浅間さまが射てる  
 
 
澄み切った空が清々しい朝。  
 
「ごきげんよう」  
「ごきげんよう」  
 
武蔵様の艦上に集う外ど――失礼。乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、校庭に架かる橋を渡り歩いていく。  
 
「ほら、鈴さん。タイが曲がっていますよ?」  
「あ…、あり、がと……ざい、ます。智、お姉、様……」  
 
「ご覧になって!浅間様が鈴さんとイチャついてらっしゃるわ!」  
「朝から眼服キマシタワーー!!」  
やいのやいの  
 
……汚れを知らないはずの心身を包むのは、極東式の制服。  
アタッチメントのスカートは乱さないように、首のハードポイントは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。  
もちろん、遅刻ギリギリに全裸で走るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもな――  
 
「やっばい、遅刻しちゃう!ホラ君ってば朝からあんなスゴいの食べさせるんだからもうっ……服着てる時間なんてないよね!!」  
 
――ならば何故今そこで服を脱いでいるのですか!ああ、昨日言ったばかりなのにまた下着を放り投げて!あーもう、あーもうっ!!  
「あの、……あ、れ……トーリさ……」  
 
ズドン  
 
「ひ……っ!?」  
……はい、そんな生徒など存在しようはずもないのです。ええ、だって現にいないじゃないですか。やだなぁ、フフフ。  
「――鈴さん、急がないと遅れてしまいますよ?」  
「……え?は、は……い?」  
 
 
ともあれ  
ここは武蔵アリアダスト女教導院  
 
ここは、乙女の園――  
 
 

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