「個々の能力が優れていても、それでは何の役にも立たない。違うか?」 
「すまん…」 
「悪かったわよ」 
今回は久しぶりに現OZ3人揃っての任務だったのにチームワークの悪さが出て、とても手間取って 
しまったのだ。 
ヴィティスは互いに罵り合い、時にパスを無視しあう二人に厳重に注意をした。文句を言うのは 
しょうがないとしても、パスが続かないのでは、一人で任務を遂行しているのとなんら変わりは無い。 
これだからレオンなどからいまだに『俺達のほうが強えーんだぜ』と言われるのだ。二人もそれが 
分かっていてなお協力しようとしないのだから困る。馬が合わないといえばそれまでだが、仮にも 
OZに選ばれた者、少しは我慢するべきではないだろうか。 
そのうち胃に穴が開くかもしれない、と思っていると、ジュジュとガルムもヴィティスのあんまりな 
しかめっ面に申し訳なく思ったか、謝罪を重ねた。 
「「次は気をつける(わ)」」 
途端に睨み合いになる。 
「ちょっと、真似しないでよ!」 
「それは貴様だ。だいたい気をつけるつもりも無いくせに」 
「なんですってぇ!?」 
「もういい」 
手を振ると、身を翻した。 
「次はもう少し上手くやってくれ…」 
「あ、ああ」 
「はぁーい」 
「それからジュジュ、君はちょっと一緒に来たまえ」 
いきなり名指しで呼ばれ、ジュジュは嫌な顔になった。 
また説教の続きか。これで何度目だろう。その度に3人一緒の任務が減っていく。そのうちOZを 
外されるかも知れないと、本人も少し心配になった。そうなったらレオンの馬鹿に『そらみろ、お前じゃ 
役者不足なんだよ』などと笑われるに違い無いのだ。想像しただけで腹が立つ。 
「大体ガルムだってもっと怒られてもいいはずでしょ。なんでいつもあたしばっかり…」 
ヴィティスの後をぶつぶつ言いながら付いて行った。 
 
 
 
部屋に入ると、ヴィティスは振り向き声をかけてきた。 
「ふむ…とりあえず何か飲むか?」 
「別にいらないわ」 
ジュジュにとっては勝手知ったる部屋、勧められないうちから椅子に腰を下ろした。 
話があるならさっさとして帰してくれないかなぁ、などとジュジュは考えていた。 
いつも、彼の言いたいことは結局一緒なのだ。ガルムのパスをちゃんとまわしたまえ、とか捕りやすい 
パスを出したまえ、とか年上には敬意をはらいたまえ、とか親みたいなことまで言う。ガルムなどいくら 
年上でも敬意を持てるわけが無い、と彼女が言い返すのが落ちだった。 
「話があるならさっさとしてよ」 
横を向いて要求する彼女は以前ヴィティスにされた話をまったく聞いていないようである。 
「そうだな」 
そういって彼も椅子に座ると彼はジュジュを手招きした。 
「何?」 
立ち上がり彼のもとへと近づく。するとヴィティスは自分の膝の上を指差す。 
それを見て膝が痛むにはまだ若いんじゃないかしら、と思いながらジュジュは問いかけた。 
「膝が痛いの?薬もらってこようか?」 
「いや、ここに座りたまえ」 
「はぁ!? …きゃ!」 
言うやいなや彼女の意思も確認せずに腕を引っ張り、強引に自分の膝の上に腰掛けさせた。 
ヴィティスの顔がすぐそこにあった。こんなに近くに見るのは初めてだ。意思の強そうな眉毛だわ、 
などと考えていると、彼は用件に入った。 
「今日呼んだのは他でもない。君にお願いがあってのことだ」 
「え…?」 
 
 
 
「お、お願い?」 
「私の相手をして欲しい」 
二人の視線が交錯した瞬間、その体勢、彼の言葉に急に心臓が大きく鳴り、そのまますごい勢いで 
動きだした。 
 
まさか、そんなはずはない。 
ジュジュは何故か動揺しているのを彼に悟られてはいけないと焦った。 
相手とは、たとえばお酒の相手であるとか、そういうことに違いない。しかしそれならヴィティスは 
ガルムを呼ぶだろう、と自分が呼ばれる可能性をすぐに否定した。次々と他の可能性を思い 
浮かべるが、どれもありえないように思えた。大体こんな風に座らせて、いったい何をさせようと 
言うのだろう。 
緊張で背中が汗ばむ。 
 
どうしよう、まさか。 
断れば許してくれるのだろうか。 
走れば逃れられるのだろうか。 
ヴィティスから? 
 
