皆さん今晩は。飛場・竜司です。  
風呂は男の浪漫と古来より語り継がれてますが、  
正にその通りであると僕も信じております。  
特に、僕の場合は母親公認で同居人の美少女と共に  
風呂に入って体を洗い合う――のなら嬉しいんですが実際には僕が洗うだけです――  
という特殊な環境のため、浪漫指数は実に倍率ドン更に倍、  
浪漫が飛行ではちきれるほどMy Dreamてな具合ですよどうですか!?  
 
それはともかく。  
現在、時刻は午後八時半。場所は僕と美影さんの愛の巣、  
偽装土建屋もろもろにより再建された新・飛場邸。  
なんと今日は、邪魔なマイマザーが友人と旅行に行っているのです。  
つまり今夜は美影さんと二人きり!!  
これでテンションの上がらぬ男がいるのでしょうか!? いやいまい!!(反語表現)  
美影さんは現在入浴中。最近は何でも一人でやろうとして、  
『体を洗う』という役得も遠のいている状態でした。  
しかし! このチャンスを活かさぬ法がありますでしょうか!!  
僕はウォッカ(ストレート)をグラス一気して勢いをつけたりしてみました。  
正直喉が痛かったり鼻から抜けるアルコールがもう何と言うか! 何と言うか!!  
そんなわけで今、身も心も全裸になって突入準備を整えたところです。  
ちなみに血液が下半身の一部に集中し始めたため、腰はタオルでガードchu!  
でもタオルがテント状態になってちょっと危険です!  
美影さんには見せられません! 見せたいですが!!  
そして今、廊下を疾走し脱衣所の前に到着しました!  
脱衣所の扉を開け! 全力で突入し! そして! ついに!   
今脱衣所と風呂場を隔てる黄金郷への扉が開かれ――――  
 
「……リュージ君?」  
「竜司様? そんなに興奮してどうされたのですか?」  
 
……………………あれ?  
 
 警告 警告 異常事態発生  
『大佐! 俺は異次元空間に迷い込んでしまったのか!?』  
『落ち着けスネーク! 素数を数えるんだ!』  
『了解。 1、2、3、5……』  
『スネーク! 1は素数じゃないぞ!!』  
「あの、竜司様?」  
「リュージ君、ど、どうしたの……?」  
おかしいです。予定では慌てて胸を隠す美影さんに  
これ以上あるかというレベルのセクシャルハラスメントをして  
湯船で思う存分いちゃついた後にのぼせた美影さんを御姫様抱っこで  
ベッドに連れ込むはずだったのですが。  
目の前にいるのは、背中を泡で白くした美影さんと、  
長い金髪――何故胸の先端と股間のデルタ地帯が隠れてるんですか!?――&ナイスバディ、  
手に泡の立ったスポンジを持ち、驚いた顔で僕を見る、  
「シ、シビュレさん……」  
何故、何時、如何やってこの二人の愛の巣に!?  
「ええ、先ほど家の前から電話をかけましたら  
美影様が快く迎え入れてくださったのですが」  
「読心術ですか!? 哀川さんですか!?」  
「『あたしの事を苗字で呼ぶな』」  
「そんな聞いたことも無い潤さんの声を正確に再現しないで下さいよ!  
大体何故に美影さんと一緒に風呂に入ってるんですか!?」  
「竜司様と同じ理由ですが……」  
「なっ、なんだってー!!?」  
そ、それは二人で禁断の十八禁百合プルウェイを  
しかも風呂場で繰り広げる算段だったということですか!?  
「美影様の体を洗って差し上げようと、……どうしましたか?  
随分と心拍数が乱れてらっしゃいますよ?」  
平時においても心拍数を計測するとは侮れないってか  
アンタもう自動人形じゃないんでしょう!?  
 
