――日本UCAT、訓練室  
「ふぅ、いい汗かきましたわ」  
 訓練室に設置されている人型の人形"木人君"相手に軽くゾーンブルグ家に伝わる鉄拳制裁法を施した私は持ち込んだスポーツドリンクを片手に一息ついていた。  
「あら、美味しいですわねこれ」  
 試供品だというこのスポーツドリンクは先ほど開発部の職員から譲り受けたものだ。ほんのりと酸味のきいたそれは後味もすっきりしておりなかなかに良い出来だ。  
「…まだ残っていたらもう少しもらってきてみましょう」  
 休息を終えペットボトルをわきに置く。立ち上がりながら髪の中に隠してある白い紙を数枚引き抜く。  
「さて、では始めるとしましょうか」  
 
 
 …おかしい。  
 いつものように文字と紙を駆使した魔術の訓練をしている。ペースを上げたり体調不良ということもない。  
 だが体の奥に一つの違和感が付きまとう。  
 足を止め、動きを止める。  
「熱いですわね」  
 熱。いつもと同じ訓練、だがいつもより熱を持つ体。  
「どうしたんでしょう…これはまるで…」  
 そう、お酒を飲んだ時のような。よくわからない。支障があるわけではないですし、あまり気にしなくてもいいのでしょうか?  
「んー、あとで医務室にでも行ってみましょうか…」  
 支障はないが、なにかあるような気がする。根拠はない。あえて言うならば、女の勘というやつだろうか。  
「それにしても熱いですわね」  
 体の熱は治まらない。しょうがない、少し装甲服を軽装にして…  
「んっ」  
 装甲服の襟を緩め、首筋に指が触れた。その瞬間に体の芯に小さな電流が走った。  
「な、なんですの!?」  
 不快感はなかった。いや、むしろ  
「ごくっ…」  
 私はもう一度首筋に指を伸ばした。  
「んあっ」  
 電流。無意識に声が出た。自分のものとは思えない、甘い声が。  
「わ、私ったらなんて声を…」  
 恥ずかしい。誰もいない訓練室でよかった、こんな声を誰かに聞かれたら…そう、おばあ様に禁止されているゾーンブルグ家の秘伝を使うしかない。後始末が面倒だがそれも仕方ないだろう。  
 でも  
「そうですわね…ここにはだれもいない…私一人」  
 ごくり。喉の鳴る音がやけに大きく聞こえた。  
 手を上げ、人差し指を首に当てる。優しくなでるようにしてその指を滑らせる。  
「んっはっ」  
 びりびりと、電流が流れていく。  
「ああ、こんな、いけませんのに…」  
 手が止まらない。指は首を過ぎ、胸の方に滑る。薄紫の布地の上を指が滑る。  
「んんっ」  
 服越しの感触にもどかしさが募る。体を流れる電流がもっともっとと言っているようだ。  
「ダメ…ダメなのに…ああ、もう我慢できませんわ」  
 
 もどかしさのまま、一気に服をはだける。乱暴にブラも剥ぎとってしまう。熱を持った肌が大気にさらされ冷やされる。爽快感が体を駆け巡る。乱暴に脱いだせいで走った軽い痛みすら心地いい。  
 ほよほよと震える自分の胸を見下ろす。  
「はぁ…」  
 ゆっくりと手を持ち上げ、胸に伸ばす。指を開き、包み込むように…  
「くぅんっ!んっ!んはぁぁ!」  
 掌が汗で湿った胸に触れ、吸いつくような感触を感じた直後。弾けるようにして電流が駆け巡った。  
 反射のように手に力が入り、胸をギュッと押しつぶす。  
 さらなる電流、更なる快感が体の芯を駆け抜ける。胸で弾けた快感が稲妻のように駆け降りておへその奥、子宮に落ちる。そこから今度は逆方向、頭に向かって快感は駆け昇る。  
 瞬く白い稲妻が私の脳を焼き焦がす。  
 何も、胸から走る快感以外何も考えられなくなる。  
「んみゅっ!くぅ、あっ!は、やっ、な、なにぃ、なんですのこれぇ!」  
 ギュっギュっギュっ。リズムを刻むように私の手は胸を揉んでいく。私の意思から離れて何度も何度も胸を揉みしだく。  
「ふぁっ!だめぇ!ダメですのぉ、こんな、こんなのぉ」  
 止まらない。手が、快感が、白く瞬く電流が止まらない。  
「んはぁ!」  
 見知らぬもののように動き回る手が一際強く胸を押しつぶす。胸が指の隙間から押し出されていく様子はまるで手が胸の中に沈んでいくかのようだ。  
 子宮に落ちた稲妻が弾けた。快感が体を駆け巡る。もう立っていられない。  
「んひゃぁん」  
 床に膝をつき、耐えきれずそのまま前のめりに倒れこむ。  
「んんっ!」  
 床で押しつぶされ胸が変形する。さっきとは違った快感。  
「はっはっ」  
 床に頬を押し付け荒い息をつく。胸の快感は少し落ち着いたがまだジンジンと疼いている。  
 正座をしたまま前のめりに倒れた今の体勢のせいで、突き出されたようになったお尻がフラフラ揺れているのが止められない。  
 もっと、もっと快感を。火照り疼く体は快感の電流を求めている。  
「はぁん、ん、お、おまたがジンジンしますの…胸も、もっと…」  
 手が動き出す。止められない。疼きと火照りに支配された手を止める方法はない。  
 何より、止めたいと思う自分がいない。  
 ゆっくりと、じらすように手は伸びていく。行く先は、じっとりと濡れた股間だ。  
 
 
   
「という電波ガガガガガ」  
「ズドン系巨乳幼馴染巫女でその上エロ作家、すでに多いのにこの上電波か。要素多すぎるだろう。世の中多くて困らないのは金と利益くらいなものだぞ」  
「いやそれどっちもおなじ。っていうか要素って言うな」  
「ふむ、とりあえず白魔術師に言って絵を描かせるか…」  
「聞け、守銭奴」  
 
 

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