「すっかり遅くなってしまいました〜」
パタパタと足音を立てながら猫耳メイド服少女が走っている。
「これならきっとマサルさんも喜んでくれるはずです」
何処で用立てたのであろうか?
『お菊ちゃん』はマサルの為に猫耳メイドとなっていた。
(待っててくださいねマサルさん)
ウキウキした気持ちで息を弾ませ家路へと急いでいる彼女、だが。
ドスン!
「きゃっ!」 「う、うわぁ!!」
曲がり角を曲がった途端に何者かとぶつかり激しく横転してしまう。
「はうぅ」 「いってぇぇ」
幽霊ゆえ彼女は痛みを感じることなく、ゆっくりと起き上がると、ぶつかった相手を
チラリと見る。其処には高校生ぐらいのめがねを掛けた少年が尻餅をついていた。
「あ、す、すいません! 大丈夫ですか?」
「あ、ああ、はい、だいじょ……う……ぶ」
話しながらゆっくりと彼女のほうを見た少年は突然大きく目を見開くと、大きな声で叫んだ。
「め、め、メダカちゃん!!?」
「ほえ?」
突然の事に何が何だか分からない様子でポカンとする目の前の少女の様子に気がつく風も
無く、文字どうり飛び上がるように立ち上がると。
「ほ、本物のメダカちゃんだ!」
ぎゅっと強く腕を掴んできた。
「わ、わわわ、止めて下さい!!」
慌てて振りほどこうとしても少年は強く手を握って放さない。
「こ、困ります!!」
結局少年が誤解に気が付くまで多くの時間が費やされた。
「はぁ……いや、すいません」
「解ってくれれば良いんです、あっ!? もうこんな時間!?」
慌てて立ち上がりそのまま走り去ろうとする後ろで、
「あああぁぁ!!」
少年の悲鳴が上がった。
「?」
何事かと彼女が振り返ると、
「カ、カバンが水溜りに……」
見ると少年の鞄は水溜りに落ち、すっかりと汚れてしまっていた。
「あ、ああ……た、大変ですね、でも私、急がなくちゃいけないのでこれで……」
じゃあ、と言ってその場を立ち去ろうとした彼女の腕を、
『ガシ!』 と、少年は力強く握りこんだ。
「…………それは……ないよね?」
少年の小さく静かな、だが力強い言葉が響く。
「ひぃ……」
その、あまりの迫力に少女は自身が『お化け』であるのを忘れ、恐怖に小さく打ち震える。
「大切な物が君のせいで……汚れたんだよ? 君が汚しといて……帰るの?」
「ご! ご、ごめ、ごめ、ごめんなさい! 弁償します!!! ゆ、赦してください!!」
すっかり怯えきったその様子を見て、少年はコクリとうなづく。
「分かってくれればいいんだよ、じゃあ、僕の家に来てくれるかな?」
「は、はい……ぃ」
「お菊ちゃんだっけ? 君が僕の大事な物を弁償出来るお金を持ってないのは良く分かった」
少年はジッと椅子に座ったまま床の上に正座する少女を冷ややかに見下ろす。
床には先ほど水溜りに落ちて汚れてしまった本が並べられてる。
「そんな君にチャンスを上げるよ、分かるかな?」
「チャ、チャンス?」
「そうだよ! ええと、まず、うん、そうだな、よし、自己紹介からいってみるか」
「えっ? お、お菊です、夢は最恐の……」
バチン!!
「い、イターい!」
「違う!! お前の名前はメダカちゃんだ!!」
逆上した少年は丸めたノートでぽかりと頭を叩く。
「喋る時の手つきは『こう』! そしてご飯を食べる時は……!!」
延々と少年の『メダカちゃん』トークは続き、
「で、だ、うん、じゃあ、君にはこ、この本に載ってるのと、同じ事をして貰おうか?」
パサリ。
其れは所謂 『同人誌』 と言われる物で、その中でもとくに『年齢制限』が
掛けられてる物であった。
「あ、あのぅ、これ……」
ギロ!
