極東の空を往く、ムサシと呼ばれる航空都市艦。そこに存在する商業区画の一つ、アキハバラ。
そこではオタク産業と呼ばれる、アニメ、漫画、ゲームを主に取り扱っていた。
町のそこかしこには、「萌え」「エロゲ」「実際安い」等と書かれた看板が多く見られる。
その中でも、未元服の子供には見せられない類のPCソフトを扱う店には行列が出来上がっていた。
「バンザイ!」喜びに満ちた浮かれた声が店先から聞こえてきた。
本日発売のエロゲ・プログラムを一番に購入した客である。平静を装いつつも、卑猥な笑みを抑えられぬ様子だ。
男の名はウェットマン。衣服を纏わぬ股間にオーガニック・ワカメを装着した、奇怪な姿をしていた。
彼は一刻も早くPCにプログラムをインストールし、淫らな行為に没頭すべく、家路を急いでいた。
しかし、近道をすべく路地裏に踏み込んだのは誤算であった。何故なら、彼を追う者がその隙を狙っていたからである。
「ワッショイ!」禍々しくも躍動感のある掛け声とともに、一人のミコが出現した。
そのミコは素早くウェットマンの行く手を阻んだ。ミコのバストは豊満であった。
「ドーモ、ウェットマン=サン。ゲドウスレイヤーです」
「ドーモ、ゲドウスレイヤー=サン。ウェットマンです」
アイサツを済ませたミコは、ミコ装束に加えて、覆面で顔を隠していた。
そしてウェットマンにゆっくりと、しかし冷徹な声でこう言った。
「ここまでだ、ウェットマン=サン。貴方に逃げ道は無い。観念しなさい」
「何故俺の名を知っている!?それにそのオパーイ、まさかお前は…!」
ウェットマンが驚きとともに声を発した瞬間、気勢とともにゲドウスレイヤーの右腕がしなり、目にも止まらぬ速度で弓矢が射出された。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
ミコはセッショウをしてはいけないので、当たっても刺さらないように加工してある矢がウェットマンの股間をズドンする。
それでもウェットマンはエロゲを持ったまま放そうとはしなかった。
追い討ちをかけるように、ゲドウスレイヤーの右腕がしなり、目にも止まらぬ速度で弓矢が射出された。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
激痛に悶えるウェットマンが内股になりつつ、懇願する。
「待て、せめてこのエロゲだけでもクリアしてから…」
有無を言わせず、ゲドウスレイヤーの右腕がしなり、目にも止まらぬ速度で弓矢が射出された。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
その射撃の余波で、持っていたエロゲが爆発四散した。タツジン!もはや人間技ではない。
「…サヨナラ!」
絶望に満ちた表情で、ウェットマンは気絶した。
「慈悲は無い。ゲドウ滅ぶべし」
ゲドウスレイヤーは振り返らなかった。次なる獲物を求めて、雑踏の中へと消えて行った。
「──あの、ナルゼ?一体なんなんですか、コレ…?」
「あー、新大陸の方のうちのファンだっていう子が送ってきた『浅間様が射てる』の二次創作なんだけど、
極東弁にまだ慣れてないらしくて、なんかこう、いろいろと文章がエキセントリックよねー」
「大体なんなんですか!至近距離で闇討ちする巫女って!ズドンするなら正々堂々と遠距離狙撃ですよ!」
「…いろいろとエキセントリックよね…」