ふと横を見ると女性が一人眠っているのが見える。
亜麻色の艶のある髪からは人では有りえない細長い耳が出ている、大樹だ。
此処が何処であるのかはよくわかっているのだが何故こんなことになったのか、それだけが理解できない
とりあえずどうしよう。誰かに見つかったらもうなんというか……
すごく大変なことになるではないか!主に自分が!!
幸いなことがあるとすれば先に気付いた、この一点に尽きる
…………
…………
よく分からない賢者タイムの果てに行動を起こすことにした。
「大樹さん、リール・大樹さん。起きてくださーい」
「くー……せんせいもうおなかいっぱいでたべられないですよー」
「いや、大樹さん。起きなきゃ大変なんだって。起きてー」
「んー、あとじゅっぷん……ふぇ?」
「大樹さん、おはよう。起きれる?」
「あー、おはよーございますー。せんせいちゃんとおきますよー?」
「じゃ、ゆっくり下見てくれ。もう遅いかもしれないけどさ」
「したー?……ってうわなんですかこれー!?」
大樹の脚、付け根のあたりから赤い液体が垂れていた
よし、今ならちゃんといえるはずだ。俺は今から勇者になる!!
覚悟を決めれば後は早かった。ただ行動に移せばいいだけの話だからな
「大樹さん、大人っぽさ出すために背伸びするのはまぁいいんだが。紅生姜の量多過ぎだよ。しかも食べ過ぎて気絶とか、洒落にならないぞ?」
「ふぇ?」
大樹は目の前を見た。
そこには……牛飯の丼と、その丼に山のように乗せられた赤いものがあった。
「えーと、どういうことですかー?」
まだ回線がうまくつながらないようだ、仕方の無い人だ。
「大樹さん、牛飯頼んだ時に紅生姜の話になったの、覚えてない?」
「あー、そうそう。紅生姜をしっかり乗せれたら大人なんですよねーって話になったからせんせいしっかりのせたんですよー、でもどうやって食べるかを考えて、まずは紅生姜を食べようって結論になってー……ま、まさか」
「食べ進めるるうちに見事に撃沈だ。」
「はわー!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「ま、それはいいから。早く片付けようか?こんなところを他の奴らに見られたら……」
その時だ
「よう、千里。なんでこんな時間に食堂なんだ?まぁ俺は構わないんだけどさ」
「やぁねぇ。女の子にそういうの聞いちゃダメよ、覚。聞いたら身の破滅を呼ぶんだから」
「今、聞いたことをこころから後悔したと…………」
出雲の動きが止まる。それにつられて
「ん、どうかし…………」
風見の動きも止まった
二人は背中合わせになり、廊下に向かってこう叫んだ「大樹先生が食堂プレイで男に純潔奪われてるー!!」
終わった。こいつらの妄想力と伝達速度、曲解率的に終わった。