本気の彼から逃げるなんて無理な話だ。それに、そう、『何のことか』まだ決まったわけではない。 
彼は自分のような子供(本人は否定している)を相手にはしないはずだし…よくガルムと言い合う 
自分に『愚かな…』とかつぶやいているし、まさかそんな、とにかくそんな対象にはならないはずだ。 
混乱しながら必死に言い聞かせても心臓は早鐘を打ったままだ。 
 
何故か笑いそうになるが口元はぎこちなく、身体もじりじりと扉の方を向き始めた。 
「………何の?」 
「我々のこの体勢から察しがつかないか?」 
物凄い勢いで立ち上がると、ジュジュは一目散に部屋の扉へと向かった。 
が、数歩も行かないうちに手をとられてしまう。 
 
 
 
 
「は、離してよっ!」 
「離したら逃げるだろう?」 
「当たり前じゃないの!」 
ジュジュは内心驚いていた。力で押すタイプでは決して無い彼の力の強さに。彼女がどんなに 
力を振り絞ってもびくともしない。振り切れない。さらに彼はもう片方の腕もとり、こちらを向かせて 
ヴィティスは本題に入った。 
「君を抱かせてほしい」 
「な…」 
はっきりと言いにくいことを言う彼につい赤面してしまう。 
本人の顔はしごく真面目なものだったが、その理由が――愛しているから――でないことははっきり 
していた。しかし嘘でもそういう言葉を抜きに、こんな要求をしてくるものだろうか。ありえない、と思うが 
それをあえてするのが彼だった。 
「いやよ!」 
ヴィティスを睨みつけるが、腰が引けてしまっている。 
「聞くまでもないと思わない?嫌に決まってるじゃない!どうして好きでもない男と寝なきゃなんない 
のよ!」 
およそ常識とはかけ離れた彼の『お願い』に一刻も早くこの場を去りたかった。 
「まさか嫌がる女に無理強いしたりしないわよね?それに『君は子供だ』っていつもあんた、言って 
たじゃない!自分の発言に責任を持ちなさいよ、変態!離しなさいってば!」 
「それは精神年齢のことを言っているのだ。それに」 
ヴィティスは彼女の腕を引き寄せてその身体ごと捕らえる。ジュジュはもちろん自由になろうと 
もがいたが、彼の腕はジュジュを抱きしめて離さなかった。激しく叩いても、ビクともしない。 
「残念ながら君に拒否する権利は無い」 
彼女は信じられない、といった様に頭を振り抗議をする。 
「それじゃ、最初から命令だって言えばいいじゃない!そういう事でしょ?なにがお願いよ!」 
「君が最初の要請で聞いてくれれば円満に収まったはずだ。そうだろう?何でもかんでも『命令』で 
言うことを聞かせるのは良くないと思ったし――これは極めて個人的な事情だ」 
「そんな事情知らないわよっ!…離して!」 
彼はジュジュの叫びを無視し、彼女を抱え上げた。 
「やっ、やだ!やだ!…嫌だってば!!」 
 
 
 
