤ずきんはほっとしました。
けれども、では、なぜ狼は赤ずきんをこんなところに連れてきたのでしょう?
「・・・けど、お嬢ちゃんの肉は柔らかそうで・・・美味しいかもしれないな」
「・・・ひっ・・・」
小さい悲鳴を上げてあとずさる赤ずきんに、狼はすばやい動きでまたたきする間に詰め寄りました。
「きゃ・・・っ!?」
狼は赤ずきんのあごを軽くつかんで、自分の顔を近付けました。
狼の吐息まで顔に感じられる距離で、赤ずきんは恐怖のあまり声を出すことも出来ません。
「ただ・・・今日の俺は、お嬢ちゃんを、”もう一つの意味で”食っちゃいたい気分なんだよ・・・っと!」
くいっ、と、あごをつかんだ手で赤ずきんを振り向かせます。
「・・・っ!?」
どくん、と、自分の心臓の音が大きく聞こえました。
振り返った先には、森の澄んだ空気が生み出す雲一つ無い夜空と、そして・・・
その夜空の中で、優しいけれど冷たい青白い光を投げかける綺麗な満月がありました。
「・・・ぁ・・・」
赤ずきんは、何かに吸い寄せられたかのように、満月から目を逸らすことが出来ません。
どくんどくんと、どんどん鼓動が大きくなります。
眼の奥に月光を受けていると、自分の中で何かが大きく膨らんでくるように感じます。
「・・・ぁ・・・あぁ・・・!」
赤ずきんは、全身から力が抜けるような感覚がして、地面に倒れこんでしまいました。
「ふ・・・ゃっ、ぁ・・・」
地面にへたり込んだまま赤ずきんは、
右手で自分の左肩を、左手でその右の二の腕を掴んで震えていました。
体の奥底が何か熱くてたまらないのに、全身に鳥肌がたっています。
くすぐったいような感覚が肌をつたって、服に擦れるだけでも変な声が出てしまいます。
「あ、あ・・・ふ」
すると、うつ伏せになってるお尻のあたりに、何か変な感覚がしました。
パンツの中に何か変なものが膨れあがって・・・
パンツが破れちゃうと思った瞬間それは衣服のふちからしゅるっとはみ出しました。
「な・・・なに・・・?」
肩越しに自分のお尻の辺りを振り返ってみると、そこには白いふさふさの毛に包まれた・・・
「・・・し・・・しっぽ・・・!?」
そう、尻尾がありました。
「ひゃううぅっ!?」
思わず右手で掴んでみると、赤ずきんの全身に電撃のような感覚が走りました。
「な・・・なに、これぇ・・・」
今までに味わったことの無い感覚と、自分の体にあらわれた異状に赤ずきんは混乱するしかありませんでした。
「ふ・・・ぇえ・・・ふぁあああん・・・!」
鳥肌とともに全身を走るむずがゆさのような、くすぐったさのような感覚も増すばかりです。
その感覚に翻弄されるうちに、赤ずきんはだんだんとそれが気持ち良く感じるようになってきました。
その感覚とともに手足がだんだんと体毛に包まれていくのを見ながらも、赤ずきんは何も出来ませんでした。
ずきんの中で、耳も大きく広がって、顔までもその形を変え始めました。
「や、いやぁ・・・あ、あぅ・・・あ・・・あ・・・」
顔の奥で、骨までその形を変えているのを感じながら、それでも痛みは感じませんでした。
鼻と口が大きく前にせり出すのも、赤ずきんにとっては気持ちいい感覚なのです。
服の中も体毛でむずむずして、こそばゆくて、体をもぞもぞと動かしてしまいます。
「あっ、あ・・・あおぉ・・・・・ぉおんっ!」
夜の森に、子犬の鳴き声のような声が、響きました。
「・・・!?」
その声が、自分が上げたものであるということに気付いて、
赤ずきんが慌てて自分の手で口を触ると、小さいけれど尖った牙と、濡れた鼻が指に触れました。
