八月初頭、学校、夏休み。  
台風到来。  
最接近、今夜未明。  
 
指令。  
日直の教師、そのまま宿直を敢行せよ。  
以上。  
 
 
 
 
 
「と、まあそんなことがあったわけなんだが」  
宿直室で体育教師早乙女はため息をつく。  
「どこをどうしたらこんなことになるんだ?」  
「さあ?」  
答えたのは橘玲。  
「さあって…おいおい」  
「まあ先生落ち着いて。一つずつ疑問点を解決しましょう」  
そう言ってコーヒーを一口。  
「まず、なぜ早乙女先生がここに?宿直はベッキーでしたよね?」  
「校長から電話がかかってきたんだ。宮本先生一人だと心配だからってな」  
「心配ならはじめから宿直させなきゃいいのに」  
「特例とはいえ教師である以上宮本先生一人を特別扱いするわけにはいかないんだとさ」  
「融通の聞かない事」  
「まあな。けど、教師であってもまだ10歳。夜食を買いにコンビニに行っただけで補導されかねん」  
「そーいえばこないだ補導されたって言ってたな、ベッキー」  
「まあそーいう訳で俺の出番と相成ったわけだ」  
やれやれと肩を落とす。  
 
「今日は野球でも見ながら一杯やろうと思ってたんだけどな」  
「あら親父くさい」  
「ほっとけ!…今度は俺の疑問に答えてもらうぞ」  
「ええ、どうぞ」  
「なんで橘がここにいる?ついでに…」  
ちらりと視線をやる。  
一つしかない布団に川の字+1で眠っている四人の姿。  
「あっちで宮本先生と一緒に眠りこけてる片桐、上原、一条も」  
「だってベッキーだけじゃ危ないじゃないですか」  
「いや、だから俺がいるだろ?」  
「だから危ないんじゃないですか」  
「ふ〜ん……」  
「……」  
「……ってちょっとまて!そりゃどーいう意味だ!?」  
「反応遅いですね」  
「それは置いといて、どーいう意味だ」  
「そのままの意味ですよ」  
さらりと言われ、しばし唖然とする。  
「あ〜…するとなにか?俺は危険人物ってことか?」  
「そうですね」  
「…もっと具体的に言うとなんだ、その…宮本先生によからぬ事をするような男だと思われていると?」  
「そうですね」  
やはりさらりと言われ……心の底から落ち込む。  
「俺…そんな風に見られてたのか………」  
「まあ体育教師ですから。しょうがないですよ」  
「……体育教師を誤解してるぞ、おまえら」  
「まあ半分は冗談ですよ。ベッキー怖がりだからそばにいてあげたいって姫子の提案に乗っただけです」  
「半分冗談……じゃあ半分は冗談じゃないんだな」  
「ええ」  
 
「そんなことするわけないじゃないか…」  
「あら、そうなんですか?」  
「当然だ。俺は教師だぞ」  
「でも男ですから」  
「そりゃそうだが…でも子供に手は出さないぞ」  
そう言って苦笑する。  
「まあ子供のほうがいいって類の人もいますし」  
「俺は違うって。まったく」  
「ベッキーはストライクゾーンではないと?」  
「そもそも同僚に手を出すつもりはないし」  
「…じゃあ私達――生徒には手を出すんですか?」  
「あのなあ……さっきも言っただろ?子供には手は出さないって」  
その言葉に玲はいささかむっとする。  
仮にも高校生、子供扱いはされたくない。  
「じゃ、私達に興味はないと?」  
「おう」  
「性的魅力を感じないと?」  
「まあな」  
「興奮しないと?」  
「とーぜんだ」  
「じゃあ…こんな事しても大丈夫なんですね?」  
「は?―――っむ」  
玲がにじり寄ったかと思うと早乙女の唇に自分のそれを合わせ、離れる。  
驚きに目を見開く早乙女と対照的に、玲は艶やかな表情で自分の唇をぺろりとなめる。  
「おまっ!橘!いきなり何を――!!?」  
「大声出すとベッキー達起きちゃいますよ」  
その言葉に慌てて口を押さえ、声を潜める。  
「いきなり何するんだおまえは」  
「別になにも」  
 
