闇の満ちた部屋にいくつかの音が響いている。
一つは何か柔らかい物がぶつかり合う音。
もう一つは粘着性を持った水音。
そして、二つの声だ。
「……っ!……くっ……!」
「んっ……あ……!」
闇を透かした中、ベッドの上に二つの人の姿がある。
一人は金色の髪をベッドの上に振りまいている少女の姿。
もう一人は少女の上に覆い被さる形でいる赤い眼をした少年の姿。
どちらも一糸纏わぬ姿で抱き合っていた。
少年が腰を激しく動かし、少女の身体を男根で突く。
「く、はぁ……美影さん……!」
「んんっ……は……リュージ君……」
互いの名を呼び、相手を抱きしめる力を強くする。
「ん……。リュージ君……」
美影が首を動かし、飛場に唇を重ねる。
「ん……」
唇を重ねたまま、腕だけでなく脚も使い、飛場を抱きしめる。
「み、美影さん……もう……!」
「あ……、ん……いいよ……リュージ君……!」
美影の答えを聞き、飛場が、さらに動きを速くする。
そして、飛場が一際大きく突き込んだ。
男根が美影の最も奥に達する。
「リュージ君っ……!……んんんっ!!」
美影が僅かに身を反らした。
同時、飛場の男根が強く締め付けられる。
「……っ!」
飛場が男根を美影の身体から引き抜く。
「くぁっ!」
飛場の男根から白濁した液体が発射され、美影の腹に、胸にかかる。
「は……」
「……ん……あ……」
二人は息を整え、
「ん……。リュージ君」
「美影さん……」
もう一度、軽く唇を重ねた。
カーテンの隙間から差し込む光で、美影は目を覚ました。
首を動かして周りを見れば、ここは自分の部屋ではない。
だが、自分のよく知る部屋だ。
……リュージ君の部屋。
身体を起こし、ベッドの上を見下ろす。
自分の隣には飛場が、裸で寝ている。
自分の身体を見れば、飛場と同じく裸だ。
……昨日はリュージ君と……。
思い出し、笑みを浮かべる。
時計を見れば、もう飛場が学校に向かう時間だ。
飛場の身体を揺する。
飛場が身をよじり、呻き声を上げた。
「う〜、あ〜、み、美影さんっ!それはまだ早い気がっ!」
「まだ早いの?遅刻するよ?」
美影が首を傾げていると、飛場が横に転がった。
そのまま、ベッドの縁まで転がり、落ちる。
鈍い音が響いた。
「は!何故僕は床に寝ているんですか!?」
飛場の声が床から聞こえてくる。
美影はベッドの縁まで移動し、下をのぞき込む。
「リュージ君?」
「あ、美影さん。おはようございます」
「ん。おはよう。……遅刻しない?」
飛場が立ち上がり、時計を見る。
「あ……」
飛場が慌てて制服を着る。
「それじゃ、美影さん。行ってきます!」
制服の上着を袖を通さず肩に引っかけ、デイバッグを掴み、部屋から出て行く。
「ん。行ってらっしゃい」
飛場が部屋のドアを閉める。
少し間をおいて、階段を駆け下りる音が響いた。
「朝御飯食べて行かないの?」
「すいません遅刻しそうなんで!」
飛場の母と飛場の会話が聞こえてくる。
ドアを勢い良く閉める音が響いた。
部屋の中に静寂が訪れる。
美影は服を着ようとベッドから降りた。
服はどこへ置いたかと部屋を見回す。
すると、一つの違和感を見つけた。
「?」
本棚の後ろから、本の角が覗いている。
近づき、本を抜き取って、表紙を見た。
「……!」
美影は、そのまましばらく表紙を凝視していた。
尊秋多学園から下校した飛場が家に着くと、既に辺りは夕日で朱に染まっていた。
今いる場所は二階。
自室のドアを開ける。
朱に染まった部屋の中、人影があった。
「……美影さん?」
美影が飛場のベッドに腰掛けている。
「ん。リュージ君。おかえり」
美影は、そう言って黙った。
その様子に疑問に思いつつ、デイバックを肩から外して放る。
そして美影の方へ向くと、彼女の横に置いてあるものを見つけた。
先日、原川経由で手に入れた無修正本だ。
確かソフトSMな内容だったが。
「あ……いやそのそれは美影さん……」
飛場はそう言って美影に近づく。
最近美影はこちらがこの手の本を持っていると焼却処分しようとしてくる。
……そういうのも可愛いんですけど。
「――リュージ君」
思考していると、美影がいきなり言い、立ち上がる。
「は、はい!?」
「ん。……できるから」
意味を理解できず飛場は疑問詞を浮かべる。
「え?んっ――」
