「おい、これは何の真似だ」
目覚めた時のみずからの状況に原川は絶句より先に減らず口がついてでた。
原川は今、動けなかった。
拘束はされていない。ただ「落下」によって立つこともできぬまま延々と押さえ込まれてる。
原川はもう一度、目の前の女性に問い掛けた。
「うむ…」
銀髪を短く刈り込んだスポーティな格好の彼女は頷く。
「普段はヒオを受け入れているがせっかくなので、やはり原川の豪砲を受け入れてみたいのだ」
「興味本位が素敵だな。機械にもあの症状は感染するらしい」
……人格的には男性だと思ったんだが……。
なんとなく目の前のスポーツ少女の正体を察した原川はだが声には出さず視線で呆れてみせる。
「…では失礼する」
するするとズボンが脱がされる。ぎこちない手並みがどこか金髪の少女を思い浮かばせる。
トランクスを脱がされる。ひやりとした風の感覚。
「…へにゃりとしている。血液の集中はどうした?」
「あいにくだが俺は悩みでいっぱいだ。頭に血液がいっている」
そうか、と握られる。やや冷たい体温。
「サンダ―フェロウ、外見が女性だろうと男に反応するような無節操さは佐山にでも言うことだ。」
「…」
ぴくりと反応。
「なぜ、私だと」
「相棒の姿はどんなに変わろうと忘れない。」
落下の力が緩んだ、多少は動揺したらしい。
これで正気に戻ればと原川は思う。
「素晴らしい。ますます君の遺伝情報が欲しくなった」
両手で握られた。そのまま丁寧ながら上下に動かされた。
「………」
集中しろダン、上目遣いが気にかかったらおしまいだ。
「んぷ……」
口に含まれた。
だが考える。そもそも、ヴェスパーカノンの位置から見ればこれは男のはずだろう。
目の前の少女がサンダーフェロウであることにもはや疑いはない。
だが、自動人形の体(どうせそんなとこだろう)とはいえ、何がここまで…
「んちゅる……ん…ぱぅ……」
原川は考えを中断せざるをえなかった。
上手いのだ、この相棒。
「……まて、これはあれか?サンダーフェロウだけにサンダーフェラとかそんなオチなのか?」
どこか冷ややかにいいながらも、原川は興奮を感じ始めていた。
「…ちゅ……原川、血液の集中を確認したぞ。そんなに気持ちいいのか」
「それよりもヒオはどうした」
「彼が相手をしている」
「彼?」
耳をつんざくヒオの泣き声が聞こえた。
「そ、そんな手を使われたら、ヒオ、もうっ、もうたまりませんのっ!」
「…だが、待ち望んでいるように見えますよ」
隣室から聞こえてきたその声は一方は聞いたことがないものだった。
「そ…そんな……原川さん…た、助けてくださいまし…」
震えるような呟きに、だが相手は楽しんでいた。
「これは一対一の勝負なのですよ。なに…私ならば白を黒く染めることなどたやすい」
「あっあああっ、や、やめてくださいですのっ!そ、そんなことをされては、ひ、ヒオ屈してしまいますわっ」
原川の理性は無事だ。だが、状況がその継続を許さなかった。
「ヒオ!」
「…熱いな…原川」
どっちの意味で言っているのか。確かに臨戦体制は整ったが。
「…く、そこをどけ。サンダーフェロウ!」「焦ることはないだろう。別に摂取はこのままで構わない。求めるのは一度だけだ」
つまり、一度放てばいいのか。
「…後悔させるぞ」
「何…むぐ」
口の中のがさらに圧迫されるのをサンダーフェロウは感じた。
「ヒオ!すまないが我慢しろ!今俺が、ダン・原川がそこへいく!」
「原川さんですの?…で、ですが急いでもらわないと…ヒオ…もう…もう…」
隣室のヒオの声は消え入りそうだった。
原川は自身の意識をトップギアにはねあげる。意識したときの速度には自身がある。
「は…早いぞ、原川…」
驚きの声をあげる少女の口の周りは既に唾液とカウパーでべったりだ。
「やかましいぞ相棒、ヒオが急いでる。ならかけつけるのが俺たちの役割だ。くっ、いくぞ!」
「了解だ…全力を…こちらにっ」
どくん、と唸る音と、ごくりと飲むこむ音は交互に聞こえた。
「…大丈夫か、ヒオ…!」
「原川さんっ!」
涙を溜めてこちらを見やるヒオ、間に合ったのか。
「…早いな、だが私の勝ちだ。貰うぞ。」
ペチとプラスチックの音が響く。
音の発信原はヒオと、ゆったりとしたローブに身をつつんだ巨漢の間に置かれている。
「オセロ…。」
ぺたぺたと白が黒に塗り変わっていく。黒の圧倒的優勢だ。
「…勝ちのようです」
「わーん、負けてしまいましたの〜!」
泣きじゃくるヒオを抱き留めながら原川は後ろからサンダーフェロウの声を聞いた。
「……次は4Pというものがいい」
……ああそうか。いいぞ、やってやろうじゃないか。
原川は静かにヒオを押し倒した。
なおここから先はマザーキャットに押収されました。