じたばたする彼女を横抱きにし、軽々と次の部屋へ運びこむ。 
その間もジュジュは悪口雑言のかぎりをつくして彼を罵っていた。 
ヴィティスは彼女を寝台へ降ろすと抵抗しないように両手首を押し付けるようにして話を続けた。 
「君とガルムのおかげで私は大変疲れているんだ。これ以上あれもこれも我慢、と精神的な負担を 
増やしたくない…これでも忍耐力には自信があるほうなのだがね」 
「次からは気をつけるって言ったでしょ。だから…今回は許してよ…」 
さっきまでの強気が嘘のように、泣き笑いの表情で訴えてくる。ここまできてまだ必死の彼女が 
何故か愛しく感じられた。 
「君達の言葉には何回も裏切られてる。それでも実力は他の御使い達から抜きん出ているから 
OZから外さないよう、神々にも掛け合っているのだが。今回のことはその責任をとると思えばいい」 
もうレオンのことなど頭から吹っ飛んでいた。今はただこの状況、次の展開が恐ろしく、彼から 
逃れられるならどうなってもいい、とさえ思っていた。 
「嫌よ!だったらOZなんて外されてもかまわいないわ!」 
彼女の叫びなどまるで耳に入っていないようであった。 
「任務の後は少なからずこうなる。――性欲を――もてあます。戦闘の後はどうしても…男のサガ 
だろう。君達女性は、はこうはならないらしいが」 
「ならないわ…だから離して…離してよ……お願いだから…」 
嘆願するジュジュの固く閉じた目から涙がこぼれた。 
しかしそんな彼女の姿も、ヴィティスの心情に何の変化ももたらさなかった様だ。 
彼はただ一言で彼女の希望を砕いた。 
「諦めてもらおう」 
 
 
 
「………」 
ついに抵抗は無駄だと悟ったのだろう。掴んでいた彼女の手首から抵抗する力が失われていく。 
「君とガルムのうち女が君だった。それだけだ」 
その台詞にジュジュはぱっと目を開けたものの、もはや何を言うのも諦めて再び目を閉じた。 
言外にただの性欲処理だ、と言われたのがショックだった。いや、理由など何でも一緒だ。彼が 
自分の意思を無視する事に変わりは無いのだから。 
「泣くのは止したまえ」 
冷たく響くこの言葉も、ジュジュを思いやってではなくただ泣かれるのがうっとおしかったからだろう。 
ヴィティスは彼女の頬にこぼれる涙を唇ですくうように舐めた。反射的に閉じるジュジュの足を割って 
身体を重ねると、額に、瞼にと口づけを繰り返す。小さな唇にも。何度もやさしく口づけをした後、 
ゆっくりと彼女の唇を押し開いた。白く小さい歯が震えているのを感じた。 
全てが初めてのことで恐ろしいのだろう。 
口腔中に舌を泳がせた後、彼女の舌に絡ませる。その瞬間驚いたように身を引いたが、ヴィティスは 
彼女を逃さないよう首の後ろから肩に左腕を回し、味わうように熱心に求めた。 
ジュジュはどうしてよいか分からず、ヴィティスのなすがままであった。 
ただ受身でいることしか出来ない。 
ずっと髪を撫でていたヴィティスの右手が彼女の胸に触れる。服の上からその鼓動をなだめるように 
円を描きながら中心へと向かっていくが、その動きにつれいよいよ彼女の胸は激しく上下した。 
ジュジュの手がつい、と彼の胸を押すのを感じた。無意識にその愛撫から逃れようとしているの 
だろう。恥ずかしさからか悔しさからか顔を赤く染め、初めての感触からか眉をひそめ切なげな 
表情をしていた。 
 
 
彼女はまだ蕾だった。精神的にも肉体的にも。 
だがヴィティスはいまだ固く閉じている彼女の『女性』を一晩かけて花開かせるつもりだった。 
 
 
 
 
膝丈の上着を脱ぎジュジュも同じ格好にさせると、彼女の身体の線がはっきりと現れた。 
十分に発達しているとは言えないが、男をその気にさせるには十分な丸みを持っている。 
次にジュジュの手をとり袖の部分を外そうとしたが、その手を止め呟いた。 
「全て脱がせる必要はない、か…?」 
甲に口づけだけしてその手を彼女に返す。 
彼自身は、それ以上脱ぐつもりが無いようだ。 
手袋だけ外すと床に落とし、再び彼女の身体へと集中する。 
隠すものの無くなった鎖骨や肉付きの薄い背中、太腿へと指を滑らせるとその後を追うように唇を 
落とす。 
這わせた舌から彼女の体が脈打つのが伝わってきた。 
「ぁ……、……んっ…」 
大きな手と舌が体を行き来する感触に、彼女はかすかな吐息を漏らした。 
 
