・・・・・・む。
唐突に目が覚めた。
UCATの仮眠室。カプセルホテルのような構造のそこは、使用者に無駄なまでの安眠を約束している。
しかし、目が覚めた。
体内時計は、今が深夜だと伝えてくる。
・・・・・・もしや、新庄君になにかあったのだろうか。
「そうであるなら、私と新庄君の絆はもはやまロを超えているな」
寝起きであるためか、少々頭の回転が遅いことを自覚する。
昨夜――というより、数時間前。大城や大樹、出雲他数名の者達とそれぞれ得意だと言うゲームで同時対戦したが、
・・・・・・そんなもの程度で私が疲れるはずがない。
圧勝した。素晴らしい圧勝だった、と頷き、――ようやく違和感に気が付いた。
握られたのだ。
「!?」
・・・・・・新庄君がまさかそんな積極的な!?
竿をしごくのは、絹手袋の感触だろうか。
しかし、新庄は夜間訓練ということでボルドマンらと山地に行っている筈だ。
・・・・・・ならばこれは私の想像が生み出した幻想感覚か!
それはそれで、と思った瞬間だ。
生暖かいものに包まれた。
「ふっ」
唐突な刺激の変化。
佐山は歯を食いしばり、耐えた。
・・・・・・わ、私としたことが己に負けそうになるとは!
吸われた。
「ぬっ・・・・・・!」
背筋を快感が突き抜ける。
「――!」
――かりっ、と鋭い痛みが、快感となって脳髄を貫いた。
下唇をかみ締め、一気に上ってくる快楽に耐える。
・・・・・・さて。
若干の悔しさをかみ締めつつ、佐山は布団に手をかける。
寝起きからは脱出した。
そして、布団の中に誰かがいることも理解している。
一気に、布団を捲り上げた。
「・・・・・・何をしているのかね」
そこにいたのは、大城・至専属自動人形――Sfだった。
「Tes.それだけ暇なら、佐山サマに奉仕でもしてこい、と命令を受けたので」
「・・・・・・そうか」
流石に予想外だった。
絹手袋の時点で思い至らなかったことに、自責の念が湧き上がる。
・・・・・・あの時点であれば間に合ったものを!
全ては尻神様のためにある、と佐山は己の存在理由を定義する。
それが破られた。
動揺はあるが、それはおくびにも出さない。
「では」
Sfはベッドから降りると、一礼する。
「佐山様、よい眠りを」
「ああ、ありがとう」
・・・・・・そう言うことに、若干の抵抗はあったが。
佐山は礼を言い、再度布団に入った。