暫しの時間の後、ようやく姿を見せたアルミラにカインは顔を綻ばせた。  
「うわぁ」  
 そのまま、てくてくと彼女の傍に寄る。  
「流石だね。よく似合ってるよ!」  
 ご満悦なカインに対し、アルミラの顔はいつもの無表情……いや、それよりも若干険しくなっていた。  
「動物の耳を模した装飾品か。付ける必要が何所にある」  
 その声に含まれているのは怒りというより呆れか。  
 アルミラの頭には白いヘアバンドがつけられている。それも只のヘアバンドではなく、丁度頭部に兎の耳が生えたような形である。兎の耳のヘアバンド……所謂ウサ耳をカインが入手し、アルミラに「付けてみてよ」と頼み、現在に至るわけだ。  
 ちなみにカインがどのような経緯でウサ耳を入手したかは別の話になるので省略。  
 アルミラの問いにカインは更に表情を崩し答えた。  
「そりゃ勿論可愛いから♪」  
「……」  
 カインの満面の笑みとは逆にアルミラの不機嫌さが一瞬で増す。それも直接の表情でなく雰囲気が。  
 
 それにしても、アルミラにウサ耳とはこれほどまでに良く似合うものなのか。  
 普段冷静で皆に的確な指示を与える女性が、ウサ耳をつけるだけで他者の保護の下でないと生きていけないような弱々しく可憐な女性に見えてしまうのである。勿論保護を求める相手はカインだ。  
 これが可愛いと言わないで何と言うのか!  
 ……と、胸の中で主張するカインをよそに、アルミラの手はヘアバンドにのびていた。  
「もう外していいか?」  
「あ。ちょっと待って」  
 反射的に彼女の動きを止めたカインの頭に、ある考えが浮かぶ。笑顔は崩さないまま、指でウサ耳に触れる。  
 本当の兎のそれではないが、それなりに精巧には作られているらしい。しなやかな毛皮の感触がカインの指に広がった。  
「ところでさ、ウサギさんってニンジンが好物だったよね?」  
 
 整えられた眉間に僅かな皺がよる。  
「別にニンジンだけ食べているわけではないだろうが……まぁ、そうだろうな」  
 生態を詳しく知りたいのか、と聞くアルミラに、カインは「そうじゃない」と緩く首を振った。  
「だったらさ、私の『ニンジンさん』も食べない?」  
「は?」  
 アルミラの右眼が点になる。点のまま、カインの柔らかな視線を追い下に下がる。  
 完全に彼の下腹部に視線が降りた時、アルミラは心の底からカインを軽蔑する溜息をついた。  
「……そういう意味か」  
 
 何のことはない、始まりの合図。  
「上のお口は冷たいことを言うけど、下のお口は正直だものね。ほら」  
 笑顔に下品さは欠片も見せず、カインはウサ耳を触れていた指を降ろし、彼女の股間に触れた。  
「ん……っ」  
 布越しでもそこの熱さが手に取るように判る。  
「君もご無沙汰でしょ?ウサギさん」  
 口付けするかしないかの近さで囁きながら、女性の股間を緩やかに触れ続ける。  
 アルミラは暫く顔を伏せて耐えていたようだが、やがて観念したのか小さく首を振った。  
「……せめて……」  
 鈴を震わせることすら出来ないような、か細い声。  
「せめて、座らせて……くれ」  
 
 ささやかな願いにカインは小さく笑い、頷いた。  
「了解」  
 近くの寝台に腰を下ろすと己の太股を軽く叩いて「ここに座って」と伝える。アルミラはカインの言葉通り向かい合うような形で彼の太股の上に座った。  
「重くないか?」  
「大丈夫だよ」  
 軽く返しながら、カインはアルミラの露出の高い衣服の上から両手で豊かな胸に触れた。布越しでもはっきりと判る柔らかさ、形の良さをじっくりと味わう。  
 外側から包み込むように揉み続けていると、困ったように眉をひそめるある診たと目が合った。  
 
