「やんっ! はんっ!?」  
あられもない声が響いた。  
「あっあっあっ! ああっ!」  
グチュグチュと淫らな水音を立て、  
女の穴にたくましい肉棒が叩きつけられるたびに若い彼女は顎を跳ね、汗の雫が飛び散る。  
「んっ…んっ…んああぁぁ……。…っと…も…突いてぇっ」  
整った眉にあらんばかりのしわを寄せ、悩ましくねだる。  
四つん這いになった彼女の、その艶かしい腰つきはとても嫌がっていたとは思えない。  
急に腰はがっちりと掴まる。  
素早かっただけのストロークが急にねっちりとした動きに変わる。  
「…あ……はぁぁぁ……ぁぁぁぁぁ――――っ!!?」  
新たな形の快感に栗色の細やかな髪を振り乱した。  
 
決め細やかな真っ白な肌をびっしりと細い無数の触手が這い回っていた。  
 
女はグラビアアイドル志望であった。  
年は20歳。  
 
が、事務所はまったく仕事をくれなかった。  
まだ早いだの、ライバルが多くて時期が悪いだのとはぐらかし続けた。  
 
事務所もやる気がないわけではないのだろう、  
針治療、マッサージから運動、毎食の食事まで美容を磨くための様々な行為を無償で提供してくれていた。  
この一年はなんだかよくわからない高いサプリメントまで飲んでいた。  
 
そのせいか、今や彼女の体は自身も息を呑むくらいの妖艶さをまとっていた。  
整った顔立ち、「ぎりぎり太っていない」肉付きの良い体。  
吸い付きそうなきめ細やかな白さの肌。  
漫画雑誌のクイーン程度は楽に獲れるであろう肉体だと思った。  
 
でも実際は。  
16のときに上京して4年間、ほんの数回雑誌モデルの仕事が入っただけである。  
これでは読者モデルと変わらない。  
マネージャー以外の業界関係者にすらめったに会えないくらいだ。  
さすがの気の強い彼女もあきらめがつきはじめた。  
 
もう田舎に帰ろう。と思った矢先、仕事が入ったのであった。  
 
「なんの仕事ですか?」  
緊張しながら聞いてみたが、マネージャーはお楽しみ。  
と何も答えてくれなかった。ただ、時期が来た、とだけ言っていた。  
 
とりあえず、渡された服を着替えた。白いひらひらした清楚なワンピースだった。  
CMの収録かな? と考え。  
 
それから記憶は終わっていた。  
 
「う…なに?」  
体を動かそうとした。だが、両腕が動かない。  
縛られて、宙にぶら下げられていることに気がついた。  
女は周辺を見渡したが、真っ暗で何も見えない。  
 
どこからか音が聞こえる。水でも流れているのか。  
「…神よ………す」  
声が聞こえた。  
「……っ? なに? なんなの?」  
「ちょっと、ここどこなの?」  
不安に満ちた声で呼びかける。だが返事はない。  
「神よ……」  
声は聞こえる。  
「ちょっと返事してよ!」  
ついに声を荒げたとき、周辺の声が聞き取れた。  
 
「神よ、生贄をお受け取りください」  
 
その瞬間縄が切れ、彼女は落下した。  
 
なすすべもなく彼女は下に落ちてゆく。硬い床の衝撃を想像したが、  
 
グニャリ。  
 
変な感触であった。変に生暖かく、変に濡れている。  
そして、薄暗い光に慣れたとき、  
 
壷状の部屋いっぱいに蠢く無数の触手の上にいる自分に気が付いて彼女は絶叫した。  
 
「いやぁぁあああぁぁ!!? なにこれぇぇぇ!?」  
まるでミミズであった。あまりの気持ち悪さに鳥肌が立つ。  
おぞましいだけではなかった。その触手達は彼女に反応したようである。  
 
小指ほどの細い触手がゆっくりと彼女の体に伸びてきていた。  
 
「ひぃぃぃぃ!?」  
狂乱状態に陥る。  
立ち上がろうとしたのに腰が抜けてしまっており、動けない。  
「いやあああああ!!」  
絶叫する。必死でもがく。だがそんな努力もむなしく、  
 
体が触手の中にだんだん沈みはじめていた。  
 
「やぁあああぁぁぁっ!!?」  
意味もなく腕を掻く。  
やがて振り回す腕にも細い触手が巻きつきはじめた。  
「だ、誰かっ……!! たすけてええええぇぇぇ!!」  
 
絶望の声が響いた。  
 
「ひぃぃぃぃぃぃぃいっ!!」  
触手に胴体まで飲み込まれ、もがく白い肉体に触手がまとわり付いている。  
「きぃひぃぃぃぃっ!?」  
一本一本が独自にのたくる異様な感覚に娘は発狂しそうになっていた。  
 
そのうわずった声に一本の触手が頭をもたげた。  
先には何か小さな鉤が付いている。  
それはわめく彼女の二の腕を伝い、首をスルスルと伸びていき、  
 
彼女の耳にずるりと入り込んだ。  
 
「あうっっ!?」  
妙な感覚に彼女はビクンと体を震わせた。  
引き抜こうとするが、絡みつく触手のせいで腕が上がらない。  
「あぐっ!? ぐううぅっ!?  
そのうちに細い管が鼓膜を破り、三半規管を掠め、耳管を通ってゆく。  
若い女は激痛にのたうった。  
「は……っ! かっ…………!! う……っ!!」  
頭をガクガクと揺らし、目の焦点が定まらなくなった。  
「……………」  
そして悲鳴が消えて数秒。  
 
