サンドリヨンが再び封印され騒乱に決着が付いた日、鈴風小夜は10年ぶりにエルデに戻り、我が家に帰ってきた。  
最初の夜は色々あった疲れもあり、また三銃士たちも同じ屋根の下にいたので夫の純太朗ともども自重した。  
しかし日が明けて自分たちを隔てるものはもう何もないという実感を得ると、もうその気持ちは止められなかった。  
深夜になり小夜が夫婦の寝室に防音、防振効果のある結界を張った後、二人は堰を切ったように激しく互いを貪り合った。  
 
「……んん……んむ……はぅ……」  
「あ……はんっ……あぁ……はぁっ……」  
 
カーテンの隙間から街路灯の灯りがわずかに差し込む薄暗い部屋の中、純太朗は小夜の乳房にむしゃぶりつく。  
吸われ、舐められ、乳首に歯を立てられる度に小夜は甘いうめき声を漏らす。  
しばらく妻の乳房をなぶった後、純太朗は身を伸ばし、彼女と唇を重ねる。  
二人は互いの唇や歯を舐め合い、舌を絡め、唾をすすり合った。  
やがて小夜は夫の右手を取ると自分の股間に導いた。  
指先に波打つ恥毛の感触を覚えると、純太朗はその間にある秘裂に中指と薬指を潜り込ませ、上下にさすった。  
 
「あっ!……あぅ……あ…ふぅんっ!……っはぁ……もっと……いじって……」  
 
その言葉に気をよくした純太朗は指を更に膣口の奥へ入れ、グリグリと動かした。  
膣内で戯れる指の刺激で、小夜の秘裂は徐々にぬめりを増してゆく。  
 
「ああんっ! もっと……もっと奥に……はぁんっっ!」  
「これ以上無理だよ……別のモノならもっと奥に入れるけど? どうする?」  
「あぁ……はぁ……意地悪ね……入ってきて……欲しいの……」  
「よし……」  
 
純太朗は潤う秘裂から指を抜き取るとそれにまとわり付く愛液をしゃぶり取り、枕元の小さな四角い包みを掴んだ。  
魔法で避妊する術は勿論ある。しかしエルデに生きる以上、小夜は特別な場合を除いて魔法には頼りたくなかった。  
もとより夫に素性を明かすまでこの方法で避妊してきたのだ。そして純太朗もその事に異論はなかった。  
 
(ああ……いよいよなのね……)  
 
暗がりの中でピチ、ピチ、ピチ……と、夫の砲身にゴムが巻き付く音を聞きながら小夜は胸を高鳴らせる。  
用意が終わると純太朗は小夜の脚を押し開き、掴んだ物の先端を彼女の秘部にあてがった。  
 
「小夜さん、いくよ……」  
「……はぁ……はぁ……んっ……あっ…はぁあああっ……!!」  
 
怒張した肉棒が濡れた秘裂に入ってゆく。  
小夜の上に覆いかぶさった純太朗は少しずつ腰を妻の中心に向かって沈めていった。  
 
「はぁっ……ああぁ……全部…入ったのね……あなた……お帰りなさい……」  
「ああ……10年ぶりだ……嬉しいよ……小夜さんの膣[なか]……温かいよ……」  
「お布団の中では小夜、でしょ」  
「そうだったね……動いていいかい?」  
「待って……もう少しこのままでいて……」  
 
そう言って小夜は純太朗の背中に両腕を回し、きつく抱きしめた。  
夫に組み敷かれ、その体の重みを感じ、熱く硬くなった局部を受け入れる充実感。  
動きによる刺激がなくても小夜の体は久しく無かった女の悦びに満ち溢れていた。  
 
「……ね、わたしが向こうに行ってからどうしていたの? 誰か好きな女[ひと]出来た?」  
「馬鹿なこと言わないでくれ……ずっと君だけを想っていたよ」  
「本当? 10年よ?……人肌が恋しくならなかった?」  
「私が恋しいのは君の肌だけだよ……言い寄られた事もあったけど断った……」  
「どうして?」  
「寂しさを紛らわす為のセックスなんて空しいだけだ。それなら一人でする方がマシだよ」  
「……強いのね、あなた……わたしでさえそこまで割り切れない……」  
 
千年以上生きている身である。小夜――魔女シルフィーヌにもそれなりの過去はあった。  
ただ、その時々で誰かと過ごしていたのは確かなのだが、今となっては忘却の彼方である。  
相手の顔も、声も、どんな言葉を交わしたかも思い出せなくなってしまっている。  
膨大な時間の積み重ねの中、退屈や孤独を紛らすだけの関係であったなら、そうなるのも当然かもしれない。  
 
