信じがたい事が起きている。
すぐ目の前に我が王がいて、身体に我が王の身体が、唇に我が王の唇が、触れている。
間近で嗅ぐ彼の匂いには、普段と同じ髪の匂い、戦闘による汗の匂い、
──放たれた精の匂いとが混ざり合い、雌の本能を否応なしに刺激してくる。
触れ合った彼は放心しているのか、唇が半開きであり、そのまま舌を伸ばせば──、
そこでようやく異変に気付き、耳まで完全に赤く染まり、火照った顔を離す。
後ろを向くと、母様がこちらの服を(何故か下半身のみ)脱がし終えていた。
「って、な、何をなさっているんですの──!?と言うか、い、い、いきなり、あんな…!」
「えぇ、せっかくだから、手伝ってあげようかと。──想い人、なのでしょう?」
見抜かれたのか、それとも知っていたのか、あまりの衝撃に再び言葉を失う。
いや、後者なら超叱らないといけない。勝てるかどうかは別として。
「ネイトには、私達を探し当てたご褒美、武蔵の総長には、頑張ったご褒美に──もうひと頑張りですわ」
「ぬおおおお!!ネイト!オメエのカーチャン人の話聞かない系だぞ!?なんとかして──、…ネイト?」
ネイトは顔から発火せんばかりに赤くなり、両の頬に手を当てて、思考に没頭している。
ごごごご褒美だなんてそそそそんな…!でももうキ、キ、キスまでしてしまって我が王のがあんな大きくて
あんなに濃い匂いがたくさんしてて私ももう我慢出来なくて我が王がこんな近くにいてこんな、こんな、こんな…!
「あー、ネイト?ステイステイ、ネイトステイ。頼むから、もう俺死にそうだから」
「…そうですわね、我が王の頼みであるならば」
半裸の全裸はそこで安堵の息を吐いたが、
「…死にそうなぐらい、我慢、出来ないのですね…、わ、私…こ、こういった事は…その、
初めて…で、身体も、母様と違って、未熟…ですが…誠心誠意、お相手を、勤めさせて、頂きます…」
絶句したところに銀狼が抱き付き、再び唇を塞いだ。啄むような動きで、熱心に舌を絡ませる。
「んんっ!…ふぅっ、ん…ハッ、ハッ、我が、王…ん、ちゅ…」
しばらくの間、子犬がじゃれ合うかのような接吻が続き、やがて銀狼は、
「あぁ…これが、我が王の…、こんなに、腫れ上がって…んっ」
次の標的を半裸の股間へと向けた。
それは間近で見ると、奇妙な形をしていた。
それは手で触れると熱く、硬く、舌で触れると、苦味や酸味等の混ざった味覚を与えてきた。
舌に乗った液体を飲み込み、慈しむように口付けてから、本格的に奉仕を開始する。
とはいえ、ナルゼが描くようなR元服同人草子等を盗み読みした程度の知識しかなく、
と、とりあえず、綺麗にして差し上げなくては…。
小さな舌をおずおずと動かす。慣れない行為と味に悪戦苦闘しながら、舐め取っていく。
「ふふ、ネイト?舐めるだけではなくて、包み込んでみなさいな」
こんな風に、と続けて、母様がそれを口に含み、唇を窄めて上下に動く。
その動きを真似てみるが、歯を当ててしまいそうで、なかなか上手く出来ない。
ふと見ると、母様は中腹や下部を舐めながら、王に巨大な胸を揉ませている。──ガッデム!
心中で呪いの言葉を吐いていると、逆の手で髪に指を差し込むようにして、頭を撫でられた。
「ん…」
何かを吹っ切ったような王に、淡い笑顔と共に与えられる心地よさに目を細めていると、
「あ、せっかくですから、ネイトもしてもらいなさいな」
そう言って、こちらの身体を持ち上げ、一瞬で前後を入れ換える。すると、王に尻を掴まれ、
「な、ひゃうんっ!?」
既に濡れていた内股を舐められる。敏感どころではない部分に刺激を受け、意識が飛んだ。
「〜〜〜!?は、ぁ…わ、わた、し…な…にが…?ふぁっ…!きゅぅん!」
理解が追い付かない。あまりの感覚に身が跳ね、子犬のような鳴き声を上げてしまう。
目の前のそれに縋り付き、内股で連続する舌の動きに堪え忍ぶ。
そんな…!王が、私、の…あんな、とこ、を…!
