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部屋の中でビデオテープが流されている。  
隠しカメラでとったきたものだ。画質は悪い。  
 
部屋には誰もいない。  
もみあいがあったように散乱していた。気のせいか血痕らしきものも見える。  
しばらくするとビデオの再生が終わった。  
 
ガチャリ。  
 
巻き戻しが始まった。映像は延々とリピートされていた。  
 
ガチャリ。  
 
最初まで巻き戻り、そして再生が始まった……  
――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
 
映像は固定されたまま薄暗い部屋を映していた。  
部屋の奥にはひび割れた窓がある。  
ガラスの向こう側は闇、夜のようだ。激しい雨が降っている様子が見て取れる。  
 
そして中央に人間が3人いた。  
女が二人、男が一人。  
 
女の一人は壁を背にして座り込んでいた。  
胸元がV字型に大きく開いた半袖のTシャツに  
下着が見えそうなくらいの青いマイクロミニという格好である。  
肩まで伸びている長い栗色髪がすらりとした顔立ちと良く似合っていた。  
今にも布の少ない服からこぼれだしそうな肉感的な体であった。  
いかにもタチの悪い連中と遊んでいそうな女である。  
20代前半、いや大人びて見えはするが10代後半かもしれない。  
 
その若い娘が、顔を青ざめさせて全身をガクガクと震わせていた。  
 
もう一人の女は若い娘と向き合って、  
つまりこちらに背を向けて突っ立っていた。  
全裸であった。  
やはりそれなりに若い体つきではあるが、異様に青白い肌をしており、  
全身が粘度の高い液体で濡れそぼっている。  
なにより、  
 
体中から肌を突き破って直径5ミリほどの細い触手が無数に生えていた。  
 
そして男は。体育会系のがっちりした体の男は、  
その『化け物』の左手におかしな方向に捻じ曲がった首を掴まれ、引きずられていた。  
 
化け物は男の死体をどさりと床に投げ捨てた。  
そしてズルリと一歩踏み出した。そしてまた一歩。  
娘は口をパクパクさせているが声が出ていなかった。  
そして化け物に両肩を捕まえられ、初めて娘の悲鳴が部屋の中に響き渡った。  
 
「いやああああああ!!」  
 
女は化け物の手を振りほどこうとした。  
半ば見えてしまっている素晴らしく大きな胸がブルブルと左右に揺れた。  
怪物は無言で、たっぷりとしたその震える肉に指を食い込ませる。  
「ばけものぉぉぉ――――っっ!?」  
女の声には一向に構わず、化け物は体を摺り寄せてゆく。  
「ひぃっ!? 冷たいっ!」  
女の悲鳴と共にびくりと体を硬直させる。そしてそのまま  
どさり。と二人もつれて床に倒れこんだ。  
 
そこで初めて化け物の顔が映像に映し出された。  
 
非常な美人ではあるが、恐ろしいくらいに無表情な顔は痩せこけ、目が白く濁っていた。  
「ひぃぃぃぃぃ!!」  
娘が悲鳴を上げ続けていたが、その柔らかく震える体はそのような状況にお構いなく  
『ぎりぎり太りすぎていない』淫らな女の体を雄弁に語っていた。  
 
それを眺めた化け物の眉が一瞬動いたように見えたのは気のせいだろうか。  
 
化け物は体を絡ませると、若い女の柔肌を楽しむかのように愛撫しはじめた。  
「……っ!?」  
なにかを察したのか、女はミニスカートから伸びる白い太ももをギュッと締めた。  
だがその情欲が形となったような体では逆に妙に艶のある仕草でしかない。  
「いやあっ! いやあぁぁぁ――――――っ!!…」  
体に触れる氷の肌と触手の薄気味悪さに娘は涙を浮かべていた。  
 
ぴちゃ…ぴちゃ…  
 
化け物の体を覆う液体に彼女の体は濡れてゆく。  
ぴちゃ…ぴちゃ…  
服と同じようにやはり布の少ないブラジャーが透けて見えはじめていた。  
いや、  
「服が…っ!? …っいやぁぁぁっ!!?」  
服が溶けはじめていた。見る見るうちに穴が開いてゆく。  
「いやああああぁ! たすけてぇぇぇ――――っ!!」  
ぴちゃ…ぴちゃ…  
「気持ち悪い…っ! ひぃぃぃ――――っ!!」  
ぴちゃ…ぴちゃ…  
彼女はまるで蝋人形のようになってゆく。  
 
そして  
 
………………ハア…ッ。  
 
熱い吐息が小さな口から漏れ出したことに彼女自身が驚いていた。  
「…………あ?…あ? …なに…?」  
なにが起こったのかわからないようであった。  
わからないまま彼女の大きな丸い瞳も  
 
