「ナイちゃんがガッちゃんの敏感な穴にちょっと先の曲がった器具を出し入れしてあひんあひん言わせちゃう話」
己の身の奥に、何かが挿し入れられる感触がある。
たとえそれが最愛の人であったとしても、身体の内側を他人に晒す感覚は、未だに慣れる事は無いものだ。
自身では決して伺い知ることのできない場所を、無防備に晒す今の自分の姿を想うと、自然と頬に熱が帯びてくる。
「ね・・・ねえ、マルゴット」
やや強張った声と共に、黒髪黒翼の魔女であるマルガ・ナルゼは、己の内奥を伺う最愛の人物に呼び掛けた。
「ん?なに?ちょっと力加減とか強かったかな?」
その声に応じるのは、ナルゼの体の奥底に、その手に持った器具を挿入していた金髪金翼の魔女、マルゴット・ナイトだ。
「あ、そ、それは大丈夫。なんだけど・・・ねえ、わたしのソコ、き、汚くない?」
「んー・・・そんな事は無いかなあ。まあ、でもナイちゃん的に言うなら」
・・・ちょっと、毛深いかなー?という続いて放たれた言葉に、ナルゼの顔が瞬時に羞恥に歪む。
だが、彼女のその双眸から、涙の雫がこぼれ落ちるより前に、あはは、うそうそ。という言葉と共に軽やかな笑い声が響いた。
しばらく、抗議の声とそれを宥める二人の魔女の押収が周囲に広がっていく。
不意に、ナルゼの敏感な窪みに柔らかな感触が生じた。
「っ・・・!?マ、マルゴット!・・・ひゃん!」
続いて、その窪みをなぞるように、暖かく湿った流れが走り抜けていく。
刺激の正体は、彼女の繊細な部分を舐めあげるナイトの舌のもたらす感触だ。
「・・・ナイちゃん的には、食べちゃいたいくらい可愛いかなぁ」
「あひぃん!?」
そんなやり取りのさなか、自分の敏感な部分を優しく甘噛みされて、ナルゼの身体に甘い電流が走り抜ける。
不覚にも、甘い声が溢れ出た。
「もう・・・マルゴットったら」
「えへへ、ごめんね。ガッちゃん可愛いからついつい・・・」
いつもと同じように、微笑を絶やさずにこちらを見る想い人の姿に、ナルゼはちょっとだけ拗ねたような言葉を発してみる。
だが、自分の顔を見下ろすような彼女の表情は、いつもと変わらない笑みのままだ。
そんな彼女を見つめているだけで、胸の奥が暖かい何かに満ちていく。
結局のところ、自分は彼女のこの微笑には決して勝てないのだと思う。
そんな事がちょっと悔しくて、自分の頭を膝の上に乗せ、いわゆる膝枕の体勢を取っている彼女の下腹に顔を埋めてみる。
有翼種族はその翼ゆえに、膝枕状態だと自然と相手の身体側に顔が向けられる。
よって、これも当然ながら不可抗力だ。
「ガッちゃん?どしたの?急に」
「んー・・・マルゴット分の補給ーお腹と太ももの感触が気持ちいいのよ」
「相変わらず、ガッちゃん凄いねぇ」
そんな他愛も無い会話を交わしながら、ナイトは膝の上に乗るナルゼの頭の位置を修正し、彼女の側頭部にかかる髪をそっと払い除けた。
そして姿を現した小さな耳を、その内部が見やすいようにさらに位置の微妙な修正を加える。
「あの・・・私まだあんまり慣れてないから、その、優しくしてね?マルゴット」
「うんうん。こう見えてもナイちゃん結構上手だと思うよん。じゃ、改めて始めるかんね。”耳かき”」
少しだけ高まる期待感を胸に、マルガ・ナルゼはその自分の体内の奥底を晒す小さな穴を、想い人の手に預け渡した。
●
「んじゃ、まずは外側からキレイキレイにしちゃおうね」