「……いつもよりも、控え目だな」  
「そうかい?」  
 笑いながらも右手をするすると腹部へ降ろしていく。  
 アルミラが「いつも」と言う通り、カインがアルミラを抱くのはこれが初めてではない。決して恋人同士という訳ではなく、愛の言葉も交わしたこともないが、いつからか性的な関係を持つようになっていた。  
 性欲処理、と言う言葉がもっとも相応しいだろうか。  
 カインは左手でアルミラの胸を揉んだまま、右手で腹部の肌の感触を味わった。小さな臍に優しく触れると華奢な身体がぴくりと跳ねる。  
「キス、したい?」  
 そう言いながらも返事が返って来るより先にカインはアルミラの唇を塞いだ。  
「ん……ぅん、ふ……」  
 真紅の柔らかな唇を割り、舌を口内に侵入させ、歯をなぞる。甘いものが好きという割に、彼女の歯は全く乱れていない。  
 舌を更にもぐりこませると、アルミラも応え、己の舌を絡ませてきた。  
 互いの舌を貪り合う。流し込む音が静まった室内に響く。その間にも右手は陰部を覆う衣服をそっとどけた。  
 秘所はまだ閉じたままだが、指を割れ目に沿って何度かなぞるとそこは綻び、奥から蜜が溢れ始める。  
 
「む、んっ……ぅ」  
 口付けの間に抜ける声がもどかしい。  
 濡れた人差し指を秘所に潜り込ませる。引っかくように指を往復させると更に多くの蜜が流れ出し、カインの指を汚した。  
 構わず膣内を丹念に、しかし彼女が感じるポイントをわざと外しながらかき回していると、アルミラが不意に唇を離した。ふたりの間に銀色の糸がつたい、ぷつりと切れる。  
「控え目だとは言ったが」  
 唾液に濡れた唇は紅をひいた時よりも赤い。  
「単に意地悪をしているだけか」  
「バレた?」  
 不満気な表情を流し、カインは笑う。  
「最初にじっくりやっといた方が後で楽しめるよ?」  
「この……ぁっ」  
 反論しかけた唇を再び塞ぎながら、左手で胸を覆っていた布地を外し、直に中心の突起を摘まむ。ウサ耳の先まで身体を震わせて快感に耐えるようにカインにしがみつく姿は、普段見せる才女ではなく、雨に濡れて震える小動物のようだ。  
 熟れた果実のようにしっとりと絡む秘所から指を引き抜き、濡れたままの手でカインは自分の衣服の前を緩めた。窮屈な場所から先程「ニンジンさん」と比喩していたモノが半ば飛び出すように現れる。  
「ウサギさん、自分から食べたいと思わない?」  
 耳元に(これは本物だ)に意地悪げに囁くと、長い薄紫の髪が僅かに揺れた。  
 
「私が『食べなければ』このままでいるつもりだろう」  
「ご名答」  
 当然じゃないか、と続くカインの言葉にアルミラが諦め顔で溜息をつく。そして腰を浮かせると己の指で秘所を押し開き、位置を調節し、ゆっくりと腰をおろした。動きに無駄がないのは慣れているからか。  
「ぅ……あっ」  
 粘ついたような水音を立て、大した抵抗もなく互いの淫らな部分が交じり合う。  
「……美味しそうに食べてる……ね」  
 皮肉めいたカインの言葉も、今のアルミラには届いていないだろう。頬を赤く染め、カインの視線から逃れるように右眼を閉じている。  
 中は酷く熱く、先から根元まで優しくぴったりと包み、しかし時にきつく締め付けてくる。アルミラの脚が自分の腰に回ったのを見計らってカインは軽く腰を突き上げた。それだけなのに秘所の絡みは深くなり、淫らな水音が部屋に響く。  
「カインっ、ぁ……まだ……やめろ……っ」  
「どうして?痛くないだろ?」  
「それは……しかしっ、んぅ」  
 アルミラの願いなど気にせず、カインは何度も突き上げた。それでもいつものに比べるとまだ緩やかな方だ。この可愛い兎の淫らな姿をもっと見たい。そう簡単に終わらせてしまったらもったいないではないか。  
 
