武蔵アリアダスト学院、校舎前。  
「あ、喜美に総長。おはようございます」  
「おう、お早うアサマチ!元気かぁ!?」  
「フフフ今日も校舎前の清掃?そんなに筋肉つけたいの?――胸に」  
「姉ちゃん、姉ちゃん、それ言っちゃいけねえよ。アサマチだって好きでオッパイ固くしてるわけじゃいてぇ―!箒の毛が!毛が―!」  
「相変わらず朝からカラダネタですねこの姉弟…!ちなみに清掃は習慣です―!」  
「あら損な習慣。クククこのカマトト…!でも今日も可愛いから許したげる」  
「どうも。…とりあえずですね?ひとつ気になってたんですけど、聞いていいですか?」  
「何だよアサマチ、俺のスリーサイズなら前に教えただろ?何だよ次は!ホクロの場所か?てかそんなに俺が好きか?!」  
「昨日はアサマチ似の武将にオトされたからね。――フフフ愚弟のゴッドM…!」  
「姉ちゃん姉ちゃん、解ってねえなあ、いいかあ?――誰にでもMになるわけじゃあふん!あ、箒!箒イタイ箒イタイ箒嗚呼ぁ―!」  
「……相変わらずですけど聞いて差し上げますわ。――何してるんですの?往来のド真ん中で」  
「あら貧乳騎士、見て解らない?――そういうプレイよ」  
「あ、こら喜美、人を勝手に責め手にしないで下さい!」  
「おおネイトじゃねえか。よおしよしよしステイ――ステイ待てステイ待てステイステイ―!ちょ、待てステテテイてぇ―!」  
「あら犬の性。楽しそうだけど見るが華、フフフ傍観者って孤独…!」  
「ミト鎖駄目!いくら総長でもミンチになっちゃうから―!ソフトに拳!拳で!」  
「ステイホーム――違ったハウス!ほぅらネイトハウスハウス…!」  
「いい加減犬扱いやめませんと喉笛噛みちぎりますわよ?!頭撫でるのもやめなさい!」  
「カリカリしてんなぁネイト、カルシウム足りてっか?骨あるぞほぅら骨だぞ〜?」  
「また犬扱い…!――というか、総長?そういう貴方こそ――」  
「うん?」  
「何ですかそのトゲ付き首輪。そっちの方が犬じゃありませんか」  
「あ、これ?コイツは―」  
「フフフプレイの一環よ。楽しいわよねぇ、ねぇ愚弟?」  
「姉ちゃん姉ちゃん、無言のプレッシャ――うんすげぇ楽しい。楽し過ぎて脱げそう。脱いでいいかな?どうよ?!」  
「脱いだら中身亀甲縛りとかだったら射ちますよ?いえ訂正します、とりあえず脱いだら射ちます。主に急所狙いでズドンと」  
「ズドン好きねズドン。アンタなんて怪獣ミコズドンよククク…!」  
「結局総長の首輪の件は…」  
「ああ?!何だよネイトそんなに首輪欲しいか?!お前人狼だろ?犬か!やっぱ犬かぁよしよしよし」  
「ミト鎖駄目―!無限ループになるから駄目ぇ―!」  
 