尻を掴まれているので逃れる事も出来ず、最も敏感な突起を責められると、またも大きな震えに襲われる。
「あらあら、口がお留守ですわよ?さぁ、一緒に…」
放心しつつも、二人で奉仕を再開する。本能的に舌を動かしていると、時々母様の舌に触れるが、
朦朧とした意識の中では、羞恥や疑問を感じる事も出来ず、反射的に舌を絡めてしまう。
やがて、全身から力が抜け、尻を上げて地に伏せる姿勢に落ち着く。
「ん…ふふ、二人とも、もう準備はいいみたいですわね」
背後では全裸になった全裸が身を起こし、位置を確かめるように擦り付け、
「は、ぁ…あ…我が、王…」
顔を向けて、零れ落ちる涙と共に懇願する。
「どうか、お情けを、下さいませ…」
貫く。
「──〜〜〜ッ!?くぁっ…!」
苦痛の色の濃い、悲鳴とも遠吠えともつかない、甲高い声が上がる。
「…やっぱ、痛ぇよな?すげぇ…締まってるし…」
「…ぅ、くぅ…」
「ネイト?あんましキツいなら──、」
やめとくか?という言葉と、引き抜こうとする動きは、
「ぁっ…やぁだ…!ダメぇ、です…抜かない、で…下さい、まし…」
引き留める言葉と、奥へ奥へと引き込もうとする動きに阻まれた。
「お気になさらず…続けて…、痛みは、あります、がっ…それ以上、にっ…!
王、のが…わ、わた、私の、中に…!ある、のが…嬉しくて…!
痛い、のと、気持ちいい、のと、混ざり合って…わけが、分からなくなって…も、もう、私…!あ…!」
伏せたまま大きく震えて、再び脱力する。母狼が、残った服をこっそり脱がしながら言う。
「治りかけの傷は、痛みよりも痒みに近い感覚がしますわよね?
そして…人狼は再生能力が高く、感覚も鋭敏なのは、ご存知ですわね…?」
つまり、
「今のこの娘の中は…快感と痛みとむず痒さとが混ざり合って──、もうぐちゃぐちゃですの。
ふふ、私も初めての時は大変でしたわ…、『ふぅん』…ほら、娘も待ってますわよ?」
腰に動きを感じて前を見れば、銀狼が我慢出来ぬとばかりに、左右に腰をくゆらせて、
続きを強請るかのような、潤んだ視線を肩越しに向けていた。
全裸はステイを解除し、ゆっくりと動き出した。
引き抜く。くびれが傷口を擦る痛みと、内壁を優しく撫でる喜びに震えが走る。
突き入れる。異物を拒む動きと、主を中に招き入れようとする、相反した動きで締め付ける。
最初の気遣うような緩い動きは、銀狼が自らも動き、幾度も達しているのを見て、
次第に遠慮のない速さになり、控え目な胸にも手指が伸ばされ、刺激を与える。
体勢は雄が雌に後ろから覆い被さるものとなり、まるで獣の交尾のようだ。
母狼とは違う、初々しくキツい締め付けに、散々搾られたはずの全裸にも、再び限界が訪れる。
「あ…!ぉおっ…!ん…!総長…、我が、王っ…あぁ…私の…王様…、んぁっ…、
お願い…します…、そのまま、中に…、今だけは…私を、貴男の物に、して…!ぁ───」
疲れ果てて倒れた全裸を、いつの間にか全裸になった母狼が優しく胸に抱き、頭を撫でる。
「ふふ、お疲れ様ですわ。よく頑張りましたわね…でも、もうひと頑張り、してもらいますわよ?」
そう囁いた唇で、全裸の唇を塞いだ。
トーリはぼやけた思考の中、全身に一つの共通した感覚を得ていた。
胸が、唇を甘噛みする唇が、胸が、舌に絡まる舌が、胸が、頬を撫でる指先が、胸が、肌に吸い付く肌が、
そして何よりも、抱かれた頭が埋まりそうな程巨大な胸が、
柔らけぇ…。
本能に従いモミングを開始する。大きさ、柔らかさ共に、確実に浅間を凌駕している。
