点蔵は忍者となるべく己を鍛え、育ってきた。それはいつ何時でも、自室においても警戒を怠らないということに他ならない。
「……っ」
だから二層あるベッドの下部でメアリが震えを得ていることには、すぐに気がつく。
(く……! コレ自分どうしたらいいでござるか?!)
1.メアリが裸だから行けない
2.そっとしておくのが優しさでござる
3.迷わず状況確認(エロい意味ではないでござる!!)
点蔵は3を選択した。金髪巨乳に公開コクりして妖精女王からかっさらってきた以上、自分にはメアリを幸せにする義務があると、点蔵はそう思う。
けれど義務以上に、自分が幸せにしたいという欲を持ってしまった相手だ。
惚れた女子をビビり入ったせいで捨て置くのは男の恥……!
枕元に置いてあった帽子をかぶり、点蔵はメアリにわかりやすいようにと音を立て、二段ベッドの下に降りる。
「メアリ殿?」
「あ、Jud. ……その、泣いているのがバレてしまいましたか?」
「自分忍者でござるから、耳が良く。申し訳ないでござる」
「そんなことは!」
がばりとメアリが起き上がった瞬間に、毛布が一瞬めくれてメアリの肌が露になる。忍者として夜目が利く点蔵には眩しい光景で、……本能に抗って目を逸らすのに全力を使用した。
「あの、点蔵様? 手を握って頂いてよろしいでしょうか?」
「Jud.」
点蔵がメアリの手を握ろうと手を伸ばすと、メアリはその両手で点蔵の手を包んで頬に当てた。
「暖かいです」
それは今心拍体温共に超上昇してるからにござるな!!
点蔵が内心狼狽えを得ていると、同じく暖かい雫が点蔵の手を伝う。
「死なずに済んで良かったと、点蔵様とこうしていられて良かったと、そう思っているのに寂しいのです。……妹を、置いてくることになってしまって」
精霊族である彼女にとっては正しく片割れに近い妹だ。約束を守れず別れてしまったことは本当に悲しい。
けれど“武蔵”の皆は自分に未来を与えてくれて、しかも意味までくれたのだ、とメアリは思う。それはとてもありがたいことだ。
それでも別れがたさがどうしても胸の内から湧き出てくるのをメアリは止められないでいた。
「また、必ず会えるでござる。武蔵は一年で極東を一周する船。ならば来年また会って、また末世を止めた祝祭をしてもらい、楽しめば良いではござらんか。そのために自分たちは末世を止めようとしているのでござるから」
「Jud.」
眉尻は下がったままだが、メアリがそれでも笑みを得た。そのことで唐突に状況に思いいたる。
半裸のメアリ殿と手をつないでるでござるよー?!
点蔵の中の雄ゲージがどんどん上昇していくのがわかる。マズイと脂汗をかきながら、点蔵はメアリに告げた。
「メアリ殿。……拙者、現在理性と欲求の葛藤に負けそうでござるゆえ、手を放してしまってもよいでござろうか?」
「あら、点蔵様の欲求を叶えられるのでしたら、私何でも致しますのに」
潤んだ瞳でそう言われては、煩悩ゲージが急上昇をせざるを得ない。許可が出たぞという悪魔のささやきがどんどんと増していく。
メアリはそんな点蔵を見てくすりと笑い、言葉を生んだ。
「私も欲求と理性の葛藤を解消してもいいでしょうか?」
え、と疑問を作る間に帽子が奪われ、スカーフを外された。
蕩けそうなほど幸せそうな笑顔に文句も拒否も出てこない。完全にメアリに魅入ってしまった点蔵は、メアリの次の挙動に反応できなかった。
頬へのキスだ。
「やっとお顔を拝見できました」
えへへ、と微笑むメアリへの愛しさが限界を越えて、思わずメアリを抱きしめる。
一瞬身を硬くしたメアリだったが、すぐに点蔵を抱き締め返してくる。
「メアリ殿、拙者も欲求に負けてもようござろうか?」
「Jud. もちろんです」
メアリを彼女の寝床に横たえる。
メアリの首筋に顔をうずめた瞬間、――点蔵のチンコがもげた。
「ぎゃあああああ!!!」
ホライゾン
「おやおや、皆様の日々の呪いのおかげで、点蔵様は見事にモゲてしまわれたようですね?
浅間様の仰る通り、祈りは通じるものかとも思われます。ホライゾン一つ勉強になりました。
逆に皆さまからの「点蔵もげるな」コール入ればもげずに済むかと思うのですが、いかがでしょう?」