「リュージ君、なんかおかしいよ……?」  
「や、やだなぁ! 僕はいつも通りのナイスガイ青少年ですよ美影さん!」  
「異性の入浴に乱入した時点で性少年にクラスチェンジですわね」  
「性少年……?」  
「美影さんの前で下ネタ言わないで下さいよ!  
つーかシビュレさんってそんなキャラじゃなかったような気が!」  
「ええ、ここ60レスほどで別人格の調整が完了しましたので……」  
「そんな微妙なネタもお願いですから止めて下さい!!」  
「リュージ君、そこ開いてると寒い……」  
「あ、すいません」  
慌てて後ろを向き、脱衣所とを隔てる扉を閉めます。  
「竜司様?」  
「なんですか?」  
「体に似合わず大きいんですね」  
――はい?  
「ンなっ! ななな何を言うんですかシビュレさん逆セクハラですよそれ!」  
「勃起したモノぶら下げて女の子と一緒に御風呂に入るのはセクハラじゃないんですか?」  
「美影さんとはいつもそうだったからいいんですよ!」  
「竜司様、御本人の前でそんな事カミングアウトするのもどうかと……」  
「? リュージ君がどうかしたの?」  
「どどどどうしてもいませんから美影さんは気にしないで下さい!」  
「と言うか、いつまで入っているつもりですか?」  
「ああっごめんなさいごめんなさい!!」  
慌てて閉めた扉を開けなおそうとする僕ですが、何故かビクともしません。  
「まあゆっくりしていって下さい。重力制御で開かないようにしましたので」  
「アンタ突然押し入ってきたくせにさっきから言動がメチャクチャですよ!!」  
「まあ……。押し入ってきたのは竜司様ではありませんか」  
「そういうことじゃなああぁぁぁいっっ!!!」  
 
――約五分後。  
 
何故か僕は両手を後ろで縛られ、浴槽の方を向いて正座させられています。  
ちなみに大事なところにはタオルがかけられているのですが、  
僕の中の犬畜生スピリッツが愚息への血液輸送を指示する為、  
自分で言うのも何ですが見事なテント状態です。  
シビュレさんと美影さんは浴槽内に逃げ込んでしまい、  
正座したこの状態ではお二人の裸身を観賞することが出来ません。  
いえ、確かに手を縛られたって立ち上がることは出来ます。  
しかし、立っている状態で立ち上がることは出来ないのです!(悪魔のミカタより)  
それにですよ! あのシビュレさんが、UCAT内にファンクラブまであり  
『女神』と称されるシビュレさんが! 僕に『正座していなさい』って言ったんですよ!?  
これに反応せずして犬を自任出来るのかってもんです!!  
「リュージ君、やっぱり変だよ。さっきからブツブツ……」  
「ああ! いえ何でも無いんです美影さん!」  
「息子さんの方は何でも無くないみたいですよ?」  
「ああっ! そんな風に言わないでくださいシビュレさんっ!(びくびくぅっ!!)」  
愛読書『びんかんサラリーマン』の敏感一郎の如く反応する我が犬畜生精神です!  
決して言葉責めに耐えられなくて発射した音ではありません! 本当です!!  
……タオルが濡れてるのは先走りじゃなくてお湯なんですって!!  
「ところで美影様、竜司様の性器を御覧になったことはありますか?」  
「性器?」  
「ななな何をいきなり僕と美影さんはピュアでプラトニックな関係ですよ!?  
そんな風に肉体関係を匂わせる発言は」  
「竜司様は黙っていて下さい」  
「はい……」  
そ、そんな目で見られたら従うしかないじゃないですか!!  
「呼び方は色々ありますが、要するに今竜司様の股間でいきり勃っているアレのことです」  
「え、えっと……。教科書の写真に載ってる人のは見たことはあるけど、  
リュージ君のは、無いよ?」  
 
「教科書……?」  
「うん。裸の男の人と女の人がたくさん載ってる本。  
たまに男同士とか女同士もあるけど……」  
あああそれは原川先輩から借りた米の国直輸入の性教育の教科書です……。  
シビュレさんは少し悩んだみたいですが、美影さんの体を見て、  
 
「……ああ、成程。まだ『開発途中』なんですね?」  
 
――ぞくり、と悪寒が走りました。  
何でしょう、あのシビュレさんの表情は。  
横顔ですが、目といい、口元の笑いといい、  
今までに見たことの無いシビュレさんの顔で――  
 
