「あはっ。ミリアム、君ってホントに浅ましい雌豚だね」
黒髪の少年が、金の髪の少女にそんな言葉を言い放った。
だが今の二人の状況は、放たれた言葉とは程遠いものだ。
二人共に一緒の寝台に身を横たえて、金髪の少女ミリアム・ポークゥが上、黒髪の少年の東が下側という体勢。
仰向けに寝た東の上にミリアムが覆いかぶさる様にも、東がミリアムの身体を受け止めて抱きしめる様にも見える状態だ。
「・・・・・・ダメね、全然駄目だわ。東、貴方本気で言ってる?真剣味が足りないわよ」
「ええっ?!だ、だって無理だよ!そ、そんな酷いことミリアムに言うなんて・・・」
半ば涙目になりながら、目を潤ませてそんな言葉を紡ぐ少年の姿に、少女の顔が上気するように赤くなる。
「東・・・・・・貴方、そんな事言ってるけど、私の身体を散々弄んでるという事実は変わらないのよ?
全く、高貴な身分の若い男性には、閨で様々な教育を施すために、品格と教養を持った女性が宛がわれたとは聞いてたけど、
貴方もやっぱり帝の子ということなのかしら?」
「え、ええっ?!で、でも余はそんなことないよ!今は一般人だよ!閨事だって勉強中だよ!それに・・・・・・」
顔を赤らめながらも、ミリアムを上目遣いに見るようにして、小さくもはっきりと東の言葉が放たれる。
「こういうことは、ミリアムとしかしたくないよ・・・・・・」
直後、その言動を理解したミリアムの頬に、さっと朱の色が満ちていく。
「も、もう!し、将来の帝ともあろう者がそんな事でどうするの!さ、わかったら・・・・・・」
「わ、わかったら?」
戸惑うように身構えた東の頭を抱え込むように、ミリアムが彼を抱きしめる。
「もっと私の事を激しく罵りなさい!!」
そんな、甘い怒声が東の耳に囁かれた。