彼は焦らない。 
もとより今回は持久戦だと言うことを覚悟していた。それは彼女の為、ひいては自分の為になると 
知っていたからだ。 
ひとつひとつの行為にじっくりと時間をかけることで彼の手の感触を覚えさせるつもりかも知れない。 
やや膝立ちになると彼女の腿を自分の足へと乗せ、太腿の裏からその長い靴に指をかけてジュジュ 
にたずねた。 
「これはどうする?脱がせてやろうか?」 
「っ…や、やだ…!」 
面白がってさえいるような言い方に、慌ててヴィティスの手を抑えた。 
服の一部でも身に着けていれば守られるような気がするのだろうか。 
「そうか。では、やめておこう」 
いつもの強気との差にひっそりと笑みをもらした。 
開いている背中に指を伸ばし、脇から服を下へ下へとずらしていく。 
それにつれて彼女の身体が固くなっていった。自由になった手を交差させるように胸を隠してしまう。 
素肌を彼の視線にさらされて、ジュジュの瞳には脅えの色が見えた。 
彼女は思いもしないのだろう。そんな表情にさえ男は興奮を覚えると言うのに。これからもそうして 
周りの男の情欲をかきたて、拒んでいくのだろうか。 
教えてやろうか、それとも黙っていて楽しもうか。 
 
 
 
ヴィティスはいったん腰のあたりで服を脱がすのを止めると、片手で裸の腰を抱きしめ、貪るように 
口づけた。 
先程とは比べものにならない本気の口づけに、受けとめるだけで精一杯だったのだろう。彼が素早く 
もう一方の手で彼女の胸を暴くのを止められず、これまでの愛撫でつんと上を向いた所までが丸見え 
になった。 
彼はそこに手を添え頂へ向かうように何度も揉みあげる。絡められた舌を離すと、どちらのものとも 
分からない唾液が糸を引いた。雫となってジュジュの喉に落ちたそれを舌ですくい取ると、そのまま 
首筋をなぞるように下がっていき、その固くなった部分を舌にのせた。 
「あぁ……ん…やだぁっ」 
片方を手でもみしだかれ、もう片方を唇で吸い、あるいは優しく歯を立てる感触に、彼女は時折体を 
震わせる。 
「綺麗だな」 
胸の先端に指先で触れると彼女の肩が揺れ、背をまるめるようにしならせた。 
「ん…っ」 
「君の、髪と同じ色だ」 
「…恥ずかし…こと…わないでよ……」 
横を向いて目を逸らす、その仕草に彼女の油断を見た彼は新たな行動を起こした。 
「恥ずかしがろうが、そう思ったのは本当だ」 
すまして答えると首元に顔をよせ、胸に置いていた右手を今度は背中へ、背筋を中指でなぞりながら 
小さな尻へとのばした。太腿まで行過ぎてまた戻り、そのままゆっくり押し上げるようになでる。 
腿との境目に段差が無く、まだ余分な脂肪などついていないのが分かった。 
少年の様なと言ったら彼女は怒るだろうが、まだまだ発育途上なのは彼も承知の上である。重要 
なのは体の豊満さより彼の行為に対する反応だった。 
「ぁっ…」 
まだ衣服に覆われている秘所へ指を忍ばせるとぴくんと足が動いた。指の力に波をつけてさらに 
刺激する。すると確かに彼女が彼に反応して――濡れて――いるのを指先に感じた。 
一度自身の体を彼女の足の外に出し、腰まで下げてあった服をするすると足元から脱がせてしまう。 
その細い脚は膝を閉じて阻もうとしたが、もちろん障害にはならない。 
 
 
 
