あれから数日、クラスの連中の様子がおかしい。
トマスが押し掛けてきた件で冷やかされると思ったら、男子連中には、
『眼鏡枠を二つも持っていきやがって…』と、よく分からない事を言われた。
浅間君には、
「え、えぇと、その、若い内は体裁が大変ですよね?」と、よく分からない事を言われた。
立花嫁には、
「Jud.、そういうことにしておきましょう」と、本当によく分からない事を言われた。
葵姉には、
「フフフ、このムッツリ歴史オタクめ、見直したわ…!」と言われ、これは無視しておこう。狂う。
向井君には、顔を赤らめて、
「な、何、も、き、聞いて、ない、から…!」と言って逃げられた。
バルフェット君には、
「ま…ままままさか、真面目なはずの書記が淫行をー!」と言われて逃げられ──、待て、ちょっと待て。
ナルゼ君に肩を叩かれ、
「ネタにさせてもらったわ、──内容的にR元服になったけど」と、同人誌を渡された。
呆然としていると、葵が皆に向かって、
「いいかぁ──!?皆!ネシンバラがエロい事したからって責めるなよ!?
あいつは皆より一足早く大人になっただけで、け、決して羨ましくなんかないんだからねっ!?」と叫んだので、
とりあえず、秘密にしていた件など、諸々込みで、右ストレートを食らわせた。
いろいろ疲れ果ててうなだれていると、トマスが傍に寄り添って、
「よかったじゃないか、晴れて公認の仲だ。…ライバルも減って、一石二鳥、
ネタにもなって一石三鳥だ。今度はお返しに黒髪翼のを書いてあげようか」と微笑みかけてきた。
──えぇい、もうどうにでもなれ…!
トゥーサン・ネシンバラには、目下大きな悩みがあった。
武蔵の現状とか末世とか通神帯での酷評とかはもうどうでもいい。
梅組連中が濃すぎる事、全裸が馬鹿な事、とんでもない場面を知られた事、全裸が馬鹿な事、
そして、隣にいる少女が非常に扱いにくい事である──。