武蔵に来てから数回目の夜。  
メアリは頭まですっぽりと被った布団の中でもぞもぞと動いた。  
何も身につけてない肌が敏感に布団の感触を伝えてくる。  
英国で使っていたものとは質感が異なるが、寝づらさを感じるほどでもない。  
だが、消灯から1時間が過ぎようとしていたが、メアリはいまだに寝つけずにいた。  
「点蔵様……」  
呟いたのはすぐそばにいる愛しい人の名前。その名を口にしただけで鼓動がわずかに高鳴る。  
彼に対して呼び掛けたわけではないが、返事は返ってこなかった。  
小声ではあったが忍者である彼なら聞き逃すことは無いはずだ。  
そして彼ならば、声を裏返したり噛んだりしながらも、なんらかの反応が返ってくるはず。  
(もう眠ってしまわれたのですね……)  
そう結論づけると、メアリは布団の中で小さなため息を漏らした。  
あの時、極東式の婚姻の儀を交わした以上、自分は既に点蔵の妻であるはずだ。  
だから、求められれば喜んでこの身を捧げようと、毎晩布団の中で  
ドキドキしながら彼が入ってくるのを待っているのだが、いまだにそのような事態は起きていない。  
 
武蔵での生活に慣れるために忙しかったので、詳しく調べる時間は無かったが、  
口づけだけで婚約となるのなら、武蔵の貞操観念が相当に厳しいことは想像に難くない。  
(それでも、求めて欲しいと願うのは強欲でしょうか……)  
布団の中で身じろぎして体を横にし、腕を伸ばす。左手は胸へ、右手は下腹部を撫でながら股間へ。  
右手に触れるそこは、既に湿り気を含んでいた。点蔵に抱かれることを想像しただけで、  
こんなことになってしまうことを恥ずかしいと思う一方で、そんな自分を嬉しいとも思ってしまう。  
(点蔵様……、私は点蔵様が思っているよりも、ずっといやらしい女なんですよ?)  
「点蔵、様……」  
呟く言葉は先ほどと同じ彼の名前。しかし、明らかにそれは艶をおびていた。  
 
「んっ……」  
豊満な乳房を円を描くように揉んでいく。  
彼が信仰の対象とする、それが伝えてくる柔らかな弾力は、確かに全てを受け入れるような優しさがある。  
彼にもこの感触を早く教えてあげたい。制服越しではなく、直に触れて、感じてほしい。  
そして、それは自分も一緒だ。こんなちっぽけな手ではなく、彼の力強い手で……  
「もっと、激しく…っ」  
身じろぎするたびに素肌が布団に擦られ、体全体を愛撫する。  
表面を撫でているだけの右手が、愛液でベタベタに濡れていく。  
下腹部の内側が疼いて仕方がない。  
 
浅ましいまでに、そこに彼が欲しいと思った。  
もはや強欲ではなく淫蕩ですね、と頭の中で声がした。それは自分のものか、半身である妹のものか。  
それでもいいと、メアリは思った。  
「ひゃっ、ぁんっ!……て、点蔵様、私に、んっ、傷を…っ!」  
指を差し込み、キュッと締めつけてくる壁を擦る。  
血肉が通っていることを除けば代替品としては最低ランクの代物だ。  
だが、そんなものででも隙間を埋めなければ、すぐにでも体がはちきれてしまいそうだった。  
「点蔵、様…っ!そこ、いいです…っ、もっと、突いて…っ!」  
やり場のない虚しさを覚えながら、メアリは想像の点蔵に体を預ける。  
じんわりと汗ばんだ乳房への愛撫を続けたまま、右手の往復速度を速める。  
耳障りなほどにヌチャヌチャと粘着性の高い音が布団の中に響く。  
それがまるで、自分が淫らな女だと囁いているようで、自虐的な倒錯感にメアリは溺れた。  
「点蔵、様…っ!わ、私、もう…っ!」  
言葉と同時、今まであえて避けていた一番感じるポイントを強く擦る。  
「……っ!!」  
張り裂けそうな絶叫を、しかし布団を口に加えることで抑える。  
大きな快感の波が体の中を駆け、そのたびにビクンビクンと体が痙攣する。  
溢れた愛液が太ももを伝い、布団に新しいシミを作っていく。  
「……っ、はぁ」  
やがて波が収まると、緊張に固まっていた体が弛緩し、メアリは口から布団を離した。  
荒い息をつきながら、ぼんやりと余韻に浸るメアリの視界が不意にぼやけた。  
(点蔵、様……)  
溢れる涙は止まらない。自慰を行った罪悪感もあるが、それ以上に点蔵への渇望が大きかった。  
淫蕩が消え去った自分に残るのは、やはり強欲だ。  
(満たされたいです、点蔵様……)  
 
ーーコトッ  
 
身を包む脱力感に任せたまま眠りにつこうとしていたメアリの耳に微かな物音が入り込んできた。  
ドキリと一瞬体を硬直させるが、やがて布団から頭だけを出して物音がした方向を確認する。  
勘違いでなければ、音の発生源はベッドで眠る点蔵の方からだ。  
「……点蔵様?」  
尋ねても反応は無く、そもそも体勢が消灯した時から微塵も動いていない。  
気のせいでしょうか、と首を傾げながらも、聞こえていればいいな、と  
「愛しています、点蔵様」  
頬に熱を感じながら呟き、メアリは布団に潜り込んだ。  
 
 

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