「大体選挙なら一人で行けばいいじゃないですか!
どーせそんなこと言って風見先輩とイチャつくつもりなんですよこの人!!」
「っていうか出雲さんも社会参加するんだ……」
「失礼な、俺だって色々考えるんだぞ」
「何を?」
「子育て政策」
「キャ――!! 三大欲求――!!!」
「だって考えてもみろって。俺らが日本に帰ってきた途端、
一人っ子政策にでもなってたら俺は何を励みにして生きていけばいいんだ。
――というわけで選挙場で日本の子作りの未来について色々とアピールを」
「イチャつくつもりマンマンだあ――!!」
「……出雲。
公共良俗のためにも一人で行ってきたまえ」
「おいこら馬鹿さやm
「キャ――!! ロンリィ――!!!」
「…………」
「ロンリィ――!!!」
「…………」
「ロンリィィィィィ――――!!!」
「…………」
「……という感じで力技で邪魔者も追っ払いましたから」
ぱん、ぱん、と手を払うように叩いて、
「奥多摩探訪・裏メインイベント、風見さん処刑祭ですのよ――!!」
「はあ!?」
疑問の声を発した瞬間、後ろに強く引かれる力が来た。
羽交い絞めにされている。
そう気付いて慌てて周囲を見て、自分の視界からいなくなっている人物に気付く。
「美、美影……何してんの?」
「ん」
背後にうなずく気配があって、
「リュージ君との相談通り」
「うわー! 美影さんそれ言っちゃうのナシですよ!? 後が大変じゃないですか!!」
「……駄目だった?」
「いえいえ美影さんならオールオッケーです!!」
「飛場は後で覚えてなさい、っつーか」
おかしい。
ヒオ達の暴走に、周囲が何のツッコミも入れようとしない。それどころか、
「……どういうこと?」
「あ、大丈夫大丈夫、処刑っていってもこう、風見さんの得意方面じゃないから。ぐちゃっとかいわないから。
ただヒマだから皆で風見さんで遊ぼう的な」
ゴリラ用、とタグのついたロープを構え、ね? と佐山を振り返る新庄の笑顔が別人のように黒い。
それだけではない。
全竜交渉部隊の面々全てだ。それに風見はこの上ない違和感を覚え、だからそれを率直に口にする。
「な、なんかさ、皆……ぶっちゃけ、キャラ違くない?」
「ははは」
わざとらしい笑いで答えたのは佐山だ。
「 二 ☆ 次 ☆ 創 ☆ 作 」
「アンタが可愛く言うなぁ――!!」
「あら? そもそも川上日記なんですから仕方ないんですのよ。だって川上日記ですもの。
本編のヒオと一緒にしないでくださいませ」
何が仕方ないのか全くわからないが、なんだか本格的にヤバい雰囲気になってきた。
力任せに身体をひねってみるが、美影の腕力にもDWF補正がかかっているらしく、腕が外れる様子すらない。
「ね、ねえ……」
何か打開策はないかと見渡しても、「俺を巻き込むな」とありありと書いてある原川の背中が目に入ったぐらいだった。
お前のキャラは変わってないんかい。ここで都合よく救出マニアな主人公気質にでもなっとけよコラ。
……と眼力を送ってみたが変化が無い。
ヤバい。
「ちょっ……み、皆、よく考えなさいよ。
ここ、一応、川上稔の公式サイトなのよ?
いくらいつもハッチャけてるっつっても、コレは流石に限度を超えて……」
「……風見」
背後から響く抑揚のない声に、冷や汗がひとつ。
「な……何? 美影? すごい嫌な予感がするんだけど」
うん、と美影がうなずき、
「ここ、エロパロ板」
「――うわいつの間に!?」
「」
「分かったからもう分かったから!! ……って、ちょっ、待ってよヒオ、何脱がしにかかってんのよ」
「イエ――!! 処刑――!!」
「せめて処刑って言い方を止めなさいってば! って、だから、止めっ……やあ……」
なんて展開には絶対なってくれないんだろうなあ、川上日記。
《期待の方向性が間違っています》