背後から腰を通って回された手は、晴明の下腹部の辺りを彷徨った後、好い場所を見つけたと云うように動き始めた。  
 周囲をなぞり、撫で、線を引くように指をすうと動かす。煽るなら煽れと晴明は云うが、頼光は笑うだけだった。  
 肌蹴られてはいても、衣は未だ帯で留められている。頼光は、解く気はさらさら無いようだった。そこから胸元へと開いている手が入り込み、滑らかな肌で覆われている房を弄び始めた。  
 そこで指をようやく入れる、――と、僅かではあるが水音が上がった。  
「音、――は、立てないで下さい」  
 声を堪えるような口調で、晴明が己の下腹部を動き回る手を見ながら云う。  
「それは無理と云うものだ」  
 耳朶を噛み、頼光が静かに云った。頼光の手をの動きに合わせ、そこから聞こえてくる淫らな水音が、徐々に徐々に大きくなる。  
「濡れてしまうと、仕方が無い」  
 それに、と更に指を奥まで入れると、晴明の声が上がる。短いものではあるが、嬌声と呼ばれるものだ。  
 耳朶を離し、首に吸いつきながら、  
「――好いのであろう?」  
 尋ねれば、晴明の程好い答えが返ってくる。  
「それ、は、――……ええ」  
 小さく、だが確かな返事は頼光を満足させ、――続きを一層激しくさせる。  
 

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