「佐山……これはどういうつもりなの」
「いやなに、科学の発展のために少々犠牲になってもらおうと思ってね」
ブレンヒルト・シルトは考える。
昨日、確かに自室のベッドで眠りに入ったはずが、今なぜ、こんな場所に寝かされているのか、と。
見回したところ、そこは分娩室のような場所であった。
ような、としたのは未だ自身がそのような場所に立ち入ったことがないからだ。
それでもそう思うのは
今寝かされている台が、自身の四肢を完璧に固定する設備を要しているからだった
「実験……?いったい、なんの実験だって言うのよ」
「長命種というものの、だよ」
「そんなもの、今ではありふれた資料でしょう」
事実だ。1stだけではない。他のギアにも私と同じような種族は存在する。
そして、それらをそれぞれのギアが調査し、プールしていた情報は既に公開されている。
さらには寿命的な死が存在しない機械生命まで存在する今、その情報価値はかなり低い。
「それが、一つ取得できていない情報があってね。その情報の供出を願いたいわけだよ」
「いったい、なに?」
「長命種と短命種の配合にによって生まれる、生命の寿命について」
「……馬鹿じゃナイン?」
「それはギャグかね」