 
「………は…ぁぁぁ……ぁぁぁ……ぁっ……」  
 
熱く湿った音がゆっくりと細い喉から絞り出された。  
 
「あ……? ああ、あ?」  
 
頭に入った触手にどんな効果があったのか。  
理性と本能の境が混濁してゆく。  
「ぁあ? わたしぃ……こんなもの気持ち悪いはずなのにぃ…?」  
気持ち悪いはずの触手が、体中を嘗め回す存在でしかなくなっていることに戸惑っていた。  
耳に入った触手も痛いと思わなくなっていた。  
 
そして下着の小さな三角の生地の上を触手が這った瞬間、  
「あ!?」  
ビクリ。  
「あぁ…いまの……なに?」  
狼狽する彼女であったが、さらに触手達がうねり、彼女の股間を擦る。  
「あぁぁんっ!?」  
女は朦朧としながらも意識してしまった。  
 
触手の動きが気持ちよい、ということに。  
 
その途端に全身を覆う触手達の、ただのくすぐったい這いずりが  
みるみるうちにたとえようもない甘い刺激に変換されてゆく。  
さわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわ。  
「あうぅううぅっ!!」  
白い肌があっという間に桜色に染まる。  
さわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわ。  
「ふぅぅん!!?」  
乳首が立ってゆくのが服の上からでもくっきりとわかる。  
さわさわさわさわさわさわさわさわさわさわさわ。  
「うはぁぁぁあああっ!!?」  
みずみずしい肉体が細かく震えはじめた。  
 
「んあぁ…ぁぁあ……あはっ!!」  
理性の堰なぞは頭の内の触手にとうに打ち砕かれていた。  
 
むっちりとした太ももの間に己が指を差し入れる。  
彼女は服にラインが出ないようにTバックを着けていた。  
そのわずかな布を人差し指で簡単にずらし、たっぷりとした秘肉をさらけ出す。  
そして情欲に駆られるがまま  
腰を浮かし、触手の波にその肉の芽を自ら擦り付けてしまったのであった。  
「ひゃぅん!?」  
一瞬動きが停止する。  
グラインドさせた途端。痺れるような感覚が先端から迸ったのだ。  
クニュ。  
それはいままでの体験したどんな刺激よりも甘かった。  
夢中で腰を振りたくりはじめた。  
クニュクニュクニュクニュ。  
滑らかに動くのは触手の体液か、それとも彼女の体液か。  
「あっ、あはぁ…っ! すご……っ!」  
だらしなく緩んだ口からあえぎ声がこぼれだす。  
おこりにかかったかのように歯がかちかちとなっていた。  
そのうちにもみずみずしい肉体を覆う薄い服の上を、下を触手達が這いたくる。  
彼女の大きく柔らかい胸。柔らかいそれを触手が服の中から揉みたてる。  
相当な数の触手のために、服がミシリと音を立てた。  
「あっあっあっああああっ…ダメエエエェェ――――ッン!」  
娘は腰を勢いよく前に突き出しながら果てる。  
仰け反った途端、ビリリという音と共に、たわわな乳房がブルンと外にこぼれだす。  
布と一緒にはじけ飛んでしまった触手だが、  
すぐにはちきれんばかりの双丘にたかりはじめる。  
「あっふっ!? ……だめぇぇ! 強くしないで………ぁぁああああ――――ぁぁっ!!?」  
柔らかな二つの肉が形なく責め立てられ、ビクビクと肢体を揺らす彼女。  
意識が飛びかかっていた。  
それなのに股をグュチュグチュと触手を前後に動かせ続けている。  
そして  
「あひゃぅん!?」  
彼女は弓なりに仰け反り、腰の動きを止める。  
立て続けに腰が跳ねた。  
「ああぅ! あぅぅんっ!? はっ!? はぁああぁっ!?」  
力なくうつぶせに倒れ付した彼女の股の間に  
 
ひときわ大きな触手が入り込んでいた。  
処女にもかかわらず、血は滲んでいなかった。  
彼女が飲み続けた薬のせいであった。  
そして処女にもかかわらず、蕩けてしまうような悦楽が女に与えられはじめた。  
「あああぁぁぁああ―――――――――っ!!!!」  
 
4年もかけて丁寧に成熟させた牝の、  
決め細やかな肉体をびっしりと細い無数の触手が這い回っていた。  
 
汗だくになりながらも淫らに育てられた肢体は性の喜びを求め、渇望のままに動く。  
 
いつの間にか再び騎乗位になっていた。  
胸を上下に大きく震わせ、くびれた腰を艶かしくくねらせながら彼女は喘いだ。  
「はぁぁぁ…ぁ………ぁぁぁ…ああああぁぁぁぁぁ……」  
いつしか響くような声は止み、恍惚とした表情で口から声をだらしなくこぼすようになっていた。  
ずっと絶頂を迎え続けている状態である。  
彼女の目の前ではいくつもの光が弾け続けているであろう。  
「……ぁぁぁ……ぁぁ……」  
時折ぴくんぴくんと、より大きな絶頂の渦に巻き込まれながら、  
 
そうしてやがて、彼女は触手の中に沈んでいった。  
 
数分後、壷状になった触手部屋の上から男が顔を出した。  
マネージャーを自称する男であった。  
ふと気がついたようにかがんで壷の淵に手をやる。  
摘み上げたものは一本の栗色の女の毛。  
再び部屋を見下ろしながら男は大げさにかぶりを振る。  
「この度の生贄はいかがでしたでしょうか触手様? なんですと?  
 まだ物足りない? わかりました! またすぐに用意いたしましょう!  
 5年! 万全を期すために今度は5年お待ちください! 必ずや期待に添えて見せましょう!」  
 
ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ  
 
男の甲高い声が暗闇にこだました。  
 
[終わり]  
 

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