「ねえねえ、ネイト!一緒にエロい事しよ!」
「・・・いきなり人の胸に飛び込んで何を言うんですの総長」
ボリュームのある銀髪をかき上げながら、ネイト・ミトツダイラは自分の胸に飛び込んで来た娘に声をかけた。
小柄な体躯と短く切り揃えた茶色の髪、しまりの無い笑い顔を覗かせて、
少女、葵・トーリがいつものようにそこに居た。
黙っていれば可愛いと思われるような少女であるが、その言動はお馬鹿の一言で片付けられてしまうには問題が有り過ぎる。
何か有る度にエロ発言を撒き散らし、間が持た無くなればストリップを始める彼女によって被害を受けるのは
主に周辺の男性陣だが、その度にそれらを殴り飛ばさねばならない女性陣も大変なのだ。
「そして、いつものことですが何をやっているんですの?」
「んー?・・・上上舌舌左右左右・・・」
「き・奇妙なコマンドを唱えないでください!?」
コマンドと共に微妙な動きを始めたトーリの頭をミトツダイラはあわてて引き剥がす。
「むむむ・・・ネイト、またノーブラ?」
「ま、またって!い、いつもと言う訳ではありませんのよ?せ、正装のときなどはきちんとインナーにもこだわりますし・・・」
「精巣?!やだ、ネイトったらそんな難しいエロ単語使うなんて・・・辞典でエロい単語チェックするタイプ?
基本だよね!やっぱりエロい単語にはアンダーラインだよ!直訳すると下の線!意訳すればシモのスジだね!
ああん、だめえエロいとこにペンでぐりぐりだめへぇぇぇ・・・へぎゅ!?」
「人の部屋で怪しい単語連呼するのはおやめなさいませ!!!」
身体をくねくねとくねらせながら、エロい声を張り上げていたお馬鹿をミトツダイラが放り投げる。
頭から落下しながらも、しっかりベッドに落とす当たりはさすがに気を使っているようだ。
「・・・それでいったい本当に何の用事ですの?」
荒げた息を整えつつ、ミトツダイラはベッドの端に腰掛けて問いを口にした。
ベッドの上にちょこんと座ったトーリがそれに応じて言葉を紡ぐ。
「んー・・・お礼?と、いうかネイトのお手伝い?」
「何故に疑問系なのかは置いときますが・・・お礼というのは心当たりがありすぎるのでともかく、助力とは?」
いささか眉を潜めつつ小首を傾げるミトツダイラに対し、トーリがごろごろと転がりながら近づいて行く。
そしてそのまま、器用にも彼女のひざの上に転がり込むと、すかさず足の間に手を伸ばした。
「だって、ネイトはここしばらく大変だったから、コッチも大変だと思って。うりゃ!」
「ひゃうん!な、何をなさいますの!?」
トーリの手が、ミトツダイラの股間に本来女性には在るべくも無いものを捕らえる。
夜着の間より立派な陰茎が顔を出し、トーリの手の動きによってたちまちのうちに隆々とした勃起を見せる。
それは中々以上に見事な一物だ。
「うわ!ネイトってば、すご・・・」
「だ、だめですの!うひぃ!?て、手を動かさないで・・・」
「だーめ。ネイトってば、こないだの騒ぎのせいで全然シてないんでしょ?