太腿に置かれた手がそのまま脚の関節に沿って動き、彼女の大事な部分へ近づいた。明確な 
意思をもって腿の間へと進むと脚が緊張するのが分かったので、一度手を戻してほぐす様にやさしく 
撫でてやる。力が抜けたのを確認し、再度秘所へと指を伸ばした。 
うっすらとしか生え揃っていないそこは布越しに感じたよりも湿っていて、彼の指の動きを滑らかにした。 
「ま、まって、…まだ……!」 
「怖いのか?」 
小さく頷く。 
素直な反応に、ついばむ様に何度も口づけてやると受ける唇もさっきよりやわらかく応えた。 
彼女の意識はヴィティスの右手にむいていてるので、反射的にそうなってしまったのだろう。 
少しずつ自分に慣れていく体に彼は歓びを覚えた。 
右手は依然としてまわりをなでてやりながら少しずつ指を沈ませていく。 
試しに入り口で掻くような動きをさせるとたちまち彼女の体が跳ねた。 
「んん……っ!!」 
彼は服を脱がせてからずっと彼女の表情を窺っていたが、今の反応は明らかに痛みからだろう。 
たった指一本。それをほんの少し動かしただけだというのに。 
彼女の後ろににまわした左腕を引き寄せ、ますますその体を固定する。 
ヴィティスは浮かせていた体を彼女に密着させ気を紛らわせるように唇で優しく耳朶に触れた。 
「痛いと言えば優しくしよう。声を我慢することは無い」 
「……」 
ジュジュは答えない。 
ただ痛みに眉をひそめ首を振った。 
意地を張っているのか、それとも声を上げる余裕もないのだろうか。圧し掛かるようにしている彼の 
服を掴んでいるのは、痛みをやり過ごそうとしているからだ。 
彼の胸元をしわになるほど強く、握り締める。 
ヴィティスはさらにゆっくりと指を進め、彼女の内壁を奥まで裂いていった。 
「!…いっ……」 
肩にまわした腕から彼女が浅く息をついでいるのがわかった。額が汗で濡れている。 
「………った…」 
指をそっと動かすと彼女の腰が少し揺れたが、先程よりは痛まないようだ。様子を見ながら徐々に 
範囲を広げてみる。さらに蜜が滲んできた頃、十分慣れただろうと判断しもう一本指を添えた。 
中を広げるように内壁を擦ると、きゅっとその指に圧力を感じる。 
 
 
 
それを知ってか知らずかジュジュは腰を反らせ、かすかに声をもらした。 
「ん……は、っ…ぁ…」 
「痛いか?」 
指の動きを止めずにたずねる。 
すでに痛みでないだろうことは彼にも分かっていた。彼女の口から聞きたいのだ。 
「わ…か、…ない。…あっ……ん!」 
まだくすぐったい、といったところだろうか。もちろん最終的には快楽を覚えさせるつもりだが、そう 
簡単に慣れてもらってもつまらない、と彼は勝手なことを考えていた。 
「まだ少し痛むだろうが…」 
彼女の下腹部から手を離し、服の中で大きくなっていた自身を開放した。 
ヴィティスの台詞に、つい彼の下半身に目を向けると生々しいその欲望に彼女の顔は強張り、 
青ざめる。 
目を逸らしながら、反射的に恐怖が口をついて出てしまう。 
「や…そ、そんなの入んないわよ…指だってあんな、…あんなに痛いのに…!!」 
そんな事を言っても止めるわけが無い。 
彼女は後ろにまわされた腕を押しのけるように後ずさりしたが、彼の腕は壁のように行く手を阻んだ。 
「無理……待ってよ…やだぁっ!!」 
ヴィティスは彼女にかまわずその体から指を抜くとその手で彼女の太腿を抱え、屹立した自身を挿入 
する。しかし一度に奥まで入れることはない。あくまで彼女の様子を見ながら進んでいくつもりなの 
だろう。 
「!!」 
ジュジュはあまりの痛みに唇を噛み、体を強張らせる。こらえきれない呻き声が漏れた。きつく瞑った 
目じりに涙が盛り上がり一筋の流れとなる。 
「んっ……んんっ…いっ…たぁ」 
「脚の力を抜いて…」 
彼女の手を自分の首にまわしてやると、たちまち引き寄せるように抱きついてきた。 
意地を張っていてもすがりつく場所があればそれが自分を犯している男でも頼りにしてしまうのか。 
本人はそんな事を考えている余裕は無いようで、少しでも痛みを受け流そうとしているのか腰を微妙に 
動かしている。 
かわいい胸を押し付けるようにしてくるので、これは好きにしてくださいと言うことだろか、と彼は 
勝手な解釈をした。 
 