 
二限目終了後、梅組教室。「一日奴隷券、ですかぁ…」「オゲちゃんあんまりまじまじ見んなよ?俺に惚れちまうだろ!?」  
「葵姉、何故私に売らなかった。これなら良い値で買ったものを」  
「クククいい女は数字の列だけで物を決めないの。この守銭奴」  
「喜美ちゃんだから褒めないで――!」  
「オゲちゃん褒めてねぇ褒めてねぇ」  
「話を戻しますと、例の券は現在使用中と。……それ、意味ありますの?」  
「意味ならあるわよ?――何時もよりジュース買ってくるの一分早いもの」  
「…他には?」  
「…フフフ秘密って大人のたしなみ…!」  
「どうせ喜美のことだから、まだ何もしてないんでしょ?こう見えても結構考え無しで動くし」  
「いや浅間、そーでもねえぞ?――今朝は姉ちゃん好みの飯作らされたし、起きたくねえから運べってリビングまで運ばされたし、おまけに着替えまで手伝わされたし」  
「「「「着替え――?!」」」」  
「だって面倒じゃない。私としてはパジャマで来ても良かったわよ。フフフ授業なんて子守唄…!」  
「いや喜美、ちょっとこっちこっち」  
「?何よミコズドン。ズトンミコ?――ククク選ぶ権利をあげるわ。どっちがいい?」  
「この際その訳の解らないアダ名は無視するとして、本当なんですの?!」  
「何が?」  
「その…総長に…着替えを…」  
「フフフ羨ましい?でも特権だから譲れないわ。――ねえ愚弟?この貧乳犬あんたに着替え手伝わせたって事くらいで真っ赤になってるわよ」  
「ああ?どうしたネイト、お前まで俺の事好きか?!そうかそうかよしよしよし――」  
「この……お馬鹿―!」  
「へぶっ…―――!!」  
「……ハイディ、修理代上乗せしておけ。壁五枚分に迷惑料金込みでな」  
「シロジロもどさくさ紛れで利害計算やめようよ。会費で落ちるの?それ」  
「智ちゃん大丈夫、ちゃんと請求先名義は武蔵王にしてるから」  
「フフフヒゲ王涙目ね、愉快愉快。…で、何の話だったかしら」  
「確か喜美殿が総長に着替えを…という辺りで御座ったか?」  
「あら居たの根暗忍者。やあねえ遂に存在感まで消しちゃう秘技体得しちゃった訳?クククそのまま消えとけばよかったのに」  
「うわ酷!折角真面目に話に参じようと思っていたのに…!」  
「お、ハンゾーじゃねえか。やっぱ昨日は振られたか?だよなあ今時薔薇の起き逃げはねえって。俺だったら即焼却炉行きだもん、なあ?」  
「あ、土遁した」  
「フフフ愚弟、いい追撃ね、グレイト!」  
「よくわかんねえけど当たり前だろ姉ちゃん!俺と姉ちゃんは昔からツーカーだぜ?!たまに妨害電波で俺だけ姉ちゃんの意図掴めねえけど!」  
「それこそ当たり前じゃない愚弟。ミステリアスな所もあっていい女って言うのよ?それと愚弟、次の命令ね」  
「何だよ姉ちゃんまだあったのか?!うわあ大人の女って欲深ぇ…!いいとこねえけど流石だな姉ちゃん!」  
「フフフ愚弟、今日の私の宿題やっときなさい」  
「「「「うわ実質的に汚ねえ――!!」」」」  
「ククク奴隷に拒否権無し!――あら?次体育じゃない。準備しないと暴力教師に置いてかれるわね」  
「そうでした!皆急いで準備を――総長?」  
「ああ、次の時限は俺居ねぇから。総長会議みてえなもんやるらしいけど、途中まで聞いたら抜け出してくる。で、授業に復帰して寝てる」  
「「「受けろよ授業!!」」」  
「っと、ツッコむのもこのくらいで。では総長、一応お気をつけて。――今日こそ撃墜しましょう、皆」  
「「「応!」」」  
 
「?…宿題の間に紙…メモか?何…」  
 
 
 
 
"命令・放課後、教室に残ってなさい"  
 
 
 