ザバッ  
「美影様、もしかしてその本では――」  
立ち上がって浴槽から出てくるシビュレさん――うわ色々見えてます僕幸せです!!――は、  
「こういうことをしていませんでしたか?」  
僕の横に膝を崩して座り込むと、  
愛しい愚息を覆っていたタオルを取り去り、限界まで膨張していたそれを握りました。  
「あ、――うん、そんなのもあった……」  
「ってちょっとシビュレさん! アンタさっきから何するんです、か……?」  
怒鳴る僕を、シビュレさんが下から見つめてきます。  
何故でしょう。微笑んでいる彼女の目を見た途端、体から力が……。  
「竜司様は黙っていて下さいと、先ほど言ったはずですが」  
「す、すみません…………ウッ!」  
「それに美影様、こういうこともしていたでしょう?」  
シビュレさんは、美影さんの方を見ながら手を上下し始めました。  
こんな限界まで勃起した状態で他人に触られるなんて初めてです。  
シビュレさんの柔らかい女性の指の感触は、普段息子の恋人を務める  
マイライトハンドとは全然違います。正直ヤバいです。  
 
「う、うん。それはビデオの方で見たけど……」  
美影さん、何でそうペラペラ喋っちゃうんですか!?  
「ビデオですか。とすると、こんなのも……」  
と、シビュレさんは握り擦っている僕の息子の方に頭を寄せて、……ってそれはマズいですってば  
片手で髪を上げる仕草が色っぽいじゃなくてああおっぱい丸見えですってだからそれも違――  
「うあっ!」  
「んっ、ふ、ぁっ……していたのでは、ないですか?」  
「え、と……」  
美影さん、困ってるみたいです。それもそうでしょう。というか僕も困ってます。  
シビュレさんは今、僕の勃起しきった息子を口でくわえたり舐めたりしてます。  
これがフェラチオってやつですか。いつかは美影さんにしてもらおうと思ってたんですが、  
まさか他の人、それもシビュレさんにされるなんて想像してませんでした。妄想したことはありますが。  
カリ首や亀頭を舐め回す舌は、未経験の快感を僕に与えてくれます。けど――  
「し、シビュレさんっ!」  
「んっ……竜司様、ですからお黙り下さいと……」  
「で、でも、ちょっヤバ……」  
「何がヤバいのですか? 両手拘束されてナニおっ勃てるような犬が何を言いますか」  
そう言うと、シビュレさんは手のスピードを更に上げて――  
「いやっ! だから、そうじゃなくてっ! …………うあぁっ!!」  
 
ドピュッ……ドクドク……ドク……  
 
「りゅ、リュージ君? どうしたの!?」  
「かっ、は……」  
開いた口からだらしなくよだれ垂らしながら、  
僕は興奮で荒くなった呼吸を落ち着かせようとします。  
胸を締めるのは罪悪感でしょうか。  
目の前の、美しい顔を白く汚してしまったシビュレさんへと、  
他の女性が相手なのにこんなことを見せてしまった、美影さんへの……。  
「だ、大丈夫です。大丈夫ですから、美影さん……」  
そう言って、笑顔を作ろうとする僕はちょっとカッコイイと思います。  
 
「……竜司様、随分と『早い』のですね」  
 
鈍器で頭を横殴りにされた気分です。  
顔と手についた僕の精液を舐めながら――うわ女優さんよりよっぽどエロいんですけど――、  
シビュレさんは僕の男の尊厳を責め立てます。  
「拘束されて罵られて、それに興奮してペニス勃起させて、  
あげく恋人の前で他の女性にあっという間にイカされるなんて、――最低の男ですね?」  
「うぅ……」  
反論のしようがありません。  
「リュージ君を最低だなんて言わないで! そんなの言うならシビュレだって怒るよ!?」  
「あら、失礼しました美影様。――ですがほら、竜司様は最低と言われて喜んでますよ?」  
「ッ……」  
そうです。こんな情けない状況にあっても、  
我が息子はシビュレさんに罵られて活力を取り戻しつつあるのです。  
自分の若さと犬属性を恨むのは、初めてかもしれません……。  
 