だが、それは美影の唇に阻まれた。
「――!」
美影が身を回し、二人の位置が逆転する。
そのまま、飛場はベッドへ押し倒された。
「――は」
美影が唇を離す。
「み、美影さん……何を……」
疑問を塞ぐかの様に再び唇を押しつけられる。
美影は目を閉じ、飛場の唇の感触を味わった。
さらに、舌を伸ばす。
飛場の唇をこじ開けるように舌を入れた。
「――!」
飛場の身体が驚きに震えるのが伝わる。
だが、美影は構わず、自分の舌で飛場の舌に触れる。
舌を絡めようとするが、うまくいかない。
だが、しばらく動かしていると、飛場の方から絡めてきた。
お互いの舌を、口腔内を探るように動かす。
「は……あ……」
「ん……は……」
やがて、息が続かなくなり、唇を離した。
「は……。美影さん……どうしたんです……?」
再び、飛場が疑問を投げかける。
「ん。……私にも、できるから」
美影はそう言って、飛場の腕を押さえた。
自分の力は弱い。
飛場が抵抗すれば簡単に振り解かれるだろう。
だが、飛場はこちらの顔を見たまま、動かない。
美影は用意しておいたゴム紐を取り出した。
飛場の両腕を交差させ、ベッドの柱に縛り付ける。
「あ、あの……美影さん?」
「ん……。私にも、その本みたいに、多分、リュージ君を良く、できるから」
やや、きつめに結ぶ。
「だから――」
飛場の顔を覗き込み、笑みで言う。
「私が、してあげるね」
美影が、飛場のズボンを脱がしていく。
「美影さん……」
「ん、動かないで」
脚から完全に抜き取らず、膝の辺りで止めると、
続いてトランクスに手を掛ける。
思わず、手を動かそうとするが、縛られた腕は簡単には外れそうにない。
飛場の男根が露わになる。
「ん。……リュージ君、まだなのに――」
見れば、男根は既に少し硬くなっている。
「あ、いえ、その……」
美影はこちらの言い訳に耳を傾けず、唇で男根に触れた。
その感触に背筋が震える。
「く……」
「ん……ふ……」
美影の舌が、男根を這うように、
根本から撫で上げるように先端へ、
先端をつつくように、動く。
「っ!……うあ……美影さん……」
男根がゆっくりと、硬く、大きくなっていく。
美影の頭を、いつものように撫でようとしたが、
腕を縛られているため、叶わない。
「ん……はあ……、リュージ君……」
美影が舌を離す。
「は……んむ……」
美影が口を開き、男根をくわえ込んだ。
「くふあっ……!」
飛場の声が部屋に響く。
美影は口腔内で、男根に舌を絡める。
以前よりは、滑らかに動かせた。
「ん……むっ……」
男根全体を刺激する様に、舌を動かす。
「うあ……くっ……」
動かすたびに、飛場が反応し、表情を快感に歪めた。
不意に、美影が舌を絡めるのを止める。
「ふ……美影さん……?」
だが美影は、口を男根から離さず、頭を前後に揺らし始めた
「くうっ!う、あ、美影さ、ん……!」
男根の先端が口腔内のあちこちに当たる。
その度に、飛場は身体を震わせ、反応する。
その反応を楽しみながら、美影は頭を動かす。
「……痛っ!」
だが、いきなり飛場が身体を跳ねさせた。
美影の犬歯が、男根に当たったのだ。
「リュージ君……痛かった?」
「っ……あ、いえ、大丈夫……です。」
ん。と答え、美影は動きを再開する。
歯に当てないようにしながら、速度を上げていく。
「は……美影さん……もう……っ!」
飛場の叫びに、美影は構わず、大きく動かした。
「っ……うああっ!!」
飛場が声を上げると同時、大きく男根が脈動した。
男根から美影の口腔内へ、白濁液が発射される。
「んむっ……んんっ……!」
美影が口をすぼめ、男根から離す。
だが、白濁液を口に含んだままだ。
飛場が慌てた声で言う。
「み、美影さん!あ、吐き出して……!」
だが、美影は首を横に振る。
こぼさないよう、唇に指を当てると、
ゆっくりと嚥下した。
飛場は美影の喉が動くのを見る。
「美影さん……」
美影は全てを飲み込み、やや眉尻を下げて答えた。
「ん、苦い……」
彼女の目の端に僅かに涙が浮かんでいる。
それに気づき、飛場は言葉をかけた。
「美影さん。無理しなくていいですから……、これ以上は――」
だが、美影は首を横に振る。
「ん、平気だから。リュージ君――」
言葉を一度止め、美影が服を脱ぎ始めた。
ボタンを外し、ワンピースを脱げば、白い肌が飛場の目の前に晒される。
