政宗と小次郎の姉弟による夜の時間。
主庭の木の下で互いに初めての性の芽生え。
誰にも聞かれまいと指を噛んで恥じらいをこらえながらも、初めて目にする姉の淫唇を丁寧に舌先でなぞる弟の頭を反対の手で押さえてしまう。
「………っ!」
包皮からわずかに姿を見せた淫核……偶然にその場所へ熱を帯びた舌先が触れると、政宗の首がガクンと後ろへ跳ね、長い髪にまでこらえきれない震えが走る。
「……、……、〜〜………!」
鋭い歯先が喰い込む指から血がにじみ、粘る唾液と混ざり合って喉の奥へと流れていく。その血の味が腹の底から込み上げるような熱い昂ぶりを生み、弟を迎えるために左右へ広げた足先を快感が駆け巡るたびに何度も蹴り上げてしまう。
「〜〜…、〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
姉の身体に長い強く強張り、キツく閉じ合わせた目じりからはポロポロと珠のような涙がこぼれる。
だが小次郎は、背と首を弓のように反り返らせる政宗の両足を抱えて離さず、とめどなく溢れ出る愛液を卑猥な音を立てて飲み干し続ける。その音が続くほどに、政宗にとっては幸せすぎて悶え喘いでしまう恍惚の時間が続くこととなり、
指を離した唇からは言葉の変わりに白く暖かい快感の吐息をこぼしてしまっていた。
「…………………」
やがて姉の全身が脱力し、反応が鈍くなると、小次郎は政宗の股間から顔を上げ、立ち上がり、腰のハードポイントから袴をはずして猛り狂った自分の股間をさらけ出す。
「……………」
姉に見られている……生まれたときも、育った時間も全て共有してきた自分の半身。そんな政宗に自分の劣情の証を見られながら、小次郎は下唇を噛み締める。
そしてそれは政宗も同じだった。女を知らず、ただ本能のままに自分の股間を嘗め回してきた弟に対し、繰り返し覚えてしまった女の悦び……未だ収まらぬ胸の拍動は、そんなにもはしたない自分を欲している小次郎の生殖器を前にしてさらに強く跳ね、
熱を帯び、潤みを帯びたまなざしを注いでしまっていた。
「……………」
「……………」
声も無く、言葉も無く、ただお互いの唾を飲む音だけを聞きながら、竜神の角を持つ姉と弟は視線を絡めあう。
政宗が右手を伸ばし、小次郎が左手を伸ばすし、二人の手指は禁忌を犯すことに震えを覚えながらも、確かに絡まりあい、衣服の前を開いて草むらに身を横たえる姉を追うように弟はその上へ覆いかぶさっていく。
「―――――」
小次郎から唇を重ね、血の味の混じった姉の唇を堪能すると、身体を起こす。
目の前には、姉がいる。奥州の覇王、伊達・政宗を襲名しながら、一年であり未だ成熟していない身でありながら、そこには女性らしい柔らか味を帯びた曲線が確かに描かれている。
いつの頃からか、入浴や睡眠を共にするたびに感じていた男の自分との間に生まれた姉との身体の違いを感じるたびに、悩み、困惑し、身体の真から熱が込み上げるのを感じてきた小次郎は、自分がこれからしようとする事を受け止めようとしてくれている政宗を見て、
今、はっきりと気づいた。
これが、自分の初恋なのだと。
「――――――――――――ッ!!!」
もう躊躇わなかった。
小次郎は左手に握る政宗の手を地面に押し付けると、自分の右手で股間の滾りを握り締め、ぬかるんだ姉の秘唇へ先端を押し付ける。
「………、っ………!」
敏感な部分に弟の性器が触れるたびに、政宗は身を震わせる。けれど拒みはしない。拒めはしない、小次郎がそうであるように、政宗の気持ちも同じだ。
二人は空に浮かぶ二つの月のように、惹かれあい、決して離れられない男と女。同じ気持ちがひとつに重なり合い、むしろ自ら弟を迎え入れようと腰を浮かせ、そして、
「「―――――――――ッ!」」
二つの月は、分かたれることは無い………このとき、二人はそう信じていた―――