「君と私じゃ人生のスパンが違うよ。気にする事はないさ……そろそろいいかな?」  
「……ええ…お願い……」  
 
小夜は思いを振り払い、腕の力を緩めた。純太朗は妻の上で体をゆっくりと前後に動かし始めた。  
 
「あっ……うっ……ふうんっ……はぁ……はんっ……」  
 
熱い砲身がぬめる秘肉の中を行きつ戻りつする度に小夜は小さく甘い吐息を漏らす。  
夫の汗ばんだ胸が彼女の硬くなった乳首を刺激し、乳房にも痺れるような快感が広がる。  
 
「……どうしたの? もっと声を出していいんだよ。その為に魔法を使うのを許したんじゃないか」  
 
小夜の体を規則的に揺すりながら純太朗が尋ねる。声を抑え気味にしていると思ったらしい。  
 
「奥さんが感じている声をはしたないと思う男なんていないよ」  
「そんな事言ったって……」  
 
切なげな表情で口ごもりながら、小夜は夫の顔から視線をそらし壁の方を見つめる。  
草太や赤ずきん――結界を張っているとはいえ、年頃の子供たちが向こうにいると思うと気が気でない。  
 
「もっと刺激が欲しいかな? じゃあ、こうしようか……」  
「あっ……」  
 
純太朗は身を起こすと小夜の太腿を引き寄せ、両肩に担いだ。  
屈曲位を取った事で膣口が上向きになり、小夜は夫のモノをより奥まで飲み込んだ。  
 
「ああっ!」  
「いいよ……そんな感じだ……」  
 
納得したようにそう言うと純太朗は再び腰を妻の股間に押し付け始めた。  
小夜は理解した。純太朗は体位を変える事で気持ちを切り替えるきっかけを作ってくれたのだ。  
結界を張っていても、他の部屋にいる者たちに気兼ねする気持ちを。  
大丈夫、皆に悟られたりしないよ――そう言う様に純太朗は妻の髪を撫で付ける。  
小夜は自分を抑えるのをやめた。自分があえぐ様を夫に悦んでもらえるように。  
 
「あっ!あっ!あんっ!はぁんっ!はっ…っあああんっ!」  
 
小夜は先程よりも大きな声で嬌声を上げた。夫の動きに合わせるように自らも尻を振る。  
妻のよがる姿に純太朗も満足げなようだった。興奮する気持ちを表わすように更に腰を波打たせる。  
 
「あっ!あっ!ああっ! いい、いいの! あなたぁっ!! はぁあんっ!!」   
 
夫の激しい律動に小夜の体はわななく。押し寄せる快感の波に耐え切れず引き裂かんばかりにシーツを掴む。  
小夜の身も世もない乱れっぷりに合わせるように、純太朗も抽送のピッチを上げてゆく。  
 
「あんっ!あんっ!あっ!あっ!あっ!」  
「ふっ…ふっ……そろそろ……イキそうだ……いいかい?」  
 
息を荒げながらそう言った純太朗は小夜の両肩を掴みしっかりと引き付けた。クライマックスが近づいている。  
頭を激しく左右に振りながら小夜も夫の背中に腕を回し、絶対離れまいとしがみ付いた。  
 
「はぁっ、はぁっ、イクよ小夜……愛してるっ、愛してるよ小夜っ!」  
「あんっ!あんっ!私もっ!…来て!来てぇっ!!」  
「ふんっっ!!」  
「ああああっっ!!」  
 
射精直前に純太朗はひと際大きくストロークを取り、腰を小夜の股間に叩きつける様に密着させた。  
小夜は絶頂を迎えながらドクッ、ドクッという脈動と共に膣の中のモノが膨らむのを感じた。  
 
「はあっ……はあっ……小夜……」  
「はっ…はっ…はっ……あなた……わたしの……なか……いっぱいよ……」  
 
汗ばむ体と荒い息のまま、二人は改めて腕に力を入れ、しっかりと抱き合った。  
 
 
 
「ねえ……あなたさえ許してくれれば、避妊する魔法使ってもいいのよ……?」  
 
行為が終わった後、小夜は粘液まみれの夫の分身をティッシュで拭いながらそう言った。  
手枕で寝そべったまま純太朗は怪訝な顔をした。  
 
「中に出してもいいって事?……ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ」  
「しないの?」  
「エルデに魔法で避妊する女の人はいないよ、“小夜”さん」  
「フフッ……そういう事ね……じゃあ、年に一回くらいというのはどう?」  
「誘惑しないでくれよ……そういう欲求がない訳じゃないんだから……」  
「奥さんに遠慮は禁物よ……もう一回いただくまで考えておいてね」  
 
小夜は微笑みながらそう言うと夫の股間に屈み込み、綺麗にしたばかりの逸物に半開きの唇を寄せた。  
 
 
(終わり)  
 

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