「なにもって…今、おまえ…その…」  
「キスしましたね」  
キスと言う単語に早乙女が赤くなる。  
「先生、顔が赤いですよ?」  
「う、うるさい!いきなりあんなことされれば誰だって…」  
「あら。でも先ほど私達に興味はないと。性的魅力を感じないと。興奮しないと言いましたよ」  
なるほど、と早乙女は納得した。  
先ほどの子供に手を出さない=生徒には手を出さない発言が癪に障ったらしい。  
(そーいう所がまだ子供だって事なんだけどな)  
そう思い苦笑する。  
それをどう捉えたか、玲がむっとする。  
「何がおかしいんですか?」  
「あ、悪い。何でもない。気にするな」  
「気にするなというのは無理です。なんですか?今の苦笑は?」  
「いや、ほんとに何でもない」  
「……そーいえば」  
納得の行かない玲はもう一度早乙女を攻める。  
「キスしただけなのに早乙女先生かなり動揺しましたよね」  
「そうだったか?」  
「ええ。……ひょっとして、初めてだったり?」  
「そんなわけないだろ」  
「あら、そのわりに真っ赤になってたようですけど?」  
「そ、それは…」  
口篭もっていると、再び玲が口付けてくる。  
驚き目を見開く早乙女と対照的に玲は愉快そうな…挑発的な目。  
その様子に自尊心を揺さぶられ、悪戯心も沸き起こる。  
「ふっ…!?」  
離れようとした玲の頭に手を回し、ディープキスへと移行。  
激しく触れ合った唇から舌をさし入れる。  
 
「むっ!……んん!!」  
玲が手で体を押し返してくるが、女子高生と現役体育教師。  
力でどちらに分があるかなど言うまでもない。  
舌と舌を絡ませ、口内をじわりじわりと犯す。  
流石にこの頃になってくると玲の顔にも赤みがさし、微妙な表情になってくる。  
焦っているような、照れているような……恐れている様な。  
それでも彼女の体を離さないでいると、  
「っ!?」  
舌を噛まれる。  
反射的に玲から離れそうになるが、こらえる。  
唇同士は会わせたまま。  
玲の唇を舌でなぞり、甘く食み、再びその中へと踏みこむ。  
だが先ほどと違い、歯がしっかり閉じられており、それ以上の侵入を拒む。  
ならばと、歯茎を丹念になめ上げる。  
それだけでも玲は顔をさらに赤くし、息を荒げる。  
どうやらキスには弱いらしい。  
唇と歯茎をじっくり責め上げると固く閉ざされていた歯が僅かに緩む。  
ここぞとばかりに舌を奥深く指し入れ、玲の物と絡ませる。  
ピチャピチャと卑猥な音が狭い宿直室の中に響く。  
「む……ん…は…んん!」  
玲の息はどんどん荒くなり、鼻での呼吸では限界だろうというところで彼女の体を解放する。  
「はあ……はあ……」  
「……」  
荒く息をつく玲を無言で見る。  
ようやく息の整った玲は、赤い顔を早乙女に向ける。  
「な、何を……」  
「ただのディープキスだが?」  
先ほどと立場が逆転している。  
きっと玲は早乙女を睨む。  
 