 
 
じわりじわりと彼が入っていく。 
「ぁ……っあぁ…」 
実際はそんなに進んでないのだろうが、その少しの動きがまさに『身を裂く』痛さなのだから堪らない。 
「…はっ、…は…ぁ、……っあああっ!!」 
それを察し、一旦動きを止めると、下から声が上がった。 
「や、…もぉ…全部、奥まで…れちゃって…よ」 
激痛の下から懇願する。 
徐々に慣れていくとはいえ、いつまでも痛みを感じるのが我慢ならないらしい。 
ジュジュの思いもよらない台詞に、彼はほんの少しの後ろめたさと自身がいよいよ固くなるのを感じた。 
「随分とはしたないおねだりをするものだ」 
彼らしくもない、挑発的な言葉が出てしまう。 
「うるっ…さ…わね」 
「ではお望みの通りに」 
彼は笑みをひらめかせると、なおきつい彼女の体へ今度は容赦なく腰を打ち付けた。 
「きゃ…っ……あ、あああっ!…あ…っ…」 
「く…」 
初めて男を迎え入れた体は彼の一部をいやと言うほど締め付けた。 
彼女への欲望に、ここまで耐えてきた波が再び襲ってくる。 
「んん…っ……ったぁ…」 
ヴィティスは先ほどまでとはうってかわって彼女を窺うことをしなかった。ただ無口に腰の動きを 
速める。激しく動くつもりは無かったが、彼女の言葉が、表情が彼を必要以上に昂ぶらせた。 
ヴィティスに掴まりその動きに流されながらジュジュは声を絞り出す。 
「ま、って、ヴィティス…!いっ……た…っ…お…おねが……んっ!」 
彼は黙れと言わんばかりにジュジュの口を塞ぐと、自分の舌を彼女のそれに執拗に絡めた。舌の 
裏を舐め、歯をなぞり、互いの唾液で溶けてしまいそうになる。 
 
 
 
初めての交渉は彼女には相当辛いようで額からさらに汗が浮いては流れ落ちた。 
ヴィティスの目はその様子を映していたが、罪悪感もより大きな悦びにのまれかき消されてしまう。 
一度彼女の体内を感じたらこの昂ぶりをぶつける以外、動きを止める方法はなかった。 
「あ…ぁぁっ……は、っは…い……たぁ……ぅごかな…で…」 
まだ少しの快感も無いジュジュを置き去りにして彼は絶頂へと向かい始めた。 
彼を押し包む力はいよいよ強くなる。彼女の苦痛にゆがむ顔さえ彼の高まりを促しているようだった。 
そして。 
「あっ…あぁ……った…ぁい…」 
「ぐっ……!」 
「…?……きゃ…!?…んっ…ああっ!」 
ジュジュはその瞬間、ぎゅっと抱きしめられたのを感じた。自分の中にいる彼がいっそう大きくなり、 
その欲望を吐き出したのを。中が暖かいもので満たされる感覚に驚いて声を上げてしまう。 
緊張と疲れに肩で息をしている。 
ハァハァと息をつく音だけがその場を満たした。 
ヴィティスは長い指で彼女の乱れた前髪をよけてやる。 
「ジュジュ、大丈夫か?」 
「見ればわか…で、しょ…」 
こんなことされて大丈夫なわけないと言いたいらしい。 
「辛かっただろう…すまない」 
そういって繋がったままの彼女を抱きよせ汗で濡れた額に口づけた。 
「べっ、別に…平気よ!それに、これだけ好き勝手して、おいて、謝る…んて…卑怯だわ」 
「そうだな……」 
体ごと横を向いてヴィティスから逃れようとする。改めて彼の胸を押しやると、今度は素直に彼女 
から身を引いた。 
彼がいた部分に違和感と鈍い痛みが残っていた。 
 
 
 
