ひょっとしたら有るかもしれない先の話:
「母上は、手ぬるい――!」
「え?やっぱり頭に巻いた方がいいのかな?」
「別にてぬぐいの話をしている訳ではありません。トーリ母様」
朝食の席に着くなり、やぶからぼうに口を開いた少女はそう言って”二人の”母親に声を掛けた。
母親譲りの銀髪をかき上げて、食卓の向かい側に座る同じ銀の髪を持つ母親に真正面から視線を合わせる。
「・・・貴方は朝からいったい何ですの?言いたい事があるなら意見ははっきりと申しなさい」
朝食を口にしつつ、そう自分の娘に言い放ったのは銀の髪を持つ人狼家系の女性、ネイト・ミトツダイラその人だ。
「Jud.、こういう事を娘の私から言うのもなんですが・・・お二人の夜の営みの事です」
「ぶっ!」
そんな少女の言葉に、ミトツダイラは思わず口にしていた茶を一気に飲みこんでしまい、その熱さに悶絶する。
傍らのトーリが慌てて彼女に水を差し出した。
「ネイト母上、トーリ母様は他にも嫁御がたくさん居られる方です。率直に申し上げてエロスの捌け口には不自由しておりません。
そのような状況で、毎度毎度結果的に床の上では主導権を握られ、アヘ顔晒して大量射精するばかりではワンパターンの極み!
早々と倦怠期などに入られてはと、弟か妹の一人も望む自分としましては真に心配なのであります」
「んー、でも毎回握ってる訳じゃ無いよ。ネイトはどっちかっていうとお口や膣内でスるのが好きだし」
「Jud.、トーリ母様、握るといっても別に棒や玉の扱いのことではございません」
「あ!朝っぱらから、何の話をしてますの――!」
次の瞬間、とある家庭の窓から茶髪と銀髪の影が宙を跳んだ。