その視線に、潤んだ瞳に罪悪感を感じる。  
「う…いやその…すまん。大人げなかったな」  
「……」  
「からかわれてたからちょっと反撃するつもりだったんだが…やりすぎた」  
居心地悪く、視線をさまよわせる。  
しばらく両者なにもしゃべらない。  
やがてポツリと呟いたのは玲。  
「あやまら、ないでください…」  
赤い顔のまま、瞳を潤ませたままそう言った。  
「悪いのは、誘った形になった私なんですから」  
「その誘いに乗ったのは俺だ。悪――」  
「先生!」  
尚も謝ろうとする彼の言葉を玲はやや強い口調で静止し、じっと見つめる。  
潤んだ瞳の奥に潜む感情。  
(やばっ!スイッチ入ったか?)  
早乙女は焦る。  
ちょっと脅かすつもりだったのが予想外の方向へと流れている。  
なにより予想外なのは、  
(……俺もスイッチ入ってるし……)  
そう。  
自身の感情。  
生徒に手を出すつもりはないし、今まで生徒をそう言う目で見る事だけはないよう心がけていたのだが…  
「早乙女先生。その、私…」  
「橘」  
「は、い」  
「ここにはみんな寝てる」  
「…そうですね」  
これから先の事を想像していたであろう玲。  
早乙女の言葉に瞳に影が差す。  
 
それを見て、早乙女は腹をくくる。  
「だから」  
「きゃっ!?」  
「場所を移そう」  
玲を抱き上げ宿直室を出る。  
「せ、先生!おろしてください!」  
「だめだ。逃げられると困る。俺ももうスイッチ入っちゃったからな。悪いが覚悟してくれ」  
「っ!!」  
さすが体育教師といったところか。  
人一人抱えているというのに早乙女の足取りに不安定さはまったくない。  
玲は早乙女の胸板に頭を預けてうっとりする。  
スイッチは完璧に入ってしまったようだ。  
 
台風の影響でガタガタと揺れる窓。  
薄暗い廊下を歩き、辿りついたのは宿直室からほど近い保健室。  
中に入るとベットの一つに玲を横たえさせる。  
「あ〜…最後に一応聞いておくが、ほんとにいいんだな?」  
「…ええ」  
「後々訴えたり教育委員会や関係者にたれ込んだりしたら泣くからな」  
「それも面白そうですね」  
そう言ってくすくす笑う玲に早乙女はサッと口付ける。  
不意をうたれた玲の目が見開かれる。  
しかし、すぐにトロンとした目になり、そのままキスを受け入れる。  
もっとも、ディープやフレンチなどという濃い、激しいものではないのですぐに離れる。  
「そーいうこと言う口は塞ぐぞ」  
「…塞いでから言わないでください」  
拗ねたような口調だが、目は笑っている。  
「まあ訴えたかったら訴えてくれ。もう腹はくくった」  
「しませんよ、訴えたりなんか」  
 
「…そうか」  
ベットに横たわる玲の頭のサイドに両手をつく。  
近距離で見詰め合う両者。  
「…橘」  
「はい」  
「ほんとに、いいんだな?」  
「…はい」  
「今ならまだ止まれる。けど、これより進んだらもう…止まれない」  
早乙女の最後通告に玲は僅かに顔を持ち上げ、口付けすることで答える。  
そして彼もそれに答えた。  
もう言葉はいらない。  
「ん…ふっ……」  
唇だけでなく、頬、おでこへとキスの雨を降らせる。  
その過程で早乙女はあることが気になる。  
「眼鏡取るぞ」  
「あ、はい」  
少々邪魔だった眼鏡をはずし、自分のポケットに仕舞う。  
「む」  
「? どうしました?」  
「眼鏡取るとかなり印象変わるな」  
「そうですか?」  
「おう」  
そう言って瞼に、目尻に、鼻先にキスをする。  
「先生」  
「ん?」  
「キスするのお好きなんですか?」  
「されるの好きだろ?」  
質問に質問で返され赤くなる。  
素直に頷くと早乙女はにっと笑い、口にやや長いキスをする。  
 