よろよろと寝台に手をつき体を起こした。もちろん彼には背を向けて。下半身を隠すように膝を折り、 
彼によって広げられていた足をやっとのことで閉じる。 
喪失のしるしが二人の体液に滲んで淡く跡を残していた。 
それを見た彼女はまたも目が潤んでくるのを感じ、顔を手でごしごしとこすった。 
「も、いいでしょ…?あたし、帰る…」 
「そんな状態でか?」 
白いなめらかな背中はうっすらと色づいていた。 
「うるっさい…そんなもこんなもないわよ…こんなところにいるより、まし…」 
彼を見ずに言い返し、脱がされた服に手を伸ばす。 
「まったく…」 
ヴィティスはつぶやくと彼女を引き倒した。彼女の顔が真下に来る。 
「ちょ、ちょっと、もう用は済んだんでしょ!?ふざけないでよ、あたし、もう帰るんだから」 
彼を見上げて文句を言うが精彩が無い。この展開に焦っている様だ。 
「君はどうも反抗的だな」 
「なによ今さら…腹が立つっての?」 
「…腹以外のところが」 
「え?」 
訝しむ彼女の手を自分の下腹部に持っていく。 
「きゃあっ!」 
再び大きくなっている彼の剛直に驚き、ジュジュは悲鳴を上げて彼の手を振りほどいた。一瞬下げた 
視線もあっという間に逸らし、目を閉じて怒鳴る。 
今さらとも思うが、恥らっているようだ。 
「へ、変なもの触らせないでよね!!それに発言が親父!」 
その発言に少し傷ついたようだ。 
「……親父……。失敬な…」 
 
 
 
起き上がろうとする彼女を押さえつけ、相変わらず無表情に見つめる。 
「もとよりあれでお終いにするつもりはなかった。ここに」 
彼女のへそから下へ人差し指でそっとなぞる。柔らかな茂みに触れた。 
「んっ…あ…」 
思わず目を閉じてしまう。そんな場合ではないのに。 
「違和感を感じなくなるまで相手をしてもらおう」 
「!そんな…そんなの、100回したってなくならないわよっ!」 
彼の無茶な言葉につい大げさに言い返してしまう。 
「では101回でも君の気の済むまでしてみようか。多分君の予想とは違う答えが出るだろう」 
「やだ…そんな答え出さなくていいっ!」 
寝台に座ったままの彼の手が、軽々と彼女を抱き上げた。そして自分の腿の上に横すわりをさせると 
遠い方の肩を引き寄せ自分のほうを向かせる。目の前に彼女の喉が来たのでそこを優しく食んだ。 
「んっ…うそ…ぉ」 
身じろぎをして、その甘やかな感覚から逃れようとするが、やはり叶わない。 
すでに疲労困憊していて、ろくに力が入らないようだ。 
胸や背中に与えられる快感もそれに手を貸し彼女の抵抗力を削ぐ。 
喉から顎、耳たぶへと歯を立てず唇と舌で刺激され、くらくらしながらも真横にいる彼に問いかけた。 
「ンンッ……ほ、ホント、に……するの?」 
ジュジュの赤い唇からもれる途切れ途切れの言葉は、彼を誘惑しているようにしか聞こえなかった。 
「私はあまり嘘は言わない。知っているだろう?…さすがに一晩で100回は出来ないが。」 
長靴の上から脚を撫でる。それは極薄く、直接肌に触れるのと変わらない感触がした。指を内側に 
進めると彼女の言葉とは裏腹にそこは濡れていて。 
もう一度その細い体を持ち上げ、自分と向かい合うように、自分に跨るように座らせる。ぬるりとした 
そこを先刻よりも念入りに指で刺激してやると、ジュジュは腰をくねらせ膝立ちになった。 
脚に力が入らないのか、彼の胸に頭をもたせ体を預けるようにする。 
 
彼女はもう逃げようとはしなかった。 
 
 
 
見覚えのある部屋に一瞬頭が混乱して、辺りを見回すとヴィティスの部屋だった。 
いつの間にか眠ってしまったらしい。体の下に腕があり、彼が隣にいた。枕になってくれたのだろうか。 
今の状況を、そこまでの経緯を必死に思い出す。 
自分は…そう。あの後というか、また彼と、して…う、う、上に…それから…それから…。 
思い出して悔しさと恥ずかしさで顔が熱くなる。 
大体この格好もだ。半端に服を身に着けていてなんだかいやらしい。全部脱ぐのは嫌だったから 
しょうが無いのだが、もしかして彼は分かっていて自分に判断を委ねたのだろうか。 
 
