「端的にお願いさせて頂くわ。――武蔵の嫁になるというのは、どういうものなのか教えて頂けるでしょうか?」  
 方や元西国無双の妻、片や英国女王の持つ重双血濡れメアリを前に、成実は粛々とした調子でお願いをする。二人は気安く頷いた。  
「Jud. 私も慣れませんので、何をお話できるかはわかりませんが……」  
「とりあえず言えることは、異文化コミュニケーションが要求されるということでしょうか」  
 正確には武蔵住民の妻になったわけではないが、ァは淡々とそう答えた。  
「それに、そんな風に堅苦しくならないでください。クラスメイトではありませんか」  
「Jud. 言葉遣いなどお気になさらず。この艦にはもっと別のものを気にすべき方がたくさんいますから」  
「Jud. では、ありがたく」  
 成実がすこし肩の力を抜いた。  
「でもわざわざ呼ばれたということは、何か気になる点でも?」  
「Jud. ウチのキヨナリがエロゲエロゲとうるさいのだけれど、あれは武蔵に住むと罹患する病なのかしら?」  
 成実はズバッと切り出した。メアリはわからないというような顔をする。  
「点蔵様もウェットマン様のために毒見をされるそうですが、どうも男性として当然のたしなみ、というような雰囲気です。寧ろ私と一緒に住み始めてからは減ったそうですよ?」  
「宗茂様は一切なさいませんが」  
 メアリと成実の両方が驚きの表情を見せる。  
「やはり武蔵独特の文化なのでしょうか」  
「立花夫妻はもとは三征西班牙なので、その辺が……」  
 ァが静かに首を振る。  
「これは推測ではありますが、……お二方の旦那様が欲求不満なのではないかと」  
 メアリが頬赤く、成実は愕然とした表情を作る。  
「男性の欲求は抑え込めるものではなく、ましてや妻がいれば本来尚更なはずです。言い出せない欲求不満が、エロゲ方面に向かうのではないかと」  
 成実は粘る汗をかき、メアリは点蔵に申し訳ないことをしたというようにショックを受けている。  
「……嫁として先輩である立花様に伺いますが、どうすれば解決できるでしょうか?」  
「Jud. 話は簡単です。欲求不満を解消させればいいのです。そのために訓練を積むのも嫁として重要なスキルを上げる手段かと」  
「教えて頂けませんか?!」  
「私も、妻となった以上は責務を果たしたいと思います」  
 半分泣きそうな表情のメアリと真剣な表情をする成実に対し、ァは頷いた。  
「では、前向きな改善のための情報交換会と致しましょう」  
『Jud!』  
 

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