最近作られた温泉横にある睡蓮の咲き始めた蕾とその葉が浮かぶ泉を見つめてフードの人影――傷有り≠ヘ物思いに沈んでいた。
考えるのはここ最近、英国第四階層に尽力してくれる異邦人のことだ。
「本当にありがたいことですよね」
件の彼が持ってきた武蔵の酒(春期学園祭の準備の品を頂いてきた物らしい)を軽く飲みつつ傷有り≠ヘ個人的なことも思いだす。
彼を叩いてしまったり、一緒にお風呂に入ったり、
「いっぱい涙を見せてしまいましたね」
自然と頬が火照ってきたのを感じ、それは酒のせいだとごまかすかのように酒をもう一杯呷る。
「ふう」
熱い息を吐くと同時に頭の中に彼の姿が浮かんだ。
「贅沢な時間ですよね」
彼と共にある時間を思い、傷有り≠ヘ誰に聞かせるでもない感想を漏らす。
/
しばし泉を眺めていた傷有り≠ヘ突然熱に浮かされたように緩慢な動作で酒瓶とグラスを脇に置くと、
そのまま手をフードの中へと突っ込み、フードの下の制服に手をかけ、おもむろにそれを脱いでいった。
衣擦れの音が静かに響き、フードの中で傷有り≠フ体は腿のあたりまで何も着ていない状態になる。
そして彼女は手を己の胸へと持っていった。
「ん……」
緩やかに自らの胸を揉みしだく傷有り≠ヘやはり熱に浮かされたような声で彼の名前を呟く、
「点蔵……様」
同時に傷有り≠フ身体がビクッと反応した。
「あ、んっ……」
傷有り≠ヘ右の手で胸を揉んだまま、左の手で足に繋がれた鎖の先にある鉄杭を割座の股下から掴んできて口に咥えた。
「ん……んぐ、んんっ……」
鉄杭を咥えて動かすたびに股下を通る鎖も動いて秘所を刺激するのを感じ、その行動は段々と激しいものへとかわっていく。
「ん、んんっ……んむ、んんっ……んくーっ……ん、んっむっ!」
鉄杭を咥える動きに連動して初めは途切れ途切れに鳴っているだけだった鎖だったが、
やがて傷有り≠ェ鎖に秘所を押し付けるように腰を動かし始めると、鎖の音は間断なく響くようになった。
鉄杭には傷有り≠フ唾液が伝い、月光にぬらぬらと光っている。
それを咥える傷有り≠フ上気した顔は快楽をこらえるかのように詰められた眉と額を流れる汗とでひどく官能的に彩られていた。そして、
「ん、む、んんんんんんんっ!!」
唐突に体に電流が流れたかのようにビクビクッ、っと痙攣すると、傷有り≠ヘ咥えていた鉄杭を取り落とした。
「はぁ、はぁ、……ん」
落ちた鉄杭をしばし呆然と見つめていた傷有り≠ヘ鉄杭を拾い上げるとおもむろにそれを、とろとろに濡れた秘所へとあてがい、
「ん、む、ひゃう……っ!」
そのまま中へと押し込んだ。
「て、……てんぞ、……さ、まぁっ!」
傷有り≠ヘ鉄杭で己の中を壊そうとしているかのようにかき回し、空いた方の手で、秘所の上にある突起を引っ掻いた。
その目は今この場にいない誰かを見ているかのような虚ろとして、
そしてどこか安心しきったかのような表情だった。
「ひ、あっ、な、にかっ、来ちゃいま、すっ! あ、うぁあっ!」
動きは止まらず呟く言葉もだんだん不明瞭になってくる。
ただ、自らの秘所を責める動きだけは止まることなく、体を隠していた緑の長衣もいつの間にかずり落ちて、その体が外に露わになった。
そんな中、傷有り≠フ身体がひときわ強く痙攣した。
「ひあああああああ!!」
全身をガクガクッ!っと震わせると、傷有り≠ヘその場で意識を失った。
「あれ?」
「どうしたハイディ?」
「うん、インキュバス完全監修の催睡淫剤の試作品がどこかにいっちゃってて」
「ああ、あの淫夢を見せる薬か。ぱっと見酒瓶にしか見えんからな、春期学園祭準備のゴタゴタでどこかに紛れ込んでしまったかも知れんな。せっかくの金ヅルが、なんてことだ」
「(自分の利益しか見ないシロ君ってとっても素敵っ!)」
武蔵の商人組がそんなことを話し合っている頃、傷有り≠ヘ昨日の行動が夢だと知り、安堵すると共に猛烈な羞恥心に悶えたそうな。