「…ぁ、やっ、やめっ…!」  
「本当にうい奴よのう、義康は」  
ひのきの香りが立ち込めた浴槽の中、二人の人物が重なっている。  
覆いかぶさるように背中から腕を前に回すのは九尾の人狐、最上・義光。  
前かがみの姿勢で艶の入った苦悶の声を上げるのは里見・義康。  
いや、この場では最上・義康と呼んだほうが適切か。  
母娘のスキンシップというにはあまりにも濃厚な絡み合い。  
義光の腕が前後するたびに、新しい艶声が義康の喉から漏れる。  
だが、その腕の動きは女を慰めるものではなく、  
「くく、背伸びしてもこの程度かえ?  
 おまけに顔も出せない恥ずかしがり屋ともなれば、愛おしすぎて気が狂いそうになるよの」  
「い、言うな、……ぁんっ!」  
義康の股間を愛撫する義光が指を絡めているそれは、紛れも無く男性器であった。  
勃起しているようだが、その大きさは子供ですら片手で隠せそうなほど。  
さらに先端は余った皮にすっぽりと覆われ、アサガオのつぼみのようだ。  
「ほれほれ、貴様も男の端くれならもっと盛大に勃たせぬか。  
 こんな調子では私の膜を破ることすら叶わぬぞえ?」  
「ひぅ、やっ、あっ、あぁ…っ!」  
義光の言葉に対し、いつものような強気の言葉は出てこない。  
皮越しに内部を揺さぶる義光の指さばきは腰が砕けるほどに甘く、  
経験も身体も未成熟な義康が抵抗できるはずもないのだ。  
「ほれ、果てる時ぐらいは男らしいところを見せてみせい」  
「んんっ、きゃっ……っ、やぁ、出るっ、もっ……ああぁぁぁっ!」  
湯の中で義康の精が迸った。ビュク、ビュクと断続的に。  
しかし、その量は大きさに見合うもので、  
湯の表面にわずかに浮く白濁の固まりは哀れさすら感じられた。  
湯に浮かぶそれに義光は顔を近づけ一息で湯ごと吸い込む。  
量こそ少ないものの、口内を埋め尽くす濃い精臭に義光の顔が喜悦で歪んだ。  
「本当にういやつよ。なぁ、義康」  
「あ、ふぁ……」  
射精の余韻で呆ける義康を抱きしめる義光の笑みは先程までの淫靡なものではなく  
わが子を純粋に慈しむ母親のそれであった。  
 
 
 
 
 
「こんな感じでペタ子が男の娘なら家が八軒は建つのよ!  
 八犬伝だけに!」  
「ナイちゃん思うに、ガッちゃんがいい空気吸ってるのはいつものことだけど  
 正純化は危険な徴候かなあ」  
 

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