フィール、アルミラが奥で眠るなか、レオンは一人で見張り番をしていた。  
 火に薪をくべながら、あまりに何事もないので、欠伸で大きな口を開けたその時――。  
「ジュジュ、てめぇ、こんなところで何してやがる。ちょうど退屈してたところだ」  
 アルミラなら、現れたジュジュに殺意がないと一発で勘付いただろうが、レオンは闘争本能をむきだしにして左手を構えた。  
 ジュジュのレクスたちが彼女を取り囲むように防御態勢をとる。  
 そこでようやくレオンも彼女の様子のおかしさに気づいた。  
「なんだ? 戦う気がねぇなら来るな。俺は今、見張りしてんだからよ」  
「あんたを殺す気なら、とっくにやってるわよ」  
 レオンの左手から攻撃反応が消えたのを確認して、ジュジュも防御態勢を解く。  
 戦えないつまらなさから、レオンは舌打ちして座り込んだ。  
「だったらよ、なんでこんなところまで来る必要があるんだ? 俺を殺さなくていいのか?」  
「目覚めた、のよ。あんたならわかるでしょ?」  
「ああ、あれか。じゃあ、なんだ? 仲間になりたいってか?」  
「バカ言わないでよ。誰があんたたちの仲間になんて……」  
「悪かった、悪かった。用件をさっさと言えよ」  
 それまで強気に言い返していたジュジュが、突然不安げに辺りを見回した。  
「アルミラ、いない?」  
「ああ? 奥で寝てるぜ」  
 顎で奥を指しながら、レオンはめんどくさそうに答える。  
 ジュジュがレオンの隣にかがみこむ。  
「レオン、アルミラとあんたって……その……」  
 周りに聞かれたくないことなのか、彼女にしては珍しく小声で囁いた。  
 だが、レオンは歯切れの悪い話し方はあまり好きではない。いや、むしろうっとうしく感じる。  
「遠回しに喋るのはやめてくんねぇか? 俺は単細胞らしいからな。はっきり言ってくれたほうが理解できる」  
 ジュジュが言葉に詰まる。しばらくの沈黙の後、それまでの歯切れの悪さが嘘のように、ジュジュははっきりときっぱりと話した。  
 
「ヴィティスが言ってたんだけど、あんたとアルミラって体の関係があるの?」  
「おい、なんて誤解してやがんだ。んなもの、ねぇよ。……ったく、ヴィティスが言ったのか?」  
「アルミラほどの体を放っておくわけないって言ってたのよ。あんた、本能むきだしだから」  
 闘争本能があるのも確かだ。トトによく単細胞だと言われているのも認める。アルミラほど理解が早くないこともわかる。だが、性欲に誤解を受けるようなことはしていない。  
 ヴィティスが言ったことだから、と平気で言い放つジュジュを呆れた目でレオンは見る。  
「アルミラをそういう対象で見たことはねぇな。あの露出はよくねぇが、ちょっとでも触ってみろ。レクスの連続蹴りだ。仲間を殴る趣味もねぇしよ」  
 意外だ、と言わんばかりのジュジュの表情。  
「意外としっかり考えてるのね。ヴィティスにもそう伝えとくわ」  
「けっ、単細胞だと思ってたけど、がつくんだろ。そういうお前はどうなんだ? そのヴィティスにやられたりしてねぇのか?」  
 とたんにジュジュがレオンを睨む。  
 仲が良さそうに見えなくても、やはり彼女にも仲間意識は備わっているのだろうか。  
「ガルムとはありえないし、ヴィティスがそんなことするわけないでしょ」  
「へっ、どうだかな。……ってことは、溜まってるわけだ」  
 レオンの視線は自然とジュジュの胸へと注がれる。アルミラほど大きくはないが、揉むに不自由はしない程度の大きさはある。  
「なによ。何が溜まってるって言うわけ?」  
「俺は溜まってんだよ。アルミラは除外するとしても、あいつ以外に女っ気も全くない。もう一人は少年ときたもんだ。……だが、今は一人。目の前には女。もう、わかっただろ?」  
 ジュジュのレクスが一斉にレオンのほうを向く。どうやら、彼女にも伝わったようだ。  
 この距離で攻撃されれば、レオンも全ては防ぎきれない。ならば、彼女の攻撃を止めるほうが早い。  
「待てよ。本当に嫌なのか? 全く興味ない、と言い切れるんだろうな? 男に抱かれたいと思わねぇか? ……俺は抱いてみたいと思ってるんだぜ」  
 
