「はい。これ」
「ん?」
今、俺の目の前には6枚のワッフルが載った皿が置かれている。
見た目ではっきりとわかるほどの、綺麗なワッフルが3枚と焦げたワッフルが3枚ずつだ。
「お母様が勉強するなら甘い物が必要だろうって・・・焼いてくださったの」
「お前の母さん?」
「えぇ。ですから味は保障できませんけど」
テーブルの向かい側に座るのクラスメートは、先ほどから一向に目を合わそうとしない。
漫画などに出てくる典型的なお嬢様気質。
まぁ、本当にお嬢様なのだから仕方が無いのかもしれないけど。
人を見下した態度と小馬鹿にしたような話し方。そんな感じだからあまり他のクラスメートには好かれていない。
俺自身もコイツとはほとんどまともに話したこともないのだが、何故かコイツの部屋で2人っきりで勉強するはめになっていた。
事の起こりはたしか・・・
「松本邦明」
「ん?」
昼休みに友人と昨日テレビでやっていた野球の話をしていると、後ろから声をかけられた。
振り向いた先に居たのは、校内・・・いや市内で知らないものが居ないほどの金持ちの家のお嬢様。
御堂響。一応クラスメートだ。
傲慢な性格のせいで、友人もほとんどおらず、彼女は大体いつも1人で学校生活を送っていた。
俺も高校に入って3年間、同じクラスだがまともに話したことはない。
「この度の中間試験の結果。貴方はどう思っているのですか?」
「は?」
俺はかなりの間抜け面になっていたと思う。
それくらいに唐突で意味のわからない質問だったからだ。
「えっと、学年トップを守れてよかったな?」
「・・・私のことではありません。貴方のことです!」
俺の成績はよくは無いが悪くもない。いたって平凡。常に中程をキープしている。ある意味すごいと我ながら思う。
「あのような点数で大学に進学できるとでもお思いなのです?」
「あのようなって。別にレベル高い大学狙ってるわけじゃないし、俺のレベルでも十分に入れる」
仁王立ちのまま、強い口調で俺の言葉をさえぎる。
「黙りなさい!貴方のせいでクラスの平均点が落ちているのがどうして!!」
「俺より低い点数のヤツはいっぱい」
「黙りなさいと言っているでしょう!これから夏休みまで、わたくし自ら勉強を教えてさしあげます」
「へ?いいよ別に。面倒くさい」
「拒否権は存在しません。貴方の母親と担任の先生には許可を取っています」
てな感じのやりとりがあって、友達に助けを求めたけど結局押し切られてしまったわけだ。
放課後は御堂の迎えの車に無理矢理乗せられて家に連れ込まれた。
「お食べにならないの?」
「いや、食うけど」
俺はもう一度テーブルの上の皿に視線を落とす。
綺麗なワッフルと焦げたワッフル。
まぁ、普通に考えて同一人物が作ったわけじゃないよな。
漫画とかなら綺麗なのは御堂の母さんが。焦げたのは御堂が作ったって感じだろう。
ってことは、焦げたの食べて褒めてやるのがベストか?
いやいや。ベストって、コイツに気にいられてどうする?むしろ俺はこの場から解放されたいし。
俺は綺麗なワッフルを口に含む。む?なんだろう、この味。
御堂は溜息をつくような顔で俺を見ている。
「何?」
「何でもありません」
今度は焦げたワッフルを口に含んだ。むぅ?
「どうでした?」
「綺麗なほうは味が薄くて微妙。焦げたほうは味が濃すぎてやっぱ微妙」
「そうですか」
正直に応えた。はっきり言ってどっちも美味しくは無い。
「では、こちらはどうですか?」
御堂はどこから取り出したのか、別な皿をテーブルに出す。
その上には適度に焦げ目のある見るからに美味しそうなワッフルが乗っていた。
「ふむ」
俺は先ほどまで同様に、そのワッフルを口に含んだ。
「ん。旨い。味も焼き加減も申し分無いな」
「ありがとうございます」
御堂が俺の顔を見てにっこりと微笑む。
しまった。コイツがあたりか!