「よく出来ました」  
「……ばか」  
拗ねたようにそう言うと、なだめるように頭を撫でられる。  
その際に髪を結っていたゴムが外れ、長い髪が零れ落ちる。  
「あ、悪い」  
「気にしないでください。また後で結ぶだけですから」  
「そうか?」  
「はい」  
それならばと早乙女は長い髪を指先で弄ぶ。  
「よく手入れされてるな」  
「わかるんですか?」  
「……すまん。適当に言った」  
「………」  
「いや!しかしだな、手触りがすごくいいしいい匂いがするからケアには時間かけてるんだろうなぁと」  
「まあ確かにそうなんですけどね」  
「俺は好きだな、この髪」  
「………」  
「顔が赤いぞ」  
「…ばか」  
もう何回目のこの言葉だろうか。  
尖らせた口にまた口付ける。  
互いに舌を絡ませ、激しく求め合う。  
「ん…」  
「ぷぁ」  
ようやく離れた二人の間に唾液の橋が掛かる。  
「服、脱がすぞ」  
「…はい」  
玲の服を脱がしに掛かる。  
ボタンを外し、前をはだけると、白の清潔そうな下着に隠された大きな胸が現れる。  
 
すぐにも触れたい所だが、まずはその前に、  
「橘、ばんざいしろ。はい、ばんざーい」  
「?? ばんざーい」  
素直に両手を上に差し上げるとそれを利用してシャツを脱がされる。  
「先生…」  
「ん?」  
「言ってくれれば自分で脱ぎますから!」  
「いや、こっちの方が楽しいし」  
そう言って笑顔を浮かべる早乙女の様子に玲は何か…釈然としないものを感じる。  
が、  
「んっ!!」  
下着の上から胸を攻められそんな感情はどこかに行ってしまう。  
手の動きに合わせ、形を変える玲の胸。  
柔らかい事は柔らかいのだが、まだ芯に固さを感じる未成熟な胸。  
細心の注意を払って攻める。  
「痛くないか?」  
「だい、じょうぶ……でも」  
「でも?」  
「なんか……んっ!……くすぐったいような……すごく…せつない……」  
「そうか…」  
少し強めに揉んでみる。  
「っ!」  
「あ、悪い。痛かったか?」  
「少し…」  
「そうか」  
改めて胸をもにゅもにゅと揉む。  
で、言葉攻め。  
「む〜…それにしても大きな胸だな」  
「そ、そんなこと言わないでください!」  
 
「いや、しかしだな、このボリュームはなんて言うか……すごいぞ」  
「……」  
その言葉に玲の顔がふにゃっと歪む。  
「おいおい、そんな顔するなよ」  
「だ、だって…」  
「悪い意味じゃないんだから。そんな泣きそうな顔しないでくれ」  
そう言って下着をずりあげ、胸を露出させる。  
「あっ!」  
「キレイな色してるな」  
乳首を指で挟み刺激すると、玲が嬌声を上げる。  
「ひゃぁぁぁぁ!」  
「なかなかに敏感だな」  
「そんな……」  
ふと、悪戯心が湧きあがる。  
「なあ橘」  
「はい?」  
「自分でここをいじった事とかはあるのか?」  
「そ、そんな!……んっ!」  
乳首を摘み上げられ声を詰まらせる。  
「なあ、答えてくれよ」  
「あ、ありません……」  
「本当か〜?」  
「ほ、本当…っ!」  
つまんだ指に少し力を入れると玲の体がビクンッとはね上がる。  
「ほらほら、ほんとの事を言ったらどうだ?」  
「そ、れは…」  
「ん?どうなんだ?」  
「たまに……あります」  
望んだ答えを引き出し、早乙女はにんまりと笑みを浮かべる。  
 