なんで、どうしてあんなに簡単に彼を受け入れてしまったんだろう。 
まだ逃げようがあったんじゃないか。 
明日からどんな顔をして彼に会えばいいんだろう。 
 
そんなことが頭の中でぐるぐるとしたが、今はここを出るのが先と彼を起こさないようそっと寝台から 
降り、下に落ちていた服を拾った。 
服を身に着けるとき体の節々が痛んだ。下腹部――はしょうがないとしても、肩や腰も痛い。足も痛いし 
…って腰も痛いのはしょうがないのだろうか。多分体全体に力が入りすぎだったのだろう。 
静かに眠っている彼の鼻を思い切り抓ってやりたくなったが、起きてまた寝台に引っ張りこまれては 
堪らない。 
足音を立てないように扉へと向い、一瞬振り返って彼を見やる。 
 
 『辛かっただろう…すまない』 
 
体の芯に疼く痛みより辛いのは、愛されてもいないのに抱かれたこと。 
きっと心の奥底に淀んで消えない傷になるだろう。 
ジュジュは扉に手を掛けうつむいた。 
「子供みたいな夢を見てただけだわ」 
強がる彼女の足元に雫が落ちる。 
 
眠る彼を残してジュジュはそっと部屋を出て行った。 
 
 
 
深呼吸しても横隔膜が落ち着かない。 
「ぅぅ………っ、……ぐすっ」 
ジュジュが子供のようにべそをかきながら歩いていると、見慣れた姿が目に入った。 
ガルムだ。 
向こうも嫌なやつに会った、いう表情をして舌打ちをする。 
ヴィティスとのことを彼が知るはずも無いのに何故かすれ違うのすら恥ずかしくなり、小走りに 
駆けて傍らを通り過ぎようとした。 
「貴様、待て!」 
「! な、ちょっと、離しなさいよ!」 
すれ違う瞬間、ガルムがいきなり彼女の手首を掴んだ。 
彼女の目が潤んでいるだけではない。泣きはらした顔をしていて肌の露出した部分のそこかしこに 
ヴィティスがつけたしるしがあった。彼女はとっさにそれを隠したが、彼を不審がらせるには十分な 
痕跡であった。 
「貴様…何があった?」 
「な、なんにも、ないわよ…」 
「嘘をつくなぁっ!」 
「きゃ…」 
言ったほうが驚いた。 
まさにありえないと思った。彼に怒鳴られたくらいで脅える娘ではない。何か男を怖がる様なことがあった 
のだといよいよ確信した。 
「言え!」 
「あんたには関係ないわ」 
ガルムはこの態度に大声で吠えた。 
「関係ないものか!俺達は仮にも仲間だろう。大体女をそんなに怖がらせるとは…まさか無理やり 
不埒なまねをされたのではないだろうな!?貴様は気に食わん、が!俺は相手の意思を無視する 
ような行為は断じて許さんぞ。誰がそのような真似を…誰だ、言ってみろ!!」 
「な…」 
そんな風に思っていてくれたとは思わず、不覚にも少し感動してしまった。でも、まさか言うわけにも 
いかないし、話してヴィティスの行為に納得されたらそれこそどうしようもない。戦闘後の男の生理だと 
言われたら、確かにジュジュには理解出来ないのだから。 
「何でも、無いのよ…本当に。びっくりしただけで、…でも、ありがと」 
「む…!」 
急に礼を言われて、いらぬ口を挟んだか、と彼は焦った。 
相手が誰か知らないが、合意の上で何かあったのならば自分が口を出す筋合いは無い。 
彼女はガルムから手を取り戻すと早足で遠ざかっていった。 
 
その背中は誰をも拒否するような雰囲気だったのでガルムも再び声をかけることなくその姿を 
見送ったのだった。 
 
 
 〜おしまい〜 
 
 
 

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