 レクスの光がわずかに弱まった瞬間、レオンが動いた。闘争本能ゆえに生まれた反射神経の勝利といってもいい。左手の尖った指で、ジュジュの胸の布を無理やり剥ぎ取る。  
 攻撃態勢だったジュジュのレクスが一瞬にして防御態勢へと変わる。彼女の心の動きのままにレクスは形を変えているのだろう。  
 レオンは、先ほどまでの乱暴さを隠し、そっと手を伸ばしてジュジュの胸に触れた。もちろん、左手ではない。  
 ジュジュのレクスたちはわずかに震えていたが、やがて、完全に光を消した。レクスも、ジュジュも、レオンの右手の動きに屈したのだ。  
「いい胸、してやがんな」  
「アルミラよりも小さいって言えば?」  
「悪くねぇよ」  
 そう言ったレオンは、ジュジュのもう片方の胸に唇を寄せた。彼女の防衛本能を解きほぐすように、ゆっくりと吸い、ときに噛む。  
 レオンは、十分にその先端を固くした後、今度はジュジュの下半身に眼を寄せた。指を伸ばせば、きっと愛液が迎えてくれるであろう場所をじっと見つめる。  
 レオンの視線に気づいたジュジュが乱暴に言う。  
「これ以上は破らないでよ」  
「抵抗、しねぇだろうな?」  
「もう……しないわよ」  
「だったら、ちょっと我慢してろ」  
 布の隙間から秘所に触れる。やはり、そこは濡れていた。  
 自分の愛撫でジュジュは感じていた。その喜びがレオンを暴走へと引き寄せるが、じっと耐え、優しく秘所も解きほぐす。  
 敏感な箇所を探るまでもなく、わずかな指の動きだけで、ジュジュの秘所からは愛液が流れ出てくる。  
「なんだ、やっぱり溜まってんじゃねぇか……」  
「目覚める前はこんなことなかったわよ。なのに、あいつが」  
「へっ、ボウズに感謝しなきゃな」  
「どこが。こっちはいい迷惑よ」  
「迷惑? ここはしっかり感謝してんだろうが」  
「なに、あんた、そういう趣味あるわけ? 気持ち悪いわよ」  
 
「お前の態度見てるとこうなるんだ」  
 気持ち悪いと言われて黙っているレオンではない。指の動きをわずかに強める。  
 ジュジュの口はじっと黙っているが、指の侵入を阻むことない秘所は快感を訴えつづけている。  
「どんどん出てきやがるぜ」  
「黙ってくれない? 男の喋りはうっとうしいわよ」  
「てめぇの悪態はどこまで続くんだか……」  
 なんだかんだいっても女性だと思えばこそ優しくしてあげよう、とレオンは暴走を我慢していたが、ジュジュの性格にかかると、快感の喘ぎは全て文句へと変換されてしまうらしい。ならば、さらなる快感で口が聞けないようにしたほうが手っ取り早い。  
 レオンは指を抜くと、入れ違いに、ジュジュの秘所には大きめのものを挿し入れた。  
「うっ……あぁ……」  
 レオンの思惑通り、ジュジュの口からはもう文句は出ない。代わりにとめどない喘ぎとため息がもれ出てきた。  
「最初から声出せっての」  
「う……るさ……い。あ、あっ……」  
「悪いな。もう我慢できねぇとこまできてやがんだ」  
 ジュジュが苦しんでいないことは、彼女の声を聞いていればわかる。  
 あとは、自分と彼女の快感を最大まで引き上げるだけだ。  
 レオンは激しく抜き差しを繰り返した。  
 軽いジュジュの体は、ただレオンの動きに合わせて揺れるのみ。  
 目の前でただ揺れる胸がかわいそうで、レオンは思わずそれを口に含んだ。  
 だが、それがジュジュの快感を一層引き上げ、  
「だ……め……」  
 その声を最後に彼女の体が激しく痙攣する。  
「う……お……」  
 収縮を繰り返す秘所に締め付けられ、わずかに遅れてレオンも動きを止めた。  
 
 
「悪い。俺のコート着て帰るか?」  
 服を破られたジュジュは、必死に手で胸を隠している。  
「着て帰れるわけないでしょ!」  
「じゃあ、ヴィティスらにどう言うつもりだ?」  
「戦闘で破れたとでも言うわよ」  
「……胸だけ破れる、か?」  
 アルミラ並に勘のいいヴィティスが、その理由をどれだけ素直に受け止めてくれるかが問題だろう。  
 だが、レオンが出て行くわけにもいかない。  
 仕方がない。  
 レオンは消えていくジュジュをただ見つめるしかできなかった。  
「レオン、おはよう。服、どうかした?」  
 後ろからフィールが近づいてきた。のんびりした喋りを聞く限り、ジュジュを見てはいないらしい。  
「ああ、ちょっと戦って、な」  
 ジュジュと同じ理由をとっさに使ってしまったことにレオンは苦笑し、彼女に渡すはずだったコートを羽織った。  
「一人で無事だったのか?」  
 いつの間にかアルミラもこちらへやって来ていた。  
「まあな」  
「じゃ、行こうか」  
「おう」  
 彼らの旅はまだ続く――。  

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