「お願い出来るで御座るか?」
「――jud.」
背に彼女の前髪が当たり、小さな湿りが来た。それを彼女の唇と思うより早く、彼女の腕と手がこちらの脇に周り、
その手が点蔵の局部に腰に巻かれたタオル越しに淡く触れた。
「す、すすす傷有り%a!?」
「振り向かないで下さいね。――術が逸れてしまいますので」
そう言う傷有り≠ヘ両の手で点蔵の局部を愛撫しながらその火照った体を外気に晒したくないかのように身を寄せた。
右の背にある傷痕に控えめに出した舌を這わせながら、傷有り≠ヘ点蔵の腰のタオルをめくり上げてその中へと手を入れる。
「なななな何をなさるので御座るか!?」
慌てたような、焦ったような点蔵の言葉に傷有り≠ヘこの人はやはり真面目なのだなという思いを強くしつつ、
「jud.、傷の治療を」
言いつつ点蔵の肉棒を手探りで探し当て、握った。
ビクン、と震えた点蔵の動きを感じながら傷有り≠ヘ傷痕に甘噛みするように唇を寄せ、肉棒を扱いた。
「えっと、けっこう大きいんですね」
熱く反り返る肉棒を扱いて全体像を確認した感想を漏らす傷有り
だが、なにやら経文のようなものをつぶやき始めた点蔵は、傷有り≠ェ肉棒を幾度か扱いてみても必死に経文を唱え続けてこちらに反応しない。
傷有り≠ヘ「私では気持ち良くなれませんか?」と訊こうか一瞬考えるがこの言い方は先程なるべく使わないようにしようと決めたばかりだ。
それにこの場から逃げないということは少なくとも嫌ではないはずだと傷有り≠ヘ自分の中で多少強引に結論付けて、より強く身を寄せる。
以前ミルトンが言ってましたが殿方は長い間性欲処理ができないと溜まって大変なんですよね。
何がどう大変なのかはよくわからないが長く輸送艦で生活していてずいぶんと溜まっているだろうと思い、
点蔵様にはあまり大変な目にあって欲しくないなとも思い、傷有り≠ヘ少し速度を上げて手を動かす。
ああ、私はとても卑怯ではしたないことをしているな。
肉棒を扱く手にお湯や汗以外の粘りのある感触を得ながら傷有り≠ヘ思う。
適当な大義名分を掲げて、本来の目的である治療以外のこともして、身を寄せさせてもらって、そして、身を寄せているこの時をとても心地よく思うなんて。
傷の治療はもうすぐ終わる。傷有り≠ヘ火照った自分の顔を誰もいないとわかっていつつも誰かに見られないようにと思い、
これも適当な大義名分だなと苦笑し、点蔵の背にさらに強く押し当てる。手の中では肉棒が小刻みに脈打っていた。もう限界が近いのだろう。
点蔵様……!
傷有り≠ェその身を強く押しつけるのと同時に手の中で肉棒が脈打ち、それに伴って粘性の強い液体が弾けた。
これは、少し場をきれいにしないといけませんね。
傷有り≠ヘそう手の中の感触を楽しみつつ思い、名残惜しさを感じながら点蔵からその身を離した。
そうして、全力で内心経文を唱えていた点蔵を余所に、治療は数分で終了した。