「ガッちゃんってば、ペニバンでお尻の方をぐりぐりされて喜んじゃってるんだー?」
マルゴットは僅かに勢いをつけながらもゆっくりと自分の腰を後退させた。
「ぁぁぁああああぁァ〜〜〜……!! 出ちゃうのがキモチいいのぉ!」
一瞬だけ広がった黒翼で視界が塞がれる。見下ろしているのはナルゼの背中だ。
潤滑剤を塗り込めた、細身の張り型が後門から姿を現わす。
その下方では本来の性交で触れ合う部分が物欲しげに濡れ、蜜液が零れ落ちてタオルを湿らせていた。
柱部の起伏が狭まった箇所を通過する度に、ナルゼは仰け反って身悶えし、飛翔の意味を為さない羽ばたきを行なう。
排泄の快楽という生命サイクルに組み込まれた基幹の快感に吹き飛ばされ続けていた。
腸の内容物を放出しきってしまえば終わる感覚は、挿入された器物が抜かれる事よって止まらない。
本来は出て行くだけの器官は外部から入り込んだ場合には、無理が生じて、異常を訴えかけるのが普通だ。
だが、痛覚や違和感はマルゴットの減衰術によって軽減されており、快感を与えられてしまえば簡単に上書きされる。
ベットの天板にうつ伏せ上半身を預け、床へは膝立ちになり、腰を上げて器具とマルゴットの腰を受ける姿勢だ。
「ダメだよーガっちゃん? もうちょっと声をガマンしなきゃ近所迷惑だって」
前進による突き込みが入って、耐えられる苦しさに息が詰る。
首を捻って後方へ懇願するように視線を送り、
「だってぇ……、出ちゃうんだもの…… っ!!! だめぇッ! 出ちゃううぅぅ! ああァーッ!!」
黒魔女はガマンが出来なくなって同性の恋人の腰を掴んで自分の腰を引いた。結果的に白魔女から嬌声が出た。
―――ああんもうムラっときちゃった。ガっちゃんチョーかわいいなぁ
シオン系のテンプレ改変を五十行分ほど脳裏で行ないつつ、ナルゼの濡れそぼった秘所に指を伸ばした。
愛蜜に滑る箇所をマルゴットの指が、その形状に沿ってなぞってゆく。
軟らかな肌が曲線で繋がる股間と尻。唇に似た粘膜と過敏な突起。
器具で与えられる感性とは違う染み込むような感覚が心地良い。
異性の器官を受け入れる部位に恋人の指が入った。
しなやかで温かく、絡め合って手を繋ぐのも気持ちいいマルゴットの指。
分泌した液の滑りで人差指と中指は容易く受け入れてしまう。
蜜に満たされた身体の内側を擦られるのは、くすぐったくもあり、熱さも伴った快感で。
長い付き合いで、互いの良い所は知り尽くされているのだから。
じっとりと熱い内部で指を曲げる度にナルゼが息を詰めてから声を洩らす。
愉悦でどうしようもなく洩れる声なのに、どこか苦しげで、
そんなガっちゃんの声がご褒美なんだよねー。うん、も っ と ……
指のなぞりをナルゼの背中側に向けると薄い粘膜越しに張り型の起伏が解かった。
伏せていた白魔女が勢い良く仰け反り、啼いた。
一瞬でイった。翼に空気を溜めこんで飛翔するよりも、白嬢で燃費度外視で垂直上昇フルスロットルよりも凄かった。
性感としてではなく、
『排泄器に挿入されて抜かれる感覚に良い知れる痴態をマルゴットに見られ内側から確認された』
それを自覚したからだった。
頭の中は新品の原稿用紙や海雲のように真っ白で、眩しさで痺れている。
感覚だけは鋭敏で、口の端から顎を伝う涎や下半身で咥え込んだ張り型と指のカタチ、
頬に触れる自分の黒髪にシーツの肌触り、薄めの尻と密着する張りの有る太腿。
全身に汗がじっとりと浮き、酸欠気味に荒い呼吸を繰り返す。
「ガっちゃん? イっちゃったね?」
とても嬉しそうなだいすきな声色のマルゴット――
「イく時は、ちゃぁんと"イっちゃう"って言わないとダメだよねー?」
ヒケた胸の敏感な先端を蜜まみれの指で摘まれて、またイきそうになる。
二人だけのサバトはまだ終わらない。