「死なせはしない!」  
「あ、ありがと・・・。」  
ジュジュが仲間になってくれて、しばらくした後、僕たちは、僕たちの分身と闘うことになった。  
相手の戦闘能力も僕や、レオン、アルミラと同じぐらいの戦闘能力を持っていて、コンビネーション抜群で息もきっちりとあっていた。  
そのコンビネーション攻撃でジュジュがやられてしまったのだ。  
それで今、ジュジュを瀕死状態から回復してあげたところ。  
「オラァッ!!」  
後ろでレオンの叫び声が聞こえた。振り返ってみると、レオンの拳が僕の分身の体を貫いていた。  
「一丁あがりだぜ! ったく、どうして神はこんな潰すのにめんどくせぇモン造るかな!」  
レオンがやれやれ、といった感じでため息をついた。  
たしかに、と僕は思った。あんな手ごわい敵がこれから先、ゴロゴロ出てきたら、厄介すぎる。いつ全滅してしまうかわからない。  
まぁ、みんなで力をあわせれば乗り越えられるとは思うけど。  
「んで、そっちの嬢ちゃんは大丈夫そうか、坊主?」  
「あぁ、大丈夫だよ、きちんと回復させてあげたから。最後、一人で踏ん張っていてくれてありがとう、レオン。」  
「まぁ、まかしとけ。体力一番あるのは俺だからな。ところで嬢ちゃん、もうちょっと気張ってもらわねぇと困るぜ。あのくらいでへばっている様じゃアルミラには到底適わねェぞ。」  
「うっさいわね!あんな波状攻撃防げるわけないでしょ!!あんたもあの攻撃受けてみなさいよ!!あんただって、わたしと同じ状況になるわよ!!」  
「あぁ!?なんだと、このガキ、でかい口叩きやがって!」  
「やる気!?」  
「やってやるぜ!」  
ジュジュとレオンが戦闘態勢に入る。この勢いだと本当に二人は闘い始めそうだ。これはまずい・・・。  
 
「やめようよ、二人とも。力をあわせる仲間同士が争ってどうするんだよ?チームワークがひどくなれば、勝てる相手にも勝てなくなるぞ!」  
沈黙が流れる。これでももし、二人が闘う意思を消さなかったら、そのときはどうする・・・?  
「悪かったわ。レオン。」  
「すまねぇな、嬢ちゃん。」  
よかった・・・、とりあえず丸く収まったらしい。  
「ふぅー、二人とも気が強いからなぁ。それが二人のいいところでもあるんだけれども。」  
 
しばらく、歩いているうちに、ジュジュは歩みを止めてふと僕に聞いてきた。  
「ねぇ、あんた、いつ敵のわたしが後ろから襲いかかるかわからないのに、よくそんな先頭を進んで歩けるわね。」  
「えっ?」  
「だってそうでしょ、前までは敵だったあんたたちを殺そうとしていたのに、どうしてそんなにわたしの前を進んで歩けるわけ?もしかしたら、また神に頭の中を弄られて精神を支配されてるかもしれないのに。」  
「何でって聞かれてもなぁ・・・。信頼しているからだよ、ジュジュ、君を。」  
「ただそれだけ?信頼なんてすぐに崩れて、脆いじゃない。」  
「ただそれだけ。信頼しあっているから、僕たちはここまで来れたと思うし、さっきの分身たちにも勝てたんだと思う。信頼しているから、アルミラだって、絶対に見つかる。そう信じてる。」  
「ふぅん・・・、よっぽどのお人よしなのね。あんたは。」  
「お人よしっていいことじゃないか。」  
「そうね。そのお人よしさが、あんたのいいところでもあるんだけれども・・・。」  
「え、何?」  
あまりにもか細い声だったので、なんて言っているのかは聞こえなかった。  
「へぇ・・・。」  
彼女の後ろを歩いていたレオンが新発見をしたかのように、ジュジュを見つめている。  
僕には聞こえなかった言葉をレオンが聞いていたのがわかってジュジュの顔はみるみるうち紅潮していった。  
「どうしたのジュジュ、顔真っ赤、大丈夫?」  
「うっさいわね、ほっといて!」  
「はっはっは!坊主の鈍感さに負けんなよ!嬢ちゃん!」  
「えっ?えっ・・・?」  
「〜〜〜〜!!」  
 
一生の不覚、とでも言わんばかりにジュジュがレオンを睨み付けている。  
レオンは笑っている。よくわからないが、まぁ、ジュジュは僕たちを裏切らない。ってことを確信できた。  
睨んでいる目に殺気がこもってない、と思ったからだ。  
「これからも、その遠隔操作のレクスで僕たちを助けてね。ジュジュ。ずっと信頼してるから。」  
僕は彼女の手を掴んで握手した。  
「〜〜〜!?」  
彼女の顔がまた一気に紅潮した。  
「ポンッ!」っという擬音語が似合いそうなぐらい、頭から湯気がでそうなほど真っ赤になった。  
いきなり彼女の遠隔操作のレクスが僕めがけて飛んできた。  
「え?ちょっ・・・」  
遠ざかっていく意識の中で見えたのは、真っ赤な顔をしたジュジュと、笑い転げているレオンの姿だった。  
 
 
「ん・・・?・・・、・・・!?」  
僕は目を覚ました。目の前にジュジュの顔がありかなり焦ったが、よく見てみると寝ているみたいだ。しかも、どういうわけか膝枕してもらっている状態。  
僕はジュジュが起きないようにトトに僕の意識がなくなった後のことを聞いてみた。  
ジュジュのフルパワーの攻撃を受けた僕はエテリアたちの力のおかげでなんとか、瀕死状態ですんだ。が、意識不明の重態だったのでジュジュが責任を持って、手当てしてくれた。らしい。トトがそう教えてくれた。  
手当てしているときに色々あったようだけど、それについてはトトは教えてくれなかった。  
レオンに何があったか聞いてみたら「坊主も大人になったんだよ。」と言っていた、どういうことなのだろう?  
ジュジュに聞いてみたら、また、顔を真っ赤にした。攻撃されそうなのでこれ以上聞くのはやめておこう。  
「大人になった」、結局どう言う意味なのか、答えを返してくれるものはなく、僕たちはかなり時間をくってしまったが、再び、アルミラを探すために、このダンジョンのさらに奥へと進んでいった。  
 
 

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