「どうぞ、二代様。今日は卵焼きが上手くできました。はい、あーん」
「おお!これはかたじけない・・・むう、いつもながら美味いで御座るなあ」
「ありがとうございます。おにぎりは何になさいますか?こちらは昆布の佃煮ですが」
「うむ、ではそちらを・・・」
時は昼時、武蔵の面々がそれぞれに昼食を取る中の一角に、身悶えするような空気が漂っている。
己の武装である蜻蛉切を簡易分解して手入れをする本多・二代と、その横で文字通り手が離せない二代の
世話を焼くのは、美しい黒髪を肩口で切り揃えた少女だ。
仲睦まじく料理を食べさせる少女と、彼女手製の料理に舌鼓を打つ二代の姿は周囲に濃密なラヴ空間を
形成しつつあった。
「せ!先輩!あ、甘いであります!・・・」
「我慢しろ!俺も耐えているんだ!!」
耐性の無い者達が次々に倒れていく。
「ああ、おなごに生まれる事のできなかったこの身を何度嘆いた事か・・・
そんなわたくしが二代様のような天下無双の勇士に嫁げるとはなんと幸せなことでしょう」
「拙者、できないことは無いで御座るが、武芸ほど家事に熱心にはなれぬで御座るからなあ。
拙者こそ、そなたのような嫁を娶れて幸せで御座るよ」
「相変わらずネームの宝庫ね・・・」
「ガっちゃん、ネタ帳に纏めるのとご飯食べるのどっちかにしたほうが良いとナイちゃん思うかなあ」
武蔵ではごくありふれた毎日となりつつある光景であった。