モミングを継続していると、相手は唇を離し、荒くなった呼吸を整える。
顔が胸に埋まる。呼吸の為に口を開いたら、結果的に先端部に吸い付いてしまった。
状況だけ見れば、まるで授乳のようだが、吸ってる最中に反対側を弄るような赤ん坊はいない。
やがて、相手は感じ過ぎて脱力したのか、横抱きにされていた体勢から、逆に押し倒す形になった。
身体を支える為に着いた両手は、ちょうど左右の豪華なクッションに埋まる。
掌の中央に固さを感じ、そこを擦り付けるようにモミングしていると、
「…はぁっ、…ぁ、ん…上手、ですわ…」
いつの間にか、股間のエクスカリバーが甦って、テュレンヌの秘所に触れていたので、
「あ──、凄い…まだ、こんな、に…あぅんっ!」
そのまま腰を進めると、すんなりと鞘に収まった。動きを開始し、嬌声を上げさせていると、
「…んぅ…我が、王…私も、一緒に…」
ネイトがにじり寄ってきて、抱き付いて唇を寄せてきた。ULTRAEASYを捏ね回す手の片方を、HARDにも向ける。
それぞれ違った感触を味わいながら、今度はネイトの鞘に挿入する。
「は、ぁ──、我が、王…嬉しい…もっと、もっと…!」
うむ、どちらも甲乙付け難いので両成敗。ネイトをテュレンヌの上にセット。
母娘仲良く順番に、時に片方を長く味わい続ける。
「ぁ、あッ、あ…!こんな、技を…どこで…!」
「やっ!あ、ぁ…!やだ…抜いたり、挿したり、なんて…ずっと、ずっとが…いい、ですの…!」
それぞれ、柔らかく飲み尽くすように、キツく抱き締めるように、包んでくる。
密着した二人の間に滑り込ませる。これならみんな同時にハッピーだ。
「ふぁっ!…ぁ、そこ、いいとこが、擦れ、て…!ん──!!」
「〜〜〜ッ!?…ゃ、あっ!あ、そこ、は…!なか…なかが、いいのに…ひぅっ!?」
二人と同じタイミングで、二人の間に挟まれたまま、放った。
その後、精根尽き果てて手も足も動かせず、
胴体だけでS字に蛇行して這い回る──速い!──全裸を、
銀鎖を使って捕獲する二人の全裸がいたとかいないとか。
多少時間はかかったが、なんとか全裸を確保して、ネイトは武蔵に帰還した。
「──ふぅ、ただ今戻りましたわ」
銀鎖で簀巻にした総長を抱えたネイトを出迎えたのは、顔を真っ赤に染めた浅間と、
疲労の色を濃くしながらも、いい笑顔でR元服同人草子を差し出すナルゼだった。
…あれ、なんですの、この不吉すぎる予感は…?
髪にヨゴレ祓いの玉串を大量に差した浅間が言う。
「あ、あ、あのですね、ミト?つ、通神…音声通神が、その…覗きじゃありませんから!」
そこまで言われて、ようやく自分の愚行に気が付いた。表示枠を耳の近く、髪の中に固定したまま忘れていた。
「…ふ、ふふふ、なんて素晴らしいネタの宝庫なのかしら。人狼の性的な秘密を知った時なんて、
ついつい声出して感心しちゃったし…あ、タイトルは『青空おかし教室〜お母様と一緒』よ」
小刻みな震えが止まらない。証拠隠滅の為に0.8殺しくらいにするべきか。
物騒な思考を走らせていると、後ろから手が伸ばされ、
「うーん…あ、ここはもう少し腰の動きの表現を激しくした方がいいですわよ?」
なんか、着いてきた母様が添削をしていた。どうやら、我が王が気に入ったらしい。
「ふふふ…狼が、食べられてしまいましたわ」
絶句している二人を尻目に、我が王を小脇に抱えて、上機嫌で屋敷に向かおうとする母様を追う。
悪戯気に満ちた微笑みを浮かべる母様の参戦により、我が王の周りは、更に騒がしくなりそうだ──。