さらに下着を両方外す。
美しい、と飛場がそう思う裸体が露わになった。
美影が止めた言葉の続きを言う。
「――続けるね」
美影が、こちらの腹の上にまたがると、
その形の良い胸をこちらの顔に押しつけた。
「むふ……」
その行為で、飛場は喋れなくなる。
「ん、リュージ君。舐めて……」
美影の声が聞こえる。
喋れない飛場は行動した。
胸の先端を口に含む。
「ん……」
美影が息を漏らした。
さらに、先端を転がすように舌を動かす。
「あ……ふ……」
その度に、美影の甘い声が聞こえた。
飛場の舌の感触が、胸の先端から伝わる。
「ぅ……ん……リュージ君……」
美影は甘い刺激に浸る。
だが不意に、強い刺激が来た。
「んっ……あ!?」
飛場が、先端を甘噛みしている。
「リュージ君……」
その強い刺激に、頭が霞む。
このまま、飛場の束縛を解き、身を任せたい衝動に襲われる。
だが、美影はそれを否定するように頭を振った。
……私にもできるって、そう言ったから。
美影は身を起こす。
飛場の顔から胸が離れた。
「あ……美影さん?」
脱いだ服のポケットから、もう一本ゴム紐を取り出す。
飛場の腰部分を見れば、男根は既に再び勃っている。
「あの……何を……?」
飛場の問いに答えず、美影はゴム紐を男根の根本に巻き付けた。
血流を止めない程度に結ぶ。
「ん。リュージ君。いつも、私の胸。気持ちいいって言ってくれるね」
美影は笑みを浮かべ、言葉を紡ぐ。
「今日はたくさん、してあげるね」
言って、美影は躊躇無く、男根を胸で挟んだ。
男根の帯びた熱が伝わってくる。
「ふあ……!」
飛場が声を上げた。
「ふあ……!」
男根を挟む柔らかな感触に、飛場は声を上げた。
「く……美影さん……」
美影が、自身の胸を動かしはじめる。
「うあっ……」
「ん。――気持ちいい?」
「く……は、いいですよ……」
ん、と答え、動きが少し速くなる。
美影の顔が、この体勢では見られないのが残念だと思いながらも、
柔らかな美影の胸で擦られる感触に、精神も肉体も昂ぶってくる。
男根の先端に、舌の感触が来る。
「くあっ!美影さん……!」
「ん……ふ……」
美影が胸で挟み込んだまま、先端を口に含んだのだ。
追加で来る快感に、飛場はさらに昂ぶる。が、
「……あ?」
いつもなら来るはずの射精感がない。
ただ、身体に押さえがたい感覚が有るだけだ。
その原因に飛場は気付く。
「っ!美影さん……!その紐……」
快感をせき止めている紐を外すよう美影に言う。
だが、答えは無情だった。
「ん……は……。駄目」
美影がさらに動きを速くする。
「う……ぐあ……。み、美影さ……ん」
押し寄せる快感に対し、達することが出来ない。
飛場はどうにか紐を外そうとするが、
手は縛られており、
足も、膝部分で止められているズボンに邪魔されて動かせない。
「美影さん……頼みますから……」
飛場は懇願の声を放つ。
飛場の懇願に対し、美影の意志は答えそうになる。
だが本の事を思い出し、意志を打ち消す。
「ん、駄目。リュージ君」
……あの本では、もっと待たせてた。
美影は胸を動かす。
胸の間にある男根は、いつもよりも一回りほど大きくなっていた。
時折、脈動しこちらに熱を伝えてくる。
……熱い。
だが、熱の発生源はそれだけではない。
自身の胸も熱を持ち、先端は少し硬くなっている。
そして。
「んっ……」
美影は右手を胸から離した。
左手で胸を抱え込むようにして、動きは止めない。
右手を、脚の間に伸ばす。
「―――」
そこは、飛場の男根と同じ位の熱を持っていた。
軽く触れると、濡れているのが分かる。
「んっ……は……」
熱が、抑え難い感覚へと変わっていく。
指を秘所に差し込み、動かす。
「あ……は……」
だが、満たされない。
逆に、感覚が抑えきれないほどに大きくなる。
「んっ……リュージ、君」
美影は男根から胸を離し、膝立ちで飛場に跨った。
美影が、男根を手で自分の秘所へと当てる。
飛場が視線を上げると、こちらに跨った美影が視線を合わした。
「リュージ君……。挿れるよ」
言って、美影がゆっくりとした速度で腰を降ろす。
男根が、膣内へと飲み込まれていく。
「んんっ……」
「ぐっ……!」
膣内で男根が締め付けられる。
だが、それでも飛場は達することができない。
