夜、汗を流すため正純は浴場に来ていた。
隣には途中で合流した二代がいる。
(綺麗だよなぁ……)
体を洗う二代を横目で見つつ、そんな事を思ってしまう。
「ん? どうしたで御座るか正純」
ふと、二代と目があった。
「あ、いや、二代の身体って、無駄がないよなぁと思って」
侍として育てられてきた割に、細身で流れるようなラインがある。
長い黒髪もまた、そうみせる一因だろうか。
「いや、拙者にも無駄な所はあるで御座る」
「そう、なのか?」
意外だ、と、正純は思う。
「うむ。油断していると無駄が出てきてしまう故、手入れは欠かさぬで御座る」
「なんか……大変だな」
「いや、これも一つの……む?」
二代が言葉を止め、正純を見る。
「どうした?」
「正純、お主の手入れをしてやってもいいで御座るか?」
「わ、私か?」
「拙者が見る限り、正純にも多少無駄が見えるで御座る。別に強要はせぬが……」
二代に言われ、正純は自分の身体を見回す。
「別に無駄は……」
ないはずだ。と思ったが、最近何かと高カロリーな食事ばかりな気がする。
仕事と馬鹿へのツッコミでカロリー消費は行えてると思うが、
「……正純?」
「うん、じゃあ二代、頼む」
正純が頼むと、
「承知した」
二代は正純を浴場のタイルに押し倒した。
「え? えぇ?」
正純は訳がわからなかった。
二代に手入れを頼んだ所押し倒されて、今背はタイルの上にある。
そして二代は、自分の下半身に顔を近づけていた。
「ふふふ二代!? お前何を−」
「何って……手入れで御座るよ?」
「手入れって……何を?」
正純の疑問に二代は正純の股に触れ、
「ここの事で御座るが」
さらりと答えた。
「…………け」
「…………け?」
「……毛の事かー!!」
いきなりの絶叫に、二代が怯む。
「いきなり大声を……何だと思っていたで御座るか」
「だ、だってお前! 無駄な所とか、手入れは欠かせないとかっ」
「だから、手入れは欠かせないで御座るよ?」
詐欺だと心の中で抗議するが、二代は既に行動に出ていた。
「ひあっ」
「正純、動くなで御座るよ」
二代の指で、石鹸の泡が正純の股に塗られる。
「ちょ、二代、本当に……?」
「武士に二言はないで御座る」
流石にこの時ばかりはあってくれと思ったが、二代はさらに作業を進める。
「あ……ふ」
「……? 正純、気持ちいいで御座るか?」
「い、いや!そんなことないんっ」
「やはり気持ちいいので御座るか……」
「ふ、二代? なんか妙な空気を感じるが」
「……何でもないで御座る。そろそろ剃るで御座るよ?」
「あ、ああ」
二代の反応に少し疑問を感じながら、正純は刃が肌に当たる感触を感じた。
「ん……」
少しこそばゆいそれは、ゆっくりと正純の股を上下に撫でていき、その度に、剃れる音が響く。
「んぁ……」
「動くなで御座るよー」
股から二代が声をかける。
(動けるわけないだろ……)
そう思いながら、正純は二代に身を任せた。
「二代、なんか……すまなかったな」
手入れも終わり、二人で湯舟に入り話をする。
「いや、拙者も他人の事をしてやるなど初めてだったもので、良い経験だったで御座る」
「そ、そうか……」
二代の言葉に、正純は少し赤くなる。
(ゆ、湯舟のせいだな。うん)
そう言い聞かせ、湯舟から上がろうとした時、
「正純」
二代が声をかけた。
「ん? どうした、二代?」
二代は少し顔を赤らめながら、
「今度は……拙者のほうもしてもらえないで御座るか?」
「…………」
「…………」
「…………え゙?」
それはまた別の話。