「ん・・・!」
そう言うと、ナイトは傍らに用意していた桶に満たしていたお湯で、用意していた手ぬぐいを浸して固くひとしぼり。
程よく湿り気と熱を含んだ手ぬぐいで、ナルゼの耳の表面をぬぐい始める。
窪みに沿って耳のすじ、もみほぐすように耳のたぶ、首筋から昇って耳のうら、さっぱりとした爽快感に加え、さわやかな香りが鼻腔をくすぐっていく。
「香草を煮出したお湯だかんね。気持ちいいっしょ?」
ナルゼが疑問を口にするより早く、ナイトがそんな言葉をかけてくる。
「じゃ、いまからナイちゃん、ガッちゃんの敏感な穴にちょっと先の曲がった器具を出し入れしちゃうから、気持ち良かったら遠慮なくあひんあひん言っちゃってね」
「・・・マルゴット、ちょっとだけネーム切らせて」
だーめーという笑い声と共に、耳の中にひやりとした金属の感触が走る。
ん、という声を飲み込んだナルゼの中で、しばし動きを止めた器具は、体温に程よく馴染んだ頃合を見計らうかのように動きを再開した。
シャリシャリという軽い音と共に、金属にしては肌触りの良い感触が耳の中に響き渡る。
「ソーチョーが貸してくれたんだよ。銀製で耳当たりが優しいんだって。どう、ガッちゃん?気持ち良い?」
「・・・あの馬鹿は無駄な所で変なクオリティを見せるわね」
正直なところ、かなり心地よい。
カリカリと耳の内壁を掻く感触は、なんともいえない甘い痺れのようなものをもたらしていく。
時折起こる刺すような刺激は、耳の中にこびりついていたものが剥がされる際のものだろう。
がさがさという音と共に、ぞくりとするような刺激が身体に走り、思わず甘い声が漏れていく。
耳の奥が掃除されると、次に襲い掛かってくるのは猛烈な痒みの感覚だ。
だが、そんな感覚を一掃するかのように、ナイトの操る銀の匙は的確かつ大胆な動きをもって痒みの元となる部分を掻いていく。
しかし、そんなさなかでも彼女の指使いはあくまでも優しい。
そんなマルゴットの技量の前に、ナルゼの深い奥底の部分が、じんわりとした熱に満たされてゆく。
「あ、やだ、マルゴット、そんな奥までなんて・・・あひぃん!」
「ぬふふふふ・・・ガッちゃん、気持ちいいの我慢しなくていいんだよん♪」
そんな甘い空気の満ちる空間に、唐突に表示枠が現れた。
わざわざ、総長連合用の直通回線を開いて現れたのは、武蔵の生徒会長兼総長の少年、葵・トーリの姿だった。
「おーい、俺だよ俺!俺、俺!あのさ、またセージュンが腹へらしてぶっ倒れてたのが発見されてよ、んで、これから皆で闇鍋パーティやろうとおもうんだけど、金マルに黒マルも来ね?」
「ん・・・ソーチョー、今ナイちゃん、ガッちゃんの敏感な穴にちょっと先の曲がった器具を出し入れしてあひんあひん言わせるのに忙しいから、もうちょっと待っててね」
「おいおい、なんだよ金マル!オメエ、黒マルの敏感な穴にちょっと先の曲がった器具を出し入れしてあひんあひん言わせるのに忙しいのかYO!」
Jud.、Jud.という彼女の答えに身を翻した全裸は、背後を向くなり彼に向かって来るいつもの面々に対し、大声で状況を説明する。
「おい皆!!金マルは今、黒マルの敏感な穴にちょっと先の曲がった器具を出し入れしてあひんあひん言わせるのに忙しいらしいから、ちょっと待っててやろ・・・」
次の瞬間、表示枠の向こう側で、爆発音と共に三段ぶち抜きで飛んでゆく馬鹿の身体が目撃された。