さらにその手のひらにもぷにぷにと柔らかい肉球があって、それぞれの指先からは鋭い爪が生えていました。
「・・・・・・!」
赤ずきんが、這うようにして湖のふちに近付き、その水面を覗きこむと、
そこにいたのは、真っ白な体毛に包まれた、見た目は子犬のような、一匹の小さな狼でした。
変化と一緒に感じたあのくすぐったいような気持ちいい感覚は、
赤ずきんの変身が終わると、すっと体から引いていってしまいました。
けれども赤ずきんの体の奥は熱いままです。
こんな姿になってしまったという戸惑いと悲しみの中でも、
もっとあの感覚を感じたい、という願いを、赤ずきんは胸の中から追い出すことが出来ませんでした。
「ああ・・・どうやら、終わったみたいだな」
その声で、赤ずきんは狼の存在を思い出しました。
「お、おおかみさん・・・これはおおかみさんが・・・?どうして、こんなこと・・・!?」
狼はまだうつ伏せにへたり込んでいる赤ずきんの後から歩み寄ってきました。
「どうして・・・って・・・もう言わなくてもわかるんじゃないのかな、お嬢ちゃん?」
狼は、赤ずきんに向かって手を伸ばしました。
「・・・本能で、ね」
くちゅっ
「ふ、ふああっ!?」
狼は、赤ずきんの下腹部を、パンツの上から撫で上げました。
赤ずきんのスカートは尻尾でめくれ上がってしまい、ちょうどパンツが丸見えになっていたのです。
赤ずきんは今になってそのことに気付き、毛皮に透けて桃色になるほど顔を真っ赤にすると同時に、
パンツがびしょびしょに濡れていることにも気付きました。
おもらししてしまったのかと一瞬さらに恥ずかしくなりましたが、
その布地を濡らしている液体はおしっことは違うのがわかりました。
何故って、それは、犬のように鋭くなっていた赤ずきんの鼻が、そう感じていたからです。
・・・これは、おしっこ以上に、恥ずかしい匂いだと。
狼は赤ずきんの濡れた下着を脱がそうとして、しかしじれったくなって、その布を引き裂いてしまいました。
そして、あらわになったその場所を、狼はその舌で、舐め始めたのです。
「っくぅん・・・ふぁ・・・や、やぁ・・・そんなとこ・・・なめちゃ、やぁ・・・」
そんな所に舌を這わせられる恥ずかしさに、赤ずきんは涙を浮かべつつ拒絶の声を上げました。
しかし、同時に赤ずきんは、変身のときと同じ気持ち良さを感じている自分に気付いていました。
「嫌じゃないだろう?もうお嬢ちゃんの体も、発情しちゃって、メスの匂いぷんぷんさせてるじゃねぇか」
「はつ・・・じょ・・・?」
口を離して言う狼に、赤ずきんはかすれた声を返します。
知らない言葉でしたが、なんとなく意味はわかりました。
きっと、今の自分みたいに、気持ち良くして欲しい。「そこ」を舐めたり、いじったりして欲しい。
・・・「そこ」におっきな・・・「何か」が欲しい。そういう気分を言うのでしょう。
そして、赤ずきんは、自分の体から出る甘いような熱いような匂いが「めす」の匂いなのだと思いました。
「お・・・おおかみさんも・・・『はつじょ』・・・してるの?」
「ああ、そうだよ。お嬢ちゃん」
でも、そう聞いて振り返って見ると、狼の「そこ」には自分と違って変なものがついています。
昔、小さな男の子と水遊びしたときに見たそれは「おちんちん」と呼ばれていましたけれど、
狼のそれはそのとき見たものよりあまりにも大きくて、同じものとは思えませんでした。
でも、それを見ていると赤ずきんは変な気持ちになります。
胸の奥がきゅうっと締めつけられるような、頭がぼーっとするような気持ち。
