「お守り、好きなの選んでいいですよ」
「……ん」
美影が選んだのは安産祈願のお守りだった。
……あれえ僕、今試されてますか? 試されてますか!?
ヒオは安産祈願のお守りを眺めながら、溜息をつく。
「どうして赤ちゃん、できないんでしょう……この間だって、原川さん、してくれましたのに」
無論、キスだけなのでできる筈もないのだが。
いい加減周囲の視線が痛くなってきたので、原川はヒオの手をひいて早々に神社から退散した。
「千里、もうすぐ出産予定日だもんな。ほら安産祈願の」
「このエロ大魔王がぁ――!」
「ぐぼっ」
出雲は何も間違ったことを言っていなかったが、風見はつい条件反射で打撃を入れた。
「大変です神主! 安産祈願のお守りしか売れてません!」
「もうやだこの国」