それに、さっきお肉たくさん食べたんだから、こっちもスッキリさせなきゃ身体に悪いよ?」
英国との小競り合いから生まれた二週間に及ぶ隔離状態。
その解決を見た事を祝う宴席で、久方ぶりの”食事”を満喫した事で身体が活性化していたことは確かだ。
「だ、駄目ですわ!!そ、それに総長にはホライゾンがぁひぃぃ!?」
「だからぁ、ホライゾンからもたのまれたんだよ?・・・むう、ネイトってば手ごわい。なら、えい!」
「!? !!!!!」
トーリの手の動きが激しさを増し、その攻撃が胸にも及んだ。
ミトツダイラは声を噛み殺して甘い悲鳴を上げようとするる喉を封じ込める。
だが、ますますトーリの手の動きは激しさを増し、陰茎を扱き立てる強い上下の動きと胸の先端を転がす柔らかい指の動きが
己の頭を蕩かしていく。陰茎の先端部をトーリの親指が擦り立てるたびに、びくびくと腰が反応するようになっていくのがわかる。
だが、ミトツダイラは唇をかみ締めるようにして、己の身の内を駆け上る快楽の波に抗う。
「ま、負けませんわ!・・・こ、これしきの肉欲、騎士の誇りにかけて・・・」
「むうう・・・なら、本気でいくよ?ジョイスティックとアナログスティックからのコマンド入力が駄目なら・・・」
顔を僅かにしかめながら、そうつぶやくトーリの目線にミトツダイラは胸の中心が縮みこむような怖気にも似たものを感じる。
「そ、総長!お、おやめに・・・」
彼女の言葉が終わるより早く、少女がベッドに座るミトツダイラの正面に回り込み床に膝を着く。
ミトツダイラの股間の真正面に位置を取ったトーリは彼女の陰茎の根元、女性器とのつぎめの部分に隠された突起に指を当てて・・・
「流星打ち――――!!」
「――――――――――――――!!!!!」
声を上げられぬ程の悲鳴を漏らしつつ、ミトツダイラが剛直より白い濁流を噴出させる。
溜まりに溜まった愛欲の迸りは、勢いを衰えさせずトーリの顔面に向けて吐き出された。
額、鼻梁、頬、口唇から胸元にまで弾けて・・・少女を白く染め上げる。
「あ・・・はぁあ、は、あ、うぅ・・・」
息も絶え絶えに快楽の余韻に浸るミトツダイラにトーリは微笑みながら、
「えへへ・・・いっぱいだねえ。気持ちよかった?ネイト?」
己にまとわり付く白い粘液を拭おうともしないトーリに、ミトツダイラは興奮と羞恥に顔を赤らめつつ、首肯を返す。
その返事に、喜色満面な笑顔で答えたトーリは舌と指先でミトツダイラの迸りを口にしつつ、
「んじゃ、次はノーコンティニューで何ループできるかやってみよっか?」
そのまま、重なり合うように寝台へと倒れ込んだ。
おまけ
身体を包む柔らかな暖かさを感じる。
その優しい熱は、窓から差し込む柔らかな朝の光のもたらすものだ。
ゆっくりと目蓋を開ければ、眩しい位の明るさが眠っていた頭を覚醒させていく。
固まっていたつぼみが花開くように、ネイト・ミトツダイラは大きな伸びをして起床を迎えていた。
「総長、は・・・?」
昨夜、床を共にした少女の姿を探し室内を見渡すものの、少女、葵・トーリの姿はそこには無かった。
それと同時に昨夜の痴態を思い起こし、ミトツダイラは赤面した。
乱れた寝台の跡や、散乱する丸められた枕紙、いまだ部屋に色濃く残る自分と少女の残り香などが、
彼女の胸の鼓動を跳ね上げていった。
ふとみれば、テーブルの上に探していた当人からのメモがあった。
癖の強い文字でそこには「ほらいぞんが朝ごはんつくってまってるのでかえります。とーリ」と、ある。
背中から腰にかけての気だるげな感覚と、それを上回る身体と精神の充足感に、
ミトツダイラは軽い羞恥と罪悪感を覚えた。
「総長・・・」
少女とその想い人である旧友の、数奇と表するには程遠い運命とでも呼ぶべき境遇にしばし思いを馳せる。
皆の願いがかなうといいと願った旧友の少女の事を、
その少女の願いをかなえるために王になるといった少女の事を。
全力を振るいますわ・・・幸いを得るために。
己の胸の内に渦巻く想いを押さえ込み、身支度を整えるべく浴室へ向かおうとしたミトツダイラは、
先ほどのメモの傍らに見慣れぬ巾着包みと新たなメモを見つけた。
小首を傾げつつ、ミトツダイラはその包みを解きメモを広げてみる。
解かれた包みより、どこか見慣れた風の薄い布地でできた、
「・・・下着、って?!な!?」
現れた小さな女性用のショーツを手に、ミトツダイラが慌てて新たなメモに目を走らせると、
再び癖の強い文字で「ぱんつおいてくから、朝のおかずにしてね♪ トーり」との伝言があった。
「そ、総長!!!な、何を考えて・・・ませんわね。いつもの通り」
驚愕とその後の脱力感に頭痛を覚えそうになった彼女だが、気を取り戻して立ち上がる。
・・・ふと、その手にある下着に目が止まった。
刹那の葛藤の後、少女の残り香が強く残るその薄物を顔に近づける。
「くぅん・・・」
一刻の後、ミトツダイラは深い羞恥と罪悪感を覚えた。