「おい」  
 カインは唐突に、淫らな場には似合わない、怒気を孕んだ低い声を耳にした。  
 動きを止めてアルミラの肩越しに前を見ると、兎を狙う一体の獅子……もとい、レオンの姿があった。  
「ちっ、レオンか」  
「舌打ちしてんじゃねぇよ!ってか俺を差し置いてまたヤりやがってっ!!」  
 悔しそうに歯軋りをして地団駄を踏むレオンに対し、情事を見られているカインもアルミラも冷静だった。彼の怒りも、仲間の痴態を見てしまった気まずさではなく、自分だけ仲間外れにされた苛立ちによるものだ。  
 そう、それは繰り返された行為。  
 いつから、どのような経緯でこの関係が始まったのか、カインは覚えていない。  
 ただ、気がつけば自然と三人で肌を重ねるようになっていた。  
 仲間である筈の関係から生まれた情事は、第三者から見れば奇怪なものに映るだろう。しかし、三人の内の誰も止めようとはしなかった−レオンだけ、性格に似合わぬ複雑な表情を見せることはあるが。  
 ……ついでに表記すると、ウサ耳は初めてだ。  
「いや、何。寂しがりやで食いしん坊のウサギさんに『ニンジンさん』食べさせてるところだよ」  
「……もう少し言葉を選べ」  
 
 息を整えていたアルミラが口を挟む。レオンもそれに同意するかのように肩を落とした。  
「ヴィティスもそうだけどよ。オヤジギャグ飛ばしてると友達無くすぞ」  
「うるさい。そんなこと言ってるとウサギさんに指一本触れられない穢れた身体にするよ」  
「それは嫌だ……お」  
 げんなりとしていたレオンの顔が、急に下品な笑みで彩られる。いそいそと前を緩めると硬くなっている自分のモノに唾液を塗りたくった。  
「何を……ひっ」  
 カインとは違いアルミラは完全に後ろを向くことは出来ない。だがその声はすぐにかき消された。  
「な、ウサギさん。折角だしこっちのお口でも俺の『ニンジンさん』を食べたくね?」  
 結合部が僅かに圧迫され、カインは小さくうめいた。レオンが後ろの窄まりに自分のモノを押し当てているのだ。  
 
「……君も同レベルだね。というか、そんなにお尻好きだっけ、レオンって」  
「るせぇ。お前がいつもケツ穴しかよこさないからだろうがっ」  
 そうだっけか、と苦笑いをこらえつつカインは両腕をアルミラの尻にまわした。柔らかな尻肉を掴み左右に広げる。同時に窄まりに押し当てられていたモノの先端が僅かにめり込む。  
「っ……ぅあ……」  
「ウサギさん、どうなんだよ?」  
 アルミラの耳元(やはり本物だ)に唇を寄せレオンが重ねて尋ねる。暫しの沈黙の後、彼女はウサ耳を震わせ小さな声で言葉を口にした。  
「嫌だと言っても、お前は……する、だろう」  
「判ってるじゃねぇか」  
 遠まわしなおねだりにレオンは唇の端を釣り上げる。カインも私と真逆だなと胸の中で呟きながらアルミラを掴む手に力を込めた。  
 一拍置いて、レオンのモノが狭い穴に突き刺さる。  
「ぐっ……つぅっ!!」  
 
 その途端アルミラの全身が大きく痙攣する。カインが掴んでいなければもっと大きく跳ねていただろう。  
「相変わらず……キツいなっ」  
 右手を彼女の胸部に回し、硬くなっている中心の突起を摘まみながら、レオンは抽迭を始めた。カインも合わせるように律動を再開する。彼女を快楽に引きずり込むように、深く、時に浅く叩き込んでいく。  
「ん、ふぁ、あっ……あ」  
 カインひとりで相手をしていた時よりも、彼女の声には明らかに艶がある。結合部からの水音も重なってそれはこの上無く淫らな音楽となる。  
「そんなに二本挿しがいいの?」  
 意地悪気に尋ねてもアルミラからの返事は無い。意図的に答えないようにしているのか、それとも快楽に溺れ喉からは嬌声しか洩れないからか。  
 
