「頼光……来ては、…来てはなりませぬ!!」
晴明の必死の叫びも空しく、異状を察した頼光が足早に駆け寄った。
そして―――その場に繰り広げられている光景に刹那目を疑い……絶句する。
四肢を蜘蛛の糸に絡め取られ、身動きの取れない晴明の身体を人外の男が嬲っていた。
狩衣は無残に引き裂かれ、露にされた白い肌を妖の手が、舌が弄っている。
「おやおや、忠実なる傀儡の到着か……だが、些か遅すぎたようだな。」
汰地唐は勝ち誇った視線を立ち尽くす頼光に向けると、晴明の顎を捕らえ、
此れ見よがしに口付ける。
「我らが一族を屠りし罪を贖うべく、この身に土蜘蛛の子を孕む為に身を供しておる最中ぞ。
邪魔だてするでない!」