「じゃ、いれるでな」
「……ん…よし、来い。……あ痛っ」
「あ、ごめんな、ちょっと力いれすぎたでな」
「……ん、大丈夫だ。構わず続けてくれ」
「そう?無理だったら言ってくれな、命刻くん」
「……ん、大丈夫、段々と……痛っ、やっぱり少し痛いな」
「すまんなあ、慣れんもんで」
「…経験が無いわけじゃあるまい?」
「そうなんじゃけど、実はあんまやった事ないのじゃよ」
「そうなのか?まあ私も初めてだし……あ、そこ、それもっと強く!」
「ここかな?ここが良いのかな?」
「……大城様、命刻様、何をなさっているのですか?」
「あ、八号くん。いやあ、命刻くんに頼まれて耳掃除やってあげてるんじゃが、どうも駄目じゃなあ
傷つけてばかりじゃよ。慣れん事はするもんでないなあ」
「ん?八号君、拳握りしめてどうしたでな?」
「非、効率、と、判断します。 ― 一夫様、今すぐ私に交代を」
「いいけど肩が張っとるよ? ワシがほぐして―げふっ」
大城の腹から鈍い音が飛ぶ。膝に命刻を載せたまま上体が倒れる。いい音だ。
「その必要はないと判断します、しばらくそこでお休みください」
「は、八号? 動いても、いいかな?」
「いけません命刻様、耳かきが挿さったままになっております。故に、しばしお待ちを」
八号が正座に入ると同時に命刻が膝にスライドイン。重力制御だ。
「さぁ命刻様、この八号が精魂込めて耳掃除して差し上げます。それはもう、―徹底的に」
「何か邪悪な物を感じ―ふぁっ!そ、そこはちg―あぁ!ああぁ…」