お腹の下の、舐められたところがひくひくして、パンツを濡らした恥ずかしい匂いの水がぽたぽた零れ落ちます。
「・・・ほ、ほしい・・・」
赤ずきんは思わず、自分でも意味がわからないままに、そうつぶやいていました。
「欲しいのか?」
「ほ・・・ほしい、の・・・」
うわごとのように繰り返す赤ずきんを見て、狼は笑いました。
「そうか・・・じゃあ、あげよう・・・っ!」
赤ずきんの腰を掴んで・・・狼は、一息に、赤ずきんのそこを貫きました。
「・・・っふぁ、ああーっ!?」
発情した赤ずきんははじめての痛みさえ感じませんでした。逆にそれは”気持ち良すぎました”。
洪水のように押し寄せるその感覚に、赤ずきんは何も考えられず、呼吸も忘れて悲鳴・・・いや、鳴き声をあげます。
狂ってしまいそうな感覚の嵐の中で、自分の意思とは関わりなく、尻尾がぱたぱたと揺れているのを感じます。
「・・・っ、ぐっ、ふ・・・ぅっ!」
狼も、大きな性器を一回りも二回りも小さな赤ずきんに挿れて、きつ過ぎるほどの締めつけを感じながらも、
快楽の中で、赤ずきんの今にも裂けそうな小さな尻に自らを打ちつけます。
狼のその荒い息を聴いて、赤ずきんは、狼も気持ちいいんだとわかりました。
この気持ちいいことを、狼どうしでやりたかったんだと「ほんのう」でわかりました。
「ほら・・・お嬢ちゃん、もっと尻あげな・・・!」
「っきゃうぅうう!」
狼が尻尾の根元を掴みます。すると背骨全体にびりびり気持ちいい感触が走って赤ずきんは尻を高く上げてしまいます。
「っく・・・どうだぁ?尻尾って感じるだろぉ?」
「はう、う、うん!い、い、きもち、い・・・っ!」
「へへっ、人間のままじゃ味わえなかった感覚だろ?狼になって良かっただろ?」
「うん、うんっ!!あ、ああっ!おおかみ、って、い、いいっ!」
赤ずきんは「ほんのう」のままに、自分でも腰を振りながら・・・「終わり」が近付いてくるのを感じました。
「ふぁっ、あひ、あ・・・も、もう、だ、だっ、だめ、ぇっ!!」
「も、すこし、がまん、し、ろっ!おれ、も・・・っ!」
「ひゃ、あ、あ、あ、あ・・・・・・!!」
赤ずきんは、全身をこわばらせ、鳴きました。
「あぁああああぁぁぁあ・・・・っ!!」
「うぉおおおおぉ・・・・ぉん!!」
狼も雄たけびをあげながら自分の欲望を赤ずきんの中に解き放ちます。
赤ずきんは、ほとばしる熱いものが自分の体の奥の奥を叩くのを感じて、
悦びの鳴き声をあげながら、気を失いました・・・。
ある村に、とても優しい女の子がいました。
女の子はいつも赤いずきんをかぶっていて、それがとても良く似合っていたので、「赤ずきん」と呼ばれていました。
赤ずきんはよく、森に一人で住んでいるおばあさんのお見舞いに行っていましたが、
近頃は以前にもまして、月に一回は泊り込みでお見舞いをしに行きます。
村人はその優しさにとても感心しているのですが、
赤ずきんが泊まりに行った月夜の晩に、毎回のように森から狼の遠吠えが聞こえて来るので村人は心配しています。
聞こえてくる狼の遠吠えには二つの鳴き声があって、一つは恐ろしげな低く野太い鳴き声であり、
もう一つは子犬のような高い鳴き声であったと言います。
〜「赤ずきん」終わり(書庫から見つかった幻のもう一つの原稿より)〜
<追記>
ある満月の明るい夜、私が森を散歩していると、狼に出会った。
その狼は柔らかそうな白い体毛に包まれており、
誰かがかぶせたのか、頭を覆う赤いずきんの良く似合う、子犬のような可愛い狼であった。
〜「シートン動物記」(何者かにより削除されたページより)〜