「それに美影様。目の前で生の行為を見るのは、本やビデオより興奮するでしょう?  
体が熱くなってたりしませんか?」  
「やだっ、違うもん! 体が熱いのはお風呂が……」  
「ふふっ。愛しいリュージ君の生チンポから、ドクドク精液出てきて凄かったでしょう?  
あんな風に自分も精液まみれになりたい、とか思ったんじゃないですか?」  
「そ、そんなこと……」  
美影さん、シビュレさんのストレートな物言いに、恥ずかしいのかうつむいてしまいました。  
シビュレさんの言う通りだったら正直嬉しいなあとか、ちょっとでも思ってしまった自分が憎いです。  
「そんなことない、ですか? でしたら……」  
「? え、ちょっ何を……」  
シビュレさん、僕の拘束を解かぬまま、  
器用に正座から仰向けへと体勢を変えさせます。  
背中の下で手が潰されて、ちょっと痛いのがまた何と言うか……。  
シビュレさんは僕の腹に、顔に背を向けるようにしてまたがりました。  
「ってちょっとシビュレさん! 何する気ですか!?」  
「何って、……解りますでしょう?」  
「いやいやいやちょっとまさか」  
シビュレさんの体が邪魔して見えませんが、彼女の手が  
未だ硬さを保つ僕の愚息を撫でる感触が伝わってきます。  
首を上げても、見えるのはシビュレさんの美しい後姿だけです。十分ですけど。  
ただ、もし僕の予想通りの事をシビュレさんがしようとしてるのなら、  
肉体的には超HAPPYですが精神的にアウトです。  
シビュレさん、肩まで湯船につかってうつむいてる美影さんを見て、  
「せっかくだから、美影様も見たいですよね? ――生のセックス」  
 
「……シビュレさん、お願いですからそれだけは勘弁して下さい」  
「? 竜司様くらいの年頃なら、頭の中は常に誰かとセックスすることで一杯なのでは?」  
「それもあながち間違いではないですけど……」  
「もしや、私では、……御不満がお有りで?」  
「い、いや……」  
僕にまたがったまま、半身を振り向かせ話すシビュレさん。  
ムチャクチャ色っぽいんですけど、なんか、怖いです……。  
「それとも、『御風呂とベッドどっちがいい? 選ばせてあげる』  
の台詞をご所望で?」  
「……もう他作品ネタはいいですから。  
あのですね、」  
ふう、と一息ついて、僕は言います。  
 
「――美影さん以外の人とは、セックスしないって、決めてるんです……」  
 
 
わずかの間、沈黙が風呂場を支配しました。  
首を少し横に向けると、驚いた顔でこっちを見る美影さんと目が合いました。  
今度こそ、ニッと笑ってみせます。――ああやっぱり僕カッコイイなあ!!  
「……竜司様。例の小説をご存知なのでしょう?  
あれにならって、私が今、無理矢理竜司様を犯す事も可能なのですが」  
「ちょっと待って下さいそれは計算外ですよ!?」  
「まあ、その理由を最後まで語るのでしたら、その間は待ちましょう」  
「有り難う御座います……」  
って、美影さんの前で己の誓いを告白する羞恥プレイを強いられて、  
なんで僕はお礼なんて言ってるんでしょうか……。  
とにかく、覚悟を決めましょう。  
ここでシビュレさんに犯されたら、健ちゃんよろしく一生のトラウマ確定です。  
……親公認って幸せですね。  
 
「えーと、ですね……。そんな大した理由があるわけじゃないですけど、  
美影さんとずっと一緒にいたいですから、浮気っぽいこともしたくないんです。  
なんか、美影さんまで汚してしまいそうで……」  
かなり恥ずかしいです。美影さんの顔を見ることも出来ないので、  
仕方なく反対を向いて風呂場の壁を見ます。  
「リュージ君……」  
あ、なんか美影さんの声がちょっと嬉しそうです。  
これはもうハートをガッチ確定でしょう!!  
「……あの、竜司様。青春物のように潔癖さを表すのは結構なのですが……」  
何故かシビュレさんは言葉を止めました。何を躊躇ってるんでしょうか?  
「この状況で申し上げるのは非常に気が咎めるんですが、その、  
竜司様のPCのハードディ  
 
「うわああぁぁぁぁぁ!!!!!!」  
 
全力で大声を出して遮りました。  
「ちょっとシビュレさん勘弁して下さい折角カッコよく決めたとこなんですから  
そんな些細な事でぶち壊さないで下さい本気と書いてマジでお願いします!!!」  
「りゅ、リュージ君、うるさい……」  
風呂場という特殊な空間で、僕の大声は反響し放題です。  
「ご、ごめんなさい……」  
「ううん。よく解らないけど、さっきのは、――嬉しかったから」  
「えっ……」  
微笑む美影さんの顔を見て、僕も自然と頬が緩みます。  
と、腹の上の重みが消え去りました。  
見れば、シビュレさんが僕の上から降りています。  
「……私としたことが、『妹』の人生まで狂わせてしまうところでした。  
申し訳、いえ、……御免なさい、美影……」  
「ううん、私も、その、色々勉強になったから……」  
二人も和解ムードで、HAPPY END一直線の気配です。  
 