 
放課後、梅組教室。  
「フフフお待たせ愚弟。待った?そうよね規定時間一時間オーバーだもの。ええ、わざとよ…!」  
「うわあ姉ちゃん最悪だな!お陰でもう誰もいねえじゃねえか!さっさと帰ろうぜ!」  
「なあに愚弟、また帰ってすぐエロゲ?」  
「当たり前だろ姉ちゃん!まだホライゾン帰ってこねえし、エロゲ卒業はまだまだ先な?!」  
「愚弟、あんた学生じゃなくなったらいい感じにニートねククク」  
「うわ言ったな姉ちゃん!オッパイもでけえけど頭いいのって姉ちゃんくれえだぞ?!アンバランスじゃね?」  
「…フフフ愚弟、賢姉のオパーイ気になった?あんたのオッパイソムリエとしてのセンスが遂に禁忌の域まで反応し始めたのね、エクセレント…!」  
「姉ちゃん!姉ちゃん!何だか妖気を察知したんだけど、吸いに行っていいかな?!」  
「愚弟、それよりどう?あんたの賢い姉は魅力的?」  
「エロいのは確かだな!大人の魅力ってのはまだわかんね。オッパイソムリエとしては"ゲヘへかなりの上物だぜこれは"って感じ!」  
「フフフ正直ね愚弟。エロくないと刺激がないものフフフ。刺激ついでに愚弟、あんたのソムリエとしての手で、私のオパーイも直々に順位付けなさい」  
「うわ姉ちゃん!いいのかよ後悔するし喜ぶの俺だけだぜ?」  
「あら賢姉のオパーイでは不服かしらククク…――塩いる?」  
「有り難く触らせて頂きます!」  
「…ん」  
「あれ?あれぇ?姉ちゃん、何か柔らけえぞ?すげえ柔らけえ!」  
「…ぁっ……んぅ…」  
「おかしいな、センコーといいアサマチといいネイトといい、柔らか過ぎるぜ姉ちゃん!オッパイってこんな柔らかいもんだっけ?」  
「ん…ぁ…」  
「あれぇ?姉ちゃん?おぉい?」  
「…あん…――なあに、愚弟…?」  
「姉ちゃん!エロベクトルが怪しい方向行ってんぞ?!禁忌!何だか禁忌な感じだ姉ちゃん!コレ何てエロゲ?」  
「禁忌でもいいじゃない愚弟。――ついでに愚弟?今は愚弟じゃなくて、トーリって呼ぶわね」  
「…喜美姉ちゃん?」  
「……大丈夫よトーリ、続けなさい。――人払いの結界は張ってあるから」  
「何だかいつも通りじゃねえけど解ったよ姉ちゃん」  
「フフフ、偉いし手付きもエロいわね……、んぁ…」  
「そう言う姉ちゃんだって柔らけえし息遣いといい顔といい無茶苦茶エロくね?俺の中の獣がフルステイなんだけど近親相姦ってどうよ?――どうよ皆!?」  
「判ってるわトーリ。でもねトーリ、賢い姉は判る大人の女だから、あんたが万一ケダモノになったりしたら嫌なの」  
「じゃあ姉ちゃん襲うのはいいのかよ?」  
「駄目に決まってるじゃない。ククク生殺し生殺し…!」  
「うわ姉ちゃん非道過ぎねえ?!」  
「冗談よトーリ。賢い姉は大人よ?アダルトだからこそ色々知ってるもの。だからトーリ、――あんたの気が済むまで好きになさい」  
「…いいのかよ?」  
「いいわよ。だけど終わったら何時も通りに愚弟って言って罵ってあげる。あんたの望みだものね?――悲しみを抱かない為に、笑っていられる為の関係が欲しいって」  
「…それ言い出すのは反則だぜ姉ちゃん」  
「大人の女は規則に縛られないものよ。……花もそうでしょう?」  
「そうだな、うん」  
「花はね、自ら散らされていいと思った者しか触れさせないものよトーリ。そして"愚弟"じゃないトーリ(あんた)なら、私はいいと思ったの」  
「…そっか、姉ちゃん頭いいな。――俺、頭悪いから、こういう時どう言えばいいか判んねえ」  
「確かに馬鹿ねトーリ。いいのよ、何も言わずに押し倒しても」  
 
 
――あんたは今日一日  
私のモノなんだから――  
 
 
「今まで私が罵った分、私に好きなことをなさい…。命令なんだから、ね」  

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