「そうかそうか。自分でいじった事があるのか。なるほどなるほど」  
まるで鬼の首を取ったかのような物言い。  
玲にとってはそれは少々酷な物であり、  
「ふぇっ…ふぇぇぇ……」  
「おうっ!!?」  
玲の目尻に涙が浮かぶのをみて早乙女は顔色を変える。  
「ぐすっ………酷い……」  
「す、すまん!俺が悪かった!」  
抱きしめて謝るが涙は止まらない。  
自分のバカさ加減に呆れてしまうが、他にどうする事もできず玲の体を抱きしめてただひたすら謝る。  
しばらくして玲はようやく泣き止んでくれる。  
「…すまん。無神経だった」  
すんすんと鼻を鳴らす玲に再び謝罪。  
拗ねた様子の玲は潤んだ瞳で睨んでいたが、やがてその目を閉じて、ねだる様に口を突き出す。  
その意味に気づかないほど早乙女も鈍くもバカでもない。  
差し出された口にそっと口付ける。  
舌を入れない、触れるだけのキス。  
「悪かった」  
「…もういいですから」  
「すまん。なにせ久しぶりの事でちょっとテンションがおかしくなってるみたいだ」  
「…どれくらいぶりなんですか?」  
「大学時代以来だから…結構なものだな」  
「その間に彼女とかいなかったんですか?」  
「大学時代まではいたんだけどな。卒業する時に別れたから」  
「どうして別れたんです?」  
「なかなかに突っ込んでくるなぁ」  
苦笑する早乙女。  
すいませんと玲は謝るが、笑顔でそれに答える。  
「まあ大学って所は全国から学生が集まってくるからな。  
卒業して地元で就職しようとするとバラバラになるんだよ」  
 
「……もしも、もしもですよ」  
「ん?」  
「もしも、またその時の彼女にあったりしたら。縒りを戻そうとしますか?」  
不安そうな顔でそう聞いてくる。  
「いや、そりゃないだろうな。相手結婚したし」  
「そうなんですか?」  
「おう」  
「…よかった」  
安心した様子の玲をギュッと抱きしめる。  
「きゃっ!?」  
「抱き心地いいな、お前」  
「そ、そうですか?」  
「ん。スタイルもいいし」  
「…前の彼女より?」  
「今まで抱いた女の中で一番だ」  
「そうですか…」  
嬉しそうな顔をする玲に堪らなくなり、胸に吸い付く。  
「ひぁ!!そんな…あぁ!」  
登頂部を激しく吸い上げ、空いた方は手で嬲る。  
「せ、んせい…」  
「気持ちいいか?」  
「……は…んっ!」  
せつなげな声をあげる様子に自分も高ぶってくる。  
スカートを捲り上げると胸と同じ白のショーツがあらわになる。  
「…濡れてるな」  
「やぁ!そんな…んっ!……こと!!……」  
息も絶え絶えに言う。  
いきなりは刺激が強いだろうと、下着の上からスリットをなぞる。  
 
「はぅぅ!…はっ…」  
それだけで体を悩ましげにくねらせる。  
「胸のときも思ったんだが、なかなか敏感だな」  
「うぁ……ああ……ひんっ!」  
嬌声を聞きつつも、手は止まることはない。  
ショーツがべとべとに濡れ、その向こう側がすけてくる。  
「脱がすぞ」  
「まっ!やぁ!」  
静止の声を振りきり、一気にショーツをずり下ろす。  
申し訳程度に茂った陰毛の下に濡れたスリットがあらわになる。  
手で隠そうとするが、前述の通り、力でどちらに分があるかは歴然。  
誰も触れた事がないだろうそこに吸いつく。  
「そんな!きたな――ひぁぁぁぁぁぁ!!」  
刺激が強すぎたのだろう。  
玲が悲鳴を上げる。  
自分で触った事があるかどうかを聞いてみたいところだが先ほどの二の舞はごめんだ。  
何も言わずスリットを存分に味わう。  
「や……はぁ!……あぁ…………くぅ!」  
せつなげな声を上げる玲。  
「指いれるぞ」  
「え………つっ!?」  
そこは指一本で一杯一杯。  
激しく閉めつけてくる。  
「橘、力を抜け」  
「だっ…て……くぁ」  
おそらく初めての異物侵入であろうそこは激しく抵抗する。  
ならばとクリトリスを刺激してやる。  
「やっ!そこは!……ひぅ!!」  
 