蝋人形のように淀みはじめていた……  
 
ぴちゃ…ぴちゃ…  
 
「あ、ああ…いや…いやぁ……」  
力が入らないようであった。  
「…そんな…あ、私?…ああ…」  
つぶやきながら力なく頭を横に振る女。  
声にははっきりと甘い調子が混じりはじめていた。  
怪物は床にこぼれだした体液を掬い取り、ローションのように彼女の細い胴に塗りつけた。  
「はぁう!?」  
ビクンとする娘。  
 
化け物を覆う液体は触れるもの全てを溶かしてしまう作用があった。  
 
ぴちゃ…ぴちゃ…  
化け物は娘の体からふくよかに突き出た二つの丸い丘をこね回す。  
「んくっ!?」  
ほんの軽い仰け反りだった。  
が、溶けて脆くなったシャツとブラジャーは耐え切れず、  
ブツリと布が千切れ飛び、見事な形をした乳房がこぼれ出た。  
 
「ぁうぅ! …はぁ、あぁぁ…」  
娘は少しずつ、だが全てを溶かされてはじめていた。  
服も、意思も、その艶やかな肌も。  
 
露になった乳房の茶色の円の中心を指で擦りたてられる。  
「…っぁっ!?」  
そのまま丘の頂の円の中心で指をくねらされると  
見る見るうちに小さな頂が現れ、娘はあっという間にあえぎだした。  
「…っはぁ…あぁ…? …ぁぁっ!!」  
 
そして液体に溶かされる度に、彼女の肉体にはとてつもない快楽が生み出されていた。  
 
「あぁぁああああ――――っっ!!?」  
腰に化け物の舌が這うと彼女は床の上で跳ねた。  
ヌルリと氷のような舌でそのくびれを舐めあげると  
出したくないはずの嬌声をあげながら彼女は官能に打ち震える。  
「ああぁっ! ぁ! ぁああぁっ! そんな! …はぁぁ…わたし…そんなわけ……ああっ!?」  
娘は身の毛がよだつ程に感じさせられていた。  
 
耳を噛まれると体を突っ張らせて硬直させた。  
「ひっ!?」  
女はそれだけでイキそうになっていた。  
「あ! あ!? だめ! だめっ!!」  
耳の裏をちろちろと舐める。  
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、ああぁ! そこだめええぇぇ――――!!?」  
ブルブルとそのしなやかな体が強張り、女は絶頂を迎えてしまった。  
「あ!? あぅ! いや…やめてぇぇぇ…っ ああっ!」  
とめどなくこぼれ落ちてしまうあえぎ声。  
若い健康的な体は性感が次々と開花してゆくのを止めることはできなかった。  
 
化け物は体の細い触手達をも彼女の体に巻きつけはじめていた。  
 
指よりも細い触手についている小さな小さな棘が肌を引っ掻くたびにむず痒く、  
たまらない気持ちが注ぎ込まれてゆく。  
「あああぁぁあ……っ!? はぁあ!?……いやぁ!…だ!…め…!」  
体中を触手が這うだけではない。  
片方の手で豊満な胸を揉みしだく。舌で耳を、背を、首筋を、いたぶり続ける。  
「ひぃ!? んあぁっ!? 」  
体液に濡れたふとももの間をぬるりと通り、化け物の指がいともたやすく奥に入り込んだ。  
そして指の先から飛び出た触手を彼女の女芯に絡みつかせた。  
経験したことのない奇妙な感覚に娘は悲鳴を上げた。  
「あああぁぁっ!!?」  
 
そのままその小さなひっかかりを絞り上げるように巻きしめる。  
指の先を軽く震わせると女の敏感な肉芽が細かく上下に擦られ、腰が跳ねた。  
「あっ!? いや…っ!? あ…!? はぁぁっ!!?」  
どろりと彼女の奥から熱い蜜が溢れ、床に新たな染みを作ってゆく。  
その間にも、若い女のかわいらしい悲鳴があっという間にうわずってゆく。  
「やだ! んあぁっ!? ぁだめ! だめ! だめぇぇ!! んああぁぁあああ――――っ!!?」  
再び体を強張らせ、娘はさらに高い絶頂を迎えてしまった。  
 
身悶えながら娘はどんどん溶かされる。  
 
体に染み入る液体は細胞一つ一つを侵し、そうして本能がむき出しになっていった。  
もしかしたら隙を突いて逃げ出せたかもしれなかった。油断している怪物を跳ね除けて。  
だが彼女の本性は。  
抱いて、と豊満な肉体を男の前に晒し、犯して、としなやかに体をくねらせ誘う、その本性は。  
 