「うあ……美影さん……」
美影が男根を全て受け入れた。
「んっ……リュージ君……動くね」
腰を浮かし、上下に動き始める。
「ぐあ……くっ……は……!」
「あ……ん……リュージ君。いつもより、奥に――」
既に限界に近い状態に、さらに来る快感。
飛場の意識が、白く霞む。
ほとんど考えられない頭で美影を見た。
「んっ……もっと……リュージ君……」
美影は、こちらの名を呼びながら、腰を動かしていく。
顔は上気し、限界が近いようだ。
「リュージ君……」
美影が呼び声が聞こえる。
「腕の紐、ほどくね」
美影がベッドの柱に手を伸ばすのが見える。
「だから……」
紐が解かれるのを感じる。
解放された腕を、美影へ伸ばした。
飛場が背に腕を回し、美影を抱き寄せる。
そのまま、横に転がった。
二人の上下が逆転する。
「リュージ君……」
「くあっ……美影さん……!」
飛場が腰を浮かし、高速で突き入れた。
大きさを増している男根は、容易く美影の最も奥の部分に到達する。
「んっ……んあああっ!」
その一突きで美影の身体は跳ね、達した。
「あ……は……」
美影は息を整えようとする。
だが、
「っ!……美影さん……!」
「んあっ!……リュージ君!?」
飛場は突くのを止めない。
動きはさらに加速する。
「リュージ君……あっ……!」
達したばかりの身体に対し、飛場は連続で突き込んでくる。
「んんっ……!んあっ……!あ……!!」
男根が、激しく、何度も奥にぶつかる。
強すぎる快感に、美影の身体は何度も跳ねた。
意識が白く塗りつぶされていく。
「美影さん……!もう、これ以上は限界――!」
飛場の声が白い意識に響く。
霞む意識で美影は答えた。
「んっ……!いいよ、リュージ君……解いて、いいからぁ……!」
波の様に連続で来る快感に、再び美影が身体を跳ねさせた。
同時、飛場が紐を解く。
「んんっ!リュージ君っ!!」
「美影さんっ!くっ!!」
せき止められ続けた白濁液が、美影の膣内に発射された。
「んっ……たくさん……出てる……」
美影の膣内を白濁液が満たしていく。
その熱に、美影の身体が小さく震える。
「くっ……あ……」
だが、その行為は膣内を満たしても終わらない。
「!?……止まらないよ?まだ出てる……!」
「うあ……何でか、量が……」
白濁液が胎内にまで入っていく。
さらに身体を灼く熱に美影は身をよじる。
「んあっ……お腹が熱い……!」
「……っ!まだ……出て――!」
「――んっ!んああっ!!」
浸食するような熱に、美影が再び身体を跳ねさせた。
飛場の身体が緩み、ようやく射精が終わる。
「んっ……は……、はあ……」
「は……あ……」
ぐったりとした身体を重ね合い、息を整える。
「リュージ君……何でこんなに……?」
「多分……、止められてた分だと思いますけど。
――抜きますね」
飛場が、男根を美影から引き抜く。
「んんっ……」
それだけで、美影の秘所から白濁液がこぼれ落ちた。
「……まだ熱い……」
美影が下腹部に手を当てて言う。
飛場は苦笑を浮かべ、ティッシュ箱に手を伸ばした。
暗くなった部屋の中。
ベッドの上で美影と飛場は正座で向き合う。
時刻は既に6時を回っている。
飛場が、頭をシーツに押し付けた。
両手を前に突く。
「御免なさい御免なさい原川先輩に頼んでまた無修正本仕入れてしまいました御免なさい――」
ひたすらに謝罪の言葉を吐く。
その様子を、美影が半目で見る。
「……ん。いいよ、リュージ君。――これは処分だけど」
「――御免なさい御免なさい、すみませんでした美影さん」
飛場が顔を上げた。
ん。と美影は頷き、立ち上がる。
「んっ……」
動くと、腹部の熱が再び広がった。
……まだ残ってる。
顔を赤らめ、ベッドから降りる。
部屋から出ようと、ドアへ向かった。
だが、薄暗い部屋の中、足に何かが引っかかる。
見れば、飛場のデイバッグが口を開け、転がっていた。
「……?」
デイバックからこぼれ出た本の一冊を拾う。
「………」
表紙を見れば、王族でない女王が、鞭持って立っている姿がある。
「……リュージ君?」
美影は笑顔で、しかし強い口調で振り向いた。
ベッドの上の飛場が、青ざめた顔でこちらの顔と本の裏表紙を交互に見ている。
美影は強い足取りで飛場に近づく。
夜は、まだこれからだった。