包皮を剥き、コリコリと指の腹で刺激してやると、  
「あぁぁぁぁあぁぁぁ!!」  
嬌声と共に膣がびくびくと収縮する。  
軽く達してしまった様だ。  
しばらくはぁはぁと玲の荒い息だけが場を支配する。  
「気持ちよかったか?」  
「…………」  
無言で頷く。  
「そうか……じゃあ、ここまでにしとくか?」  
「え……?」  
早乙女の言葉に玲は眉をひそめる。  
ここまで来たら最期まで…と覚悟していたのに拍子抜け、といった感じだ。  
「で、でも先生」  
「ん?」  
「先生は…まだ、その…気持ちよくなってないんじゃ…」  
イクという単語を使えず、真っ赤になる。  
「いやいやいや。胸の感触もたっぷり味わえたし、十分だよ、俺は」  
「でも!」  
「無理をすると辛いのはお前だ」  
「!!」  
玲の頭をポンポンと叩く。  
「だから、今日はここまでにしておこう。な?」  
それは、彼にとっての思いやり。  
無理をさせると辛い思いをするのは玲だから。  
だから…己を律する。  
制御する。  
教師としての最後の意地。  
だが、  
「私は、大丈夫です」  
 
「橘…」  
「私は大丈夫ですから。先生にも、気持ちよくなって欲しいから。だから、お願いします」  
「……」  
「……」  
「……」  
「……」  
玲の瞳の奥に宿るのは…決意。  
揺るがぬ想い。  
「…わかった」  
「先生…」  
「正直このままだと俺としては辛いからな。でも、ほんとにいいんだな?」  
「はい。来て、ください」  
両手を広げ、誘う彼女。  
早乙女は手早く服を脱ぎ、その手に誘いこまれる。  
「ほんとにいいんだな?」  
「はい」  
「後悔しないな?」  
「はい」  
「かなり痛いぞ?」  
「大丈夫です」  
「……」  
「まだ何か?」  
「…訴えないでくれよ」  
「大丈夫ですよ」  
にこりと笑みを見せる玲。  
「じゃあ、行くぞ」  
「…はい」  
狙いをつけ、ゆっくりと腰を進める。  
割れ目をかき分け、奥へと進む。  
 
「いっ!……くぅっ!…」  
「……」  
玲が苦しげな声を上げるがさらに推し進める。  
やがて何かに突き当たるが、  
「一気に行くぞ」  
「は……い…」  
一気に腰を推し進める。  
「ああああああああああああ!!!」  
ぶちぶちと、何かを引き裂く音と絶叫が耳朶を打つ。  
そして早乙女のモノを痛いほどに締めつける。  
「いやっ!いたぁぁぁ!」  
「橘!」  
「痛い!…痛いぃぃぃ!」  
冷静で、物静かな玲が泣き叫ぶ。  
よほどの痛みなのだろう。  
少しでも楽になるようにと、早乙女は胸とクリトリスを刺激するが、あまり効果は上がらない。  
どうしたものかと苦悩に眉をひそめるが、  
(ああ、そうか)  
すぐに気づく。  
絶叫を上げつづける玲の口に自らのそれを合わせる。  
暴れ狂う玲の舌を絡めとり、激しく絡み合わせる。  
徐々に玲も落ち着いた様子で、自分の意思で舌を絡み合わせてくる。  
ピチャピチャと卑猥な音が部屋の中に響く。  
濃厚に、濃密に、深く、貪るようなキス。  
「…どうだ?落ち着いたか?」  
「なんとか」  
「痛みはどうだ?」  
「最初ほどじゃないです…先生」  
「ん?」  
 