 二体の獣の間で一羽の兎が喘ぎ踊る。  
 前と後ろ、双方の穴を塞がれながら、更なる快楽を得ようと貪欲に腰を振る。その度に長く柔らかな髪が高く舞い、蒸気した肌からは汗  
 
の玉が飛び散る。  
 この上なく淫らで、しかし美しい兎。  
「ねぇ、ウサギさん」  
 打ち付けを緩いものに変えながらカインはアルミラに尋ねた。  
「私の『ニンジンさん』とレオンの『ニンジンさん』、どっちが美味しい?」  
「ふ……ぇ?」  
 しがみついていた腕を緩め、アルミラが顔を僅かにこちらに向ける。爪先まで快楽に溺れているだろうに、その右眼だけは冷静にカインを捉えていた。  
「お前また妙なこと……」  
 レオンの文句は彼女の首筋を舐めることに夢中な為かくぐもっている。  
「ほら、ウサギさん。どうなんだい?」  
「ぃ、ん……」  
 
 アルミラが眉をひそめたのは快楽によるものだろうか。  
 やがて、アルミラはぷいとカインから顔を逸らし、彼の背に顔を埋めた。  
「知らん」  
「ずるいなぁ」カインは苦笑を浮かべた。「ここで嘘でも『レオンの♪』って言ってあげれば好感度が上がるのに」  
「好感度って何だよ!」  
 犬歯を剥き出しにするレオンに構わず、カインはアルミラを乱暴に突いた。  
「はぁっ!!」  
 そのまま狭くなっている場所を激しく突き荒らす。薄い壁越しにレオンもピッチを上げているのが良く判る。  
 カイン達の動きに連動するかのように、ウサ耳も繰り返し大きく揺れた。  
「……もっ、あ、ぁ……カイン……ぁ、レオン……」  
 喘ぎながらアルミラが自分を貫いている男達の名を呟く。恐らくは無意識によるものだろうが、それだけでカインの背に鳥肌がたつ。彼女の肌から立つ甘い香りを嗅ぐとそれは更に増し、彼の脳を痺れさせた。  
 この兎に「食べさせている」のか、逆に自分達が兎に「食べられている」のか。  
 
「ひゃ、っ、あぁぁ……っ!!」  
 腕の中の兎が背を弓なりの仰け反らせ、一際高い嬌声を上げる。  
 それと同時に搾り取るかのように中が締まる。  
「アルミラ……っ!」  
「……くっ」  
 急激な締め付けに耐え切れず、レオンが本来出すべきでは無い場所に欲望を吐き出す。一歩遅れ、カインも快感に逆らわず奥にそれを叩きつけた。  
 目の前に白い光が走る。それは射精が終わると潮が引くように消えていった。  
「は、はぁ……ぁ……」  
 室内に荒い息遣いが響く。それが少しづつ収まりかけても尚、三人は重なったままの身体を離そうとしなかった。  
 
「すごかった……な……」  
 息を整えながらアルミラが掠れた声で呟いたのは、どの位時間が経ってからか。  
「そう?ウサ耳の力かな」  
「どんな力だよ……ま、可愛かったけど」  
 ふてくされるレオンの顔が耳先まで真っ赤なのは味わった快楽の為だけではない。  
「相変わらず素直じゃないねぇ」  
「るせぇっ」  
 カインがからかうとレオンの眉がつり上がった。間にアルミラがいる為か声は抑えられている。  
 からかわれてもまともに反論できない事実を知っているからか、気を取り直すようにレオンは首を振った。  
「っつーか、次だ次。俺パイズリしてもらいてぇ」  
 彼らのモノはだま萎えずアルミラの体内で存在を主張している。  
「じゃあ私はお尻がいいな。いいだろ?」  
 カインが尋ねるとアルミラはこくりと頷いた。  
「別に構わん」  
 その隻眼は新たな快楽への期待で複雑に揺らめいている。  
 一度では満足しない淫らな兎の額へ口付けを落としながら、カインはぼんやりと考えた。  
 今度こうして肌を重ねる時は「ネコ耳」を持っていこうかなぁ、と。  
 

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