悲しいことに『淫乱』であった。  
 
彼女は否定したかもしれない。  
だがその淫らないやらしい肉体は与えられる快感に悲しいほど反応し、歓喜の声と共に受け入れていった。  
 
グチュグチュクチュグチュクチュ……  
淫靡な音が彼女自身の蜜でドロドロになっている股で鳴り響く。  
 
化け物の指と触手が激しく踊り続けている。  
「あ! あひぃぃぃぃ!?」  
膣の中に指をもぐらせ、Gスポットを擦り、子宮口を触手でなぶり、  
菊座の中を3本もの触手が蠢き、尿道にすら触手が侵入する。  
程よく熟した女の肉体に未知の快楽を生み出していた。  
 
怪物の手がわずかでも動くするたびに彼女は顎をそらし、全身をブルブルと震わせる。  
「あ…ぁあ…っ…ゆるして…っ……ゆるしてぇぇ…っ」  
なにを許して欲しいのだろう。恍惚とした顔で。股を大きく開き、自分で腰を前に突き出しているその狂態で。  
「あ! あ! ぁ!…あはあああああぁぁっ!?」  
ガクガクと果てる。燃え盛る情欲はとどまることを知らない。  
「あ…あ! あ! あっ! あん! あんっ! あはぁぁぁんっっ!?」  
何度も何度もイき続ける彼女の足が横に転がっている男の死体を蹴り飛ばした。  
だが、まるで気にしてはいない。  
いつの間にか、怪物は自分の股と女の股を擦り合わせ、上下に振りはじめていた。  
グッチュグッチュ  
「あああっ!?」  
グッチュグッチュグッチュグッチュ  
その牝は、すぐに動きをあわせて腰を振りたくりはじめた。  
「……いい…! ああ……ああっ! あぁっ! 気持ちいい! ものすごく気持ちいいっ!!」  
「んあぁ…っ! 溶けそう…っ! よすぎて溶けそうぅっ! …ああぁあっ! わたし…っ溶けちゃうううぅぅ――――っ!!」  
彼女は汗と体液でびしょ濡れになった体を跳ねさせた。  
「き、気持ちいいのっ!! すごい気持ちいの!! なんで!? うそ……うそよ…わたしそんな…ああ…っ!?  
 こんな怪物に犯されて…っ!? どうしてこんなに気持ちいいのぉぉぉ――――っ!?」  
 
それは溶けて消えてゆく最後の理性の叫びであった。  
 
若い女があられもなく悶えていた。  
グチュッグチュクチュッ  
「ああ! きもちいい! きもちいのぉぉ?!」  
グチュッグチュクチュッ  
「いや……ぁ! いやいいやいやぁぁぁああ!?…あぅっ!…あぅんっ!!」  
卑猥な声をあげながら。  
大脳は既に溶けてしまっている。もう彼女はなにも考えられない肉人形。  
ただ本能を司る小脳だけが強く刺激され、どこまでも快感を求め果て続ける、若くて健康的な長持ちする肉体。  
 
そして突然化け物が体を震わせ、動かなくなった。  
触手達がいっそう激しく蠢き、娘はさらに喜び、あえぐ。  
 
やがて化け物の膣からドクドクと脈打つ器官のような塊が這い出てきた。  
 
そして、それはそのまま女の、  
化け物が動かなくなったことに気がつかずに壷合わせで腰を振っている彼女の膣に侵入しはじめた。  
娘は違和感にわずかに顔を曇らせたが、次の瞬間、無数の触手が中でのたくる感覚にひときわ甲高い嬌声を上げた。  
振り乱れる腰の中にズルリズルリと入っていくその塊を女はさらに大きな甘い声を出し喜びながら迎え入れる。  
そして、塊が全て中に入りきったとき、彼女は雷に打たれたように体を震わせ、  
その場に崩れ落ちてしまったのである。  
 
しばらくして、彼女は目を覚まし立ち上がった。  
 
表情のない顔。  
横に倒れている『怪物であったはずの干からびた死体』を興味なく見つめると  
やがて彼女は足を引きずるようにして立ち去っていった。  
体中から粘液を滴らせながら。  
 
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部屋の中でビデオテープが流されている。  
しばらくするとビデオの再生が終わった。  
 
そして手が伸び、ビデオテープが取り出された。  
 
「ふうー、まさか『継ぎ』の儀式を盗み撮られるとはねえ。  
 いやいや! ご安心下さい触手様! 私めがちゃーんと処分しておきました。  
 もう大丈夫。そう、全て私に任せていただいて大丈夫でございます!  
 無事あなたの子を育て上げて見せましょう!  
 ああ、なんと言う喜び!! え? それよりも次の生贄? お任せ下さい、次はとびっきりの日仏ハーフを…  
 アヒャヒャヒャヒャヒャ!!」  
 
 
あるフリーカメラマンの変死体が見つかったのは数日後のことである。  
犯人はいまだ捕まっていない……  
――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
[終わり]  
 

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