「動いてもいいですよ」  
「大丈夫なのか?」  
頷く。  
「じゃあ…ゆっくりな」  
言葉に甘え、腰を動かす…前に。  
玲の手を取り自分の背中に手を回させる。  
「先生?」  
「痛かったら爪を立てろ。俺も痛みを共有するから」  
「先生……」  
「じゃあ動くぞ」  
「はい」  
ゆっくりと、細心の注意を払って腰を前後させる。  
「ふっ!…くっ!……」  
苦しげな声を上げる玲。  
しかし、早乙女の背中に爪が立てられることはない。  
爪を立てないよう、拳を軽く握る様にしてしがみついているから。  
背中を傷つけない様、早乙女が傷つかない様。  
その事に気づき、ぐっとくる。  
「橘……」  
「ひっ!……なかで…おおきっ…くっ!」  
んでもってストレートに下半身に反映される。  
「ああ……せんっ…せい……」  
「くっ!」  
痛みを堪え様と玲も必死だが、早乙女も別の意味で必死だ。  
処女だった玲の中は最初こそ痛みを思わせる強力すぎる締め付けだったが今は違う。  
油断するとすぐにでも達してしまいそうになる。  
そこで下半身の動きを激しいものから穏やかな、左右に軽く動かすような物へと変える。  
すると玲の声色に変化が見られる。  
苦痛のうめきの中に僅かに艶が混じる。  
 
「気持ちいいのか?」  
「ひんっ!……すこ、し…ああっ!」  
「そうか」  
早乙女は大きな動きをやめ、揺するような掻き回すような運動に専念する。  
彼自身もそれだけで十二分な快楽を得られたから。  
だがそれでも。  
少しづつ、少しづつ。  
快感を求め動きが大きくなる。  
痛がっていた玲も慣れ、快感に身を委ねる。  
やがて両者に限界が訪れる  
「橘…そろそろ…」  
「わ、私も…げ、んか、ああ!」  
「くっ!」  
「ああああああ!!」  
玲が一層強く締めつけると同時に早乙女は精を放つ。  
子宮に流れ込む熱いモノを感じ、玲もまた達した。  
窓の外は相変わらずの荒れ模様。  
二人の呼吸も荒れ模様。  
先に落ち着きを取り戻したのは早乙女。  
「大丈夫か橘?」  
「…はい」  
「の、わりにまだ焦点が定まってないようだが?」  
「大丈夫ですよ……ただ」  
「?」  
玲が意地悪く笑う。  
「今日は大丈夫じゃない日だったんですけれどね」  
「!!?」  
真っ青になる早乙女を見て玲はくすくすと笑う。  
「冗談です」  
 
「笑えない笑えない。勘弁してくれ」  
「すいません」  
なおもくすくすと笑う玲。  
早乙女は苦笑するしかない。  
笑いながら上体を起こそうとした玲だが、  
「っ!」  
辛そうに顔を歪めるのを見て早乙女が慌てて体を支える。  
「大丈夫か?」  
「ええ…まだなにか挟まってるみたいです」  
「……」  
「噂には聞いてましたけど、予想以上の痛さでした」  
「…すまん」  
何と言っていいかわからずとりあえず謝る。  
しゅんとした様子の早乙女を見て、玲はくすりと笑みを浮かべ唇を合わせる。  
「そんな顔しないでください。私は後悔なんてしてませんから」  
「橘…」  
「まあ、後々訴えるかもしれませんけど」  
「うぉい!!」  
「冗談です」  
「笑えない笑えない笑えない!!勘弁してください勘弁してください」  
「すいません。でも、これはどうしましょう?」  
そういってベットシーツを示す。  
玲からあふれ出た物と早乙女が放った物、純潔を証明する血がスクラムを組みべったりと付着している。  
「洗濯するのもあれだしな。朝一に焼却炉で焼くとしよう」  
「証拠隠滅ですね。でもばれませんか?」  
「ばれてもうまいことごまかすさ。心配するな」  
「そうですね」  
こつんと、早乙女の胸に持たれかかる。  
「橘?」  
 
 
「もう少し、こうしててもいいですか?」  
早乙女は答えない。  
変わりにそっと腕を回した。  
それが答え。  
外は荒れ模様。  
心は晴れ模様。  
 
おわり  
 

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