「ひぃ! あ、あっ、こ、こ『これからメダカが一生懸命ペロペロして上げるよ』」
「うん、じゃあ、早速してもらおうかな」
恐怖に怯えながらも必死に『アニメ声』を造り、『メダカちゃん』に、少女はなりきると
やがて満足したように少年 ――― 『平川和彦』 は頷いた。
『は、はーい、じゃあ、平川君の物ペロペロ、ニャーニャーして上げるね♪』
そう言いながら恐る恐る和彦に近づくと、そっとズボンに手を掛けた。
(うう、マサルさん意外のヒトのモノなんて口に入れられないよおぉ)
ビクビクしながらベルトを外そうとした途端、はっと『お菊』は気が付いた。
少年の足が小刻みに震えており、それは彼自身も緊張している事の証明でもあった。
ちろりと顔を見るとやはり緊張の為か少し赤くなっている。
「あれ? 平川君もしかしてこう言うの、初めて?」
「なっ!? メダカちゃんはそんな事――!」
その怒気に、一瞬ビクリとなるが。
(ま、負けちゃ駄目だ、こっちが主導権を握らないと!)
「そ、そんな事言って強がっても、こ、ココはもうカチカチだよ?」
そう言いながらユックリと、和彦の物を握る。
「くっ! ふあぁぁ!」
その初の経験に彼は大きく椅子の上で上体を後ろに反らす。
(すごい、ココまで反応するなんて!)
驚きを隠せないままユックリ握りこんだ手を上下に擦り始める。
「くっ!? うおおお! メ、メダカちゃんの手が俺のものをおおお!!」
絶叫し、激しく体を揺する少年を見て、『お菊』はさらに追撃を掛けていく。
「い、今にも、ここが我慢できなくなってるわよどう、イヤラシイ平川君?」
「う、うおおお、メダカちゃんはそんな事イワネエエェ! だ、だが、これはああぁ!」
尚も激しく体を揺さぶりその快感に悶えはじめる。
(す、凄い反応……とにかく気を落ち着かせれば大人しくなるかも)
『思春期の微妙なお年頃の少年の物』を『猫耳幽霊』が優しく撫で付けるという光景。
さらに、本を頼りにゆっくりと裏側を撫でつけ、指で先端をなぞっていく。
「す、すごい! こ、これが大人の階段!」
和彦の物はビクビクと痙攣を繰り返し始め、固く太くなって行き、それに伴い、
彼自身の呼吸もはるかに速くなっていった。
(もう我慢の限界みたい)
限界を感じた『お菊』は擦りあげていた手の速度を速め、射精へと追い込んでいく。
「う、うおおお! す、すごい! すごいよメダカちゃん!!」
少女の幽霊とは思えない柔らかな手が、少年の『物』をつかみ、激しい上下運動を繰り返し続ける。
そしてもう片方の手では、少年のパンパンに膨らんだ印嚢を優しく手で転がし続ける。
「ふおおおー! こ、ここれはああ!!」
ついに我慢の絶頂を迎えた和彦は一期は大きな痙攣をすると、
少年の先端から『精』が大きく放出された
と、共に何かが飛び出してくる
それは、赤い色をした人のようなモノであった
「あ、こ、これは」
――――― でろでろ妖怪図鑑 ―――――――――――――――――
思春鬼
少々荒らしい気性に変えたり、女の子に卑猥な言葉を言わせたりする。
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「なるほど、こんな物が取り付いてたんですね、でもこれできっと彼も普通の少年に戻るはず」
逃げていく思春鬼をみてお菊はほっと胸を撫で下ろす。
椅子の上では満足しきった顔をした少年が放心状態でぐったりと倒れている。
「あっ! いけない、早く戻らないと!」
時計を見たお菊はマサルとの約束を思い出し、慌てて窓をすり抜けると、そのまま
自分の家へとむかいパタパタと飛んでいった。
やがて一人残された少年の部屋に、彼の友達が訪れ、この部屋の大惨事を目撃するのだが、
それはまた別の機会に。
外伝 奇っ怪の零々 おしまい