「あのー、ところで僕の拘束は……」  
「それはそうと美影様。竜司様はまだ治まらないようですが……どうしますか?」  
「えっ? ど、どうするって言っても……」  
ナチュラルに無視されましたが、確かに自己主張を続けるマイサンの処遇は懸案事項です。  
「い、いいですよ手のタオルさえほどいてくれれば自分でどうにかしますし」  
「……それよりも、良い方法がありますわ」  
シビュレさんの目が妖しく光ったのは、僕の気のせいでしょうか。  
 
「美影様が、静めて差し上げれば良いのです」  
 
…………いやそれは僕的には最高というか別にシビュレさんのお口でも良いんですけど  
だって美影さんはまだそんなのやったことないし丁度今日ネットで新庄先輩と風見先輩に似た  
女優さんの3P物を拾って未使用状態ですし  
「竜司様。今後インターネットはほどほどにしてくださいね?」  
「だから読心術はやめてくださいって!!」  
「え、え、えと、静めるって、その……」  
見れば美影さん、ここ最近で一番の困り顔をしてます。ああ可愛いなあ。  
目が合ったシビュレさんは、  
「ですから、先ほど私がした様に、竜司様の性器に刺激を与えて  
射精を促して差し上げればよいのです」  
「う、うぅ……」  
「出来ませんか? ならばもう一度私が……」  
「いっ、いいよシビュレは! 私がやるから!!」  
「美影さん……」  
思わず感動で涙が流れてしまいます。全米が号泣です。  
浴槽から出た美影さんの体を隠すものは無く、何度も見てはいるのですが、  
これからあんな事やそんな事をしてもらうと思うと、妙に色っぽく見えるから不思議です。  
寝転んだままの僕の足をまたぐように座った美影さんは、横のシビュレさんを見て、  
「な、なんか間違ってたら言ってね……?」  
「大丈夫です! 性行為で一番重要なのは『愛』ですから!」  
愛。愛! ああなんとステキな響き!!(びくびくぅ!!)  
 
「じゃあ、……触るよ、リュージ君」  
「は、はい……」  
そっ、と触れる美影さんの手は、おっかなびっくりといった感じで  
その初々しさがもう! もう!!  
「そう。それで、触ったら動かして……」  
「こ、こう?」  
シビュレさんのナイスアドバイスに促され、美影さんが手を上下させます。  
さっきのシビュレさんと違ってぎこちないですが、それもまた快感……。  
「リュージ君? ボーっとしてるみたいだけど、大丈夫?」  
「いえ、美影さんの手があまりにも気持ち良くて……」  
「やだ、そんなこと言わないでよ……」  
照れてそっぽを向く美影さんですが、手は離さずにそのままです。  
今こそ我が人生の春! 断言できます!  
「ど、どうかなあ?」  
「そうですね。手だけだと刺激が弱いかもしれませんから、ここは一つ……」  
シビュレさん、指を立ててペロリと舐めました。  
そのジェスチャーを見て、美影さんが既に赤い顔を更に赤くします。  
「は、恥ずかしい……」  
「大丈夫ですってば。ほら……」  
少し躊躇いましたが、美影さん、ゆっくりと顔を近づけ始めました。  
はちきれんばかりに膨らんだ僕の亀さんに、舌を伸ばして……  
「ううっ!!(びくびくぅ!!)」  
「えっ? ――きゃあっ!!」  
「あら、まあ……」  
 
……不覚にも、先端を一舐めされただけで昇天してしまいました。  
きっとこれはあれです! その前からシビュレさんに散々焦らされていたから――  
「一回出しておいてこれとは、竜司様は相当な早漏ですのね……」  
 グサッ  
「リュージ君、……最低」  
 グサグサッ  
顔を白く汚しながら、頬を膨らませてそっぽ向く美影さんはツボにジャストヒットだったのですが、  
それ以上に男としての情けなさが先に立ち……。  
「……ごめんなさい……」  
「まあまあ竜司様。次までには鍛えておいて下さいね?」  
「肝に銘じます…………はい?」  
 
次って、一体何の事、ですか……?  
 
 
 
 〜 完 〜  
 

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