「最初のお皿はどちらもお母様がお焼きになったもの、こちらは私が焼いたものです」
美味しく無いワッフルの皿を床に置いて、自分の焼いたものだけを俺の前に差し出す。
「それにしても。貴方は正直な方ですわね」
「お世辞とかは言え無いんだよ」
俺は開き直って御堂の焼いたワッフルを食べる。
「えぇ。存じ上げております。本当に正直な方。そのせいで色々と損をなさっていることも」
「まさか。俺を試した?」
「さぁ。ご想像におまかせします」
御堂はクスクスを俺を見て笑う。
ったく。人をからかって楽しいかねぇ。
「さて。ごちそうさま。帰るよ」
「はい。では、明日は土曜ですし」
「もう来ないぞ。今日は勉強教えてもらってありがたいと思ったけど、今日だけでいい」
「なぜです?」
御堂が本当にわからないという表情で俺を見る。
「なぜって、じゃあなんでお前は俺に勉強を教えるんだ?俺にしてみればはっきり言って迷惑なんだ」
「迷惑・・・私と勉強するのが・・・迷惑なのですか?」
「あぁ。どっちかって言うと一人で勉強するほうが好きだしな。んじゃ、来週学校でな」
俺は部屋で立ちつくしている御堂の隣りを通り過ぎる。
「お待ちなさい」
部屋を出ようとノブに手をかけた時に、呼びとめられた。
「成績が上がることのどこが迷惑だと言うのです!」
「だから。俺は今の成績で満足なんだよ。この勉強で遊べる時間が減るってのが迷惑なんだ!!」
「遊びですって?は、これだから子供は」
「なに?」
俺は振り返る。
御堂は鋭い目つきで俺を睨んでいた。
「今、この時代。そのような態度でこの先をどう乗り切るつもり?明確なビジョンは見えているのですか?」
「俺は特に夢なんてものは無いし、普通に大学入って、普通に就職出来ればそれでいいんだよ」
「それで、満足ですの?」
「なに?」
「その程度で満足かと聞いているのです。男のくせに情けの無い」
「てめぇ」
御堂は完全に俺を見下していた。いや、挑発?どっちでもいい・・・なんで俺がこんなヤツに。
「怒りました?本当に子供だこと」
俺は御堂の目の前まで行くと、拳を握り締める。
「殴るのですか?えぇ、どうぞ。けど、私がその程度のことで屈服すると思わない方がいいですわよ」
言われなくても殴るつもりは無い。
が、この酷い怒り・・・どこかにぶつけないと。
「それとも私を辱めますか?屋敷には私と貴方だけしかいませんし」
俺の目の前には下着姿でベッドに仰向けになっている御堂が居る。
最後の御堂の台詞。あの後、急に目の前が真っ白になって気づいたらこんな状況だ。
「怖気づきました?さぁ、満足したでしょう。服を返しなさい」
こんな状態でも御堂は御堂のままだった。
俺は手にしている御堂の服を後ろへと投げ捨てる。
「御堂。泣いても止めないからな」
俺もベッドに乗り、御堂の両脚を掴む。
「な、何を」
「お前の思ってる通りのことだよ。言ったろ辱めますか?ってさ」
下着を剥ぎ取り、御堂の産まれたままの姿を俺の目の前に晒させる。
顔はそむけているが、胸も下も手で隠そうとはしない。
「一時の感情に溺れて・・・後悔することになりますよ」
「いいんだよ。これが俺の生き方だ」
そうだ。退学になろうが家を勘当されようが、少年院に入れられようが構うもんか。
今・・・コイツを征服することが出来ればそれでいい。
「ん?濡れてる」
指で御堂の秘部に触れる。
少しではあるが確実に濡れているのがわかる。
「なんだ。お前。無理矢理されて濡らしてるのか?」
「・・・お好きなように解釈なさい」
いつまでも澄ました顔しやがって。
絶対に俺に謝らせてやる。
俺は自分のモノを御堂の秘部にあてがう。
まだ濡れ方が足り無いだろうけど、別に優しくしてやる義理は俺には無い。
「一気にいくからな」
正常位の形で俺は腰に力を込める。
「ひっ」
御堂の顔が歪む。
このキツさ・・・やっぱ処女だったみたいだな。ま、どうでもいいけど。
「止めてやろうか?」
「だ・・・誰がそんな事いいました?臆病者・・・はぁっっっ」
俺は御堂の望み通りに、一気に奥まで腰を落とした。
