まずすべきことはもうすまされていた。わたしのそこはもう濡れそぼっていて、目の前の男の人のものはかなり大きいけれどすんなり入るだろう。わたしは自分の服は自分で脱ごうと、ボタンに手をかけた。その手を男の人の手が制す。
「脱がなくていい。そのままがいいんだ」
男の人のズボンのジッパーはもう下ろされていて、大きなペニスがむき出しになっていた。はちきれんばかりのそれを薄いゴムが覆っている。わたしはこれを見つめ、これからされるであろうことを想像した。またわたしのパンティがしっとりと濡れていくのがわかった。
真っ白なわたしのパンティが脱がされていく。はりついたものが剥がされる感触がクリトリスを刺激して声を漏らしそうになった。せっかちなペニスがわたしに挿入、される。
「痛くないかい?」
荒い息が混じった声で、男がささやいた。
「痛くありません。とても気持ちいいです……」
わたしは正直に思ったことを口にした。わたしの胎内にある男の人のペニスが喜んだのが分かって、かわいいと思った。
「あ、あ、あ、……あぁっー」
男の人の腰がわたしを打つ。わたしは声を抑えようとせずに快感に身をあずける。カザリでも、ヨーコでもない、違うわたしが目覚めていく錯覚に陥った。途中遠くに繋いでいるアソと目が合った。アソは首をかしげていた。
時折男の人はわたしの服の中に手を入れ、乳房をやさしく愛撫した。
「あ、そ、それは駄目です」
男の人はわたしの両足を持ち上げて、そして両腕でわたしの足をがっちり固めてわたしの腰を浮かせながら胎内を突いた。
「あぁっ、あぁ! 駄目です! やめて下さい! ああっ! やめて下さい! んあっ」
快感のあまりわたしは我を忘れて叫んだ。痺れるように胎内が熱かった。
「気持ちいいのかい? 奥をこうされるのが好きなのかい?」
わたしはがむしゃらに首を縦に動かすので精一杯だった。じっとりとした液体がわたしを濡らして行き、湿っぽくさせた。いよいよ子宮が脈を打ち始め、臍の下辺りが締め付けられるような感触に、わたしはもうすぐいくのだと理解した。
「もう、駄目です……。すみません。いきます……」
弱弱しい声でわたしは言い、身体の力を抜いた。身体中が痙攣して、男の人のペニスを締めあげた。わたしは声にならない声と共に“いった”。
「僕のほうも……不味いね」
男の人がつぶやき、わたしの膣からペニスを抜いた。同時にコンドームの中に射精する。白っぽい液がゴムの袋にたまっていた。
「とてもよかったよ。久しぶりにセックスに夢中になれた」
男の人は清々しい顔をしていた。わたしの手には数枚の一万円札がにぎられている。わたしは腰を抜かしたまま立つことが出来ないので、座ったまま出来るだけ丁寧にお辞儀をした。
「じゃあね、“カザリ”ちゃん」
男の人は最後にあの日妹から奪った名前でわたしを呼んだ。そしてわたしの方を一度も振り返ることはなく、去って言った。わたしは繋がれていたアソの方に這っていき、紐をほどいた。
わたしはどうやってでも生きていける。