重い。
この身は剣神の身だ、武具であればその重さを感じることはない。
なら、何が重いのか。
熱田はその重みの原因を見やった。
ふにふにわたわたと手足を動かしているのは黒髪黒目の年端もいかない少女だった。
「それにしてもひどいのはおぬしじゃ。
まったくわかっておるのか。ともすればわらわたちのぼうそうによるせかいしょうめつもありえたんじゃぞ」
どーん、と効果音をつけてぶつかってくる。
「とはいえ、われらがいねんかくのふうすらくだくほどのちからをえたことはほめてやってもよいな」
妙に楽しそうに手足を動かして抱きつくソレに、熱田は拳で制裁を加えた。
「あー、うるっせぇっ」
「にょわぁっ。か、かりのからだとはいえわらわはやまたなるぞっ」
考えたくもなかった。
このちんちくりんな幼女が、自分たちの世界を滅ぼし、生み出したものだなどとは。
熱田はなにやらにゅ〜と奇怪な泣き声をあげるその人形を見る。自動人形「やまた」(なぜかひらがな)。
この度八叉が仮に収められることになった体だった。
黒髪黒目に黒の髪、泣き虫なのか今も目をうるませているその少女は着物を着ている。
ところがさきほどから動いてばかりいるものだから帯が解け下着が見えている。
「まったく、なんで俺がこんなことをせにゃならんのか…」
・──名前とは力である
「熱田、わらわを抱き起こせ、優しくな」
言われるとおりに、力を特にこめずに抱える。
「……はっ、何俺は言いなりになってんだぁっ!?」
「ほほほ、甘いのぅ。わらわはこんなチビなナリでも2ndの世界そのものよ。
すなわち2ndのものへの介入などおてのものよ」
かんらかんらと高笑いをあげるチビに、腹が立ったのでもう一撃。
「あつた、ちこうよれ♪」
がくん、とふりあげた拳が止まった。そのまま、熱田は彼女を抱き寄せる。
「うむ、なかなかういやつめ」
「誰がういやつだ、だれが」
鈴なりのようなこの声に名前を呼ばれると、どうしても従ってしまう。
名前の束縛、おそるべし。
「ほんとうのことじゃよ、とつかどころか全概念核に同等の被害を与えるなど、そこらのおとこにはできまいて」
「そりゃどうも」
「あつたは、わらわがきらいか?」「嫌いだね」
「……ほんとうにかえ?」
涙を貯めてこちらをみる。その涙は思わず言葉に詰らせるほどだった。
「…ちっ。」
プイとそっぽをむくのがやっとだった。
「〜♪」
すりよってきた。
熱田はこれ以上何かされるのも嫌なので無視した。
「あつたの剣も鍛えてやらねばなー」
かちゃかちゃと音がして、ズボンのベルトがゆるめられた。
「ちょ、ちょっとまててめぇっ!」
「では、いただきま
──開発部のカメラが斬撃によって全滅したため、ここから先は脳内でお楽しみください。