「はは・・・どうだ。初めての男の感しょんっっ!?」
俺の唇に御堂の唇が触れる。
いや、触れるとか生易しいものではない、御堂の両腕は俺の首に回し抱き寄せての濃厚なキス。
入ってくる舌にされるがままになっていると、御堂の両目が俺をあざ笑うかのように細くなる。
「んっ」
俺は御堂の舌の動きに合わせて、自らの舌を絡める。
絡まる舌と舌が卑猥な音を部屋に響かせ始めた。
「御堂」
口を離し彼女の顔を見ると、その顔は今までに見た事のないくらいに真っ赤になっていた。
「松本邦明・・・ずっと・・・好きでした」
「へ?」
「やっと・・・やっと夢が叶いました」
御堂はそれだけ言うと、腰を回すように動かす。
その動きにあわせて、狭い御堂の膣が俺のをガッチリと締め付けながらも、複雑に動き始める。
「貴方を想って幾数年・・・この日が来るのをどれほど心待ちにしたことか」
「す・・・数・・・年?」
「1年の頃に初めて貴方を見た時から・・・一目惚れ・・・いけませんか?」
「いけないことはないけど」
これじゃあ、どっちが犯してるのか全然わからない。
御堂は初めてだと言うのに執拗に俺のを刺激してくる。
「好き・・・この気持ちは・・・温かいけれど・・・すごく辛かった」
「御堂」
「響でいいです」
「響・・・俺は」
「貴方に嫌われているのは知っています。けれど、んっ」
俺は御堂・・・響に口付ける。
「俺はお前の事嫌いだ・・・嫌いだけど・・・今のお前は。素直なお前はすごく可愛いと思う」
「かわ・・・いい?」
「あぁ。だから俺がお前を好きになるくらい・・・可愛い姿を見せてくれ」
俺は腰をゆっくりと上下させる。
御堂が先ほどしていた動きとはまた違った感触が俺のを刺激する。
「はぁっ・・・私・・・今・・・幸せです」
俺は御堂を感じ、御堂は俺を感じている。
悔しいが俺も幸せを感じている。
「んっ・・・はっ・・・響。もう」
俺は限界を悟り、御堂から抜こうと腰を上げる。
「お、おい!?」
けど、その腰に御堂の両脚が絡められて抜くことが出来なくなった。
当の御堂は目を強く瞑って何かをじっと待っている。
何か・・・いや、わかってるけど。
「構いません・・・出してください」
俺はその言葉通りに・・・御堂の子宮めがけて精液を吐き出した。
「なぁ」
「大丈夫です。今日はいわゆる安全日ですから・・・残念なことに」
「なにが残念なんだよ」
後ろから御堂・・・じゃなかった響の溜息と衣擦れの音が聞こえる。
溜息をつきたいのは俺の方だ。
なんでこんなことしたんだろ。俺。
「本当に正直な方です。その正直さに惚れているのも事実ですけど」
「あのなぁ」
「けど、言いましたよね。後悔することになるって」
振り向いた俺の鼻先に指を突きつけて睨みつけられる。
「こ、後悔?」
「えぇ。未来の御堂家当主として、様々なことを学んでいただきます。それはもう、遊ぶ時間が無いほどに」
「当主って・・・ちょっと待て、それは俺とお前が」
「えぇ。私は貴方の良妻として影ながら支えさせていただきます」
「逃げていい?」
「逃がすとお思いで?」
無理・・・だよな。
百歩譲って響の恋人になるのはいい。美人だし思ってたほどとっつきにくいわけでもない。
先ほど食べたワッフルの感じだと少なくとも、料理のいろははわかってそうだ。
「けど」
「・・・確かに大変かもしれませんが」
響が俺にしなだれかかってくる。
「二人っきりの時は、貴方好みの色に私を染め上げてください」
涙混じりの上目遣い。卑怯だろこれ。
「わぁったよ。けどな、人には出来ることと出来ないこと・・・が・・・あって・・・え?」
背中に冷や汗が、まさに滝のように落ちてくる。
先ほどの慎ましい表情から一変。
まるで悪魔のような笑みを浮かべる響。
「それは一般家庭のお話。御堂家の一人になると言うことは・・・そういうことなのです」
まさに蜘蛛の巣にかかった蝶。いや、冬眠明けの熊の巣に入り込んでしまったって感じだ。
「ふふ。死なないで下さいね。若くして未亡人なんて、嫌ですから」
つづく?