ドロシーを追ってさ迷うフィールご一行。ぼちぼち変化の乏しいダンジョンにも飽き
て、気がつけばレオンは消え、ジュジュも何処かに消えてしまうしで、テンションの
維持が難しくなっていた。
(これで十面か。敵も変わりばえしないし、もう、飽きちゃったな・・・)
フィールは悩んでいた。懊悩といって良いだろう。攫われた妹を追って、果てしない
とも思える時間が過ぎていた。
(プレイヤーが敵の中に埋まって、カメラから外れてしまうとは…ボタン連打しか手
が無いじゃないか…コリジョン抜けもあるし、何だかな・・・)
悩める少年を傍らで見つめるアルミラ。その出で立ちはどっかのSM嬢のようである。
「何を悩んでいる」
「あ、いや…何でも無い」
フィールの会話中の声とプレイ中の声は、まるで別人のよう──アルミラもやや疲
れ気味であった。
「当ててやろうか。まるで野球ゲームだよな、これ…なんて考えているんだろう?」
「ち、違う。確かに剣で切っているというよりは、バットで殴っている感じだけど」
「じゃあ、ホイホイさんをフルプライスで出す度胸を褒めてるのか?」
「…個人的には、ランブルのベスト化までの期間が半年しかなかった事が許せない。
発売日に人目にさらされながら飛びついたのに…」
「…私はまほろまてぃっくも買ったよ」
沈黙が二人を包む。360版のランブルに関しては、言葉も無かった。