二人の出会いは突然のだった。  
 片や演劇部一年芹沢茜。普段から着ぐるみで行動するという大変に変な  
 クセのある彼女は今日もロボ子というロボットの格好で、先輩に頼まれ  
 た荷物を持って歩いていた。  
 ちなみにロボ子状態ではウランが漏れるので大変なのだそうだ。  
 もう一方は映研一年来栖柚子。普段はちゃんとした制服で、どっかの  
 演劇部員とは違い真っ当な彼女だが、なぜか今は某怪獣映画のような  
 着ぐるみを着て、これまた先輩に頼まれた荷物を持って歩いていた。  
 これが全くの偶然だということ以外、何も言うことはなかった。  
 
 ドンッ・・・・・・!  
 
 荷物のせいで前方不注意だった二人は、当然のようにぶつかった。  
 以前も似たような光景があったが、その時はお互いが気づき合い、  
 そして牽制しあっていた。  
 だが今は普通にぶつかり、普通に荷物を散らかし、普通に二人は  
 尻餅をついた。  
「うわっ・・・・・・」  
「きゃっ・・・・・・」  
 ドタッという音が二つ重なり、姿は違えどほとんど同じような格好で  
 二人は床に座っていた。  
「あいたたた・・・・・・、んもう、誰だよ一体」  
「はうぅぅ〜・・・・・・、いったいどなたですか?」  
 お互い正面を見ると、どこかで見た天敵の顔(?)だった。  
「あーっ! お前はあん時の怪獣!」  
「ふあぁ! あなたはいつぞやのロボットさん!」  
 指を指しあい叫びあう。幸い周囲には生徒の姿もなく、迷惑をかけて  
 はいないが、うるさいことには変わらなかった。  
 
(あいつ、まだ怪獣映画撮ってるみたいだな。というか、怪獣映画で  
 怪獣役ってことはある意味主役なのか? それだけあいつは演技に  
 優れてるってことか? くそ〜、羨ましい・・・・・・)  
 勘違いしたまま逆に羨ましがる芹沢。  
(またあのロボットの着ぐるみを着てます。はっ! さてはああやって  
 普段から体を鍛えてるんじゃ。なるほど、どおりで着ぐるみを着たまま  
 あんなにも動けたんですね。うぅ〜、敵ながらあっぱれです)  
 思い込んだまま逆に関心する来栖。  
 すれ違いがすれ違いを生む連鎖反応。  
「ふ、ふん。まだ映画完成してないみたいだな。どこぞの怪獣が演技が  
 ヘタだと、まだまだ完成しそうにもないな」  
 適当に皮肉を言うと、  
「そ、そっちだってまたロボットですか。それだけ演技の幅が狭いって  
 ことですか? 他の格好をさせてもらえないんでしょ?」  
 苦し紛れに返す。  
「う〜!」  
「ぬー!」  
 着ぐるみの格好のままで睨みあう。とてもシュールな光景だ。  
 しかし睨みあっても何も変わらないと思ったのか、無言で荷物を集め、  
 持ち直すと、  
「か、顔洗って待ってろ!」  
 それを言うなら首である。  
「あ、明後日きやがれです!」  
 明後日じゃなくて一昨日だ。  
 そんな指摘をする人はいないので、間違いがそのまままかり通った。  
 そして二人はその場をあとにした。  
 
 それから時間が経って、放課後になった。  
 中庭のベンチに芹沢は着ぐるみを脱いだ、制服姿で座っていた。  
「はぁ・・・・・・」  
 深いため息を吐く。理由は映研の怪獣だった。  
 中に入っている人物がどんな人だかはまだ知らないが、主役に近い役  
 を演じられるほどの実力を持っているのが羨ましい。  
 そりゃ確かにあと一年くらいすれば、一回くらいは自分も主役に近い  
 役をやれるかもしれないが、あれだけ堂々と見せ付けられれば、  
 嫌でも意識させられる。  
「考えただけで気分が鬱になってくなー。うーあー」  
 変な泣き声まで出てくる始末。  
 と、そこへ、  
「あ、芹沢さんこんにちわ」  
 怪獣姿ではなく、ちゃんと制服の格好をした来栖が来た。  
 お互い着ぐるみを着ているのが、今目の前にいる相手だとは知らない。  
 幸いこうしてちゃんとした素顔の時は仲が良いので問題はないのだが。  
「あ、来栖。どうしたこんなトコで」  
 ベンチの間を空けて、隣に座るスペースを作る。  
「ど、どうも。どうしたんですか? ため息なんか吐いて」  
「み、見てたの。うん、ちょっとね。来栖も演技に興味があるんだよね?  
 実は私もあるんだけどさ、自分に実力があるのかどうか考えちゃって」  
「えっ、じ、実は私も悩んでたんです。私も演技に不安があって、しかも  
 私体力も無いんです。だからどうしてもこのままじゃダメだって  
 思うんです」  
「そーなんだ。はぁ、どーしたらいいんだろうね?」  
「どうしたらいいんでしょう・・・・・・」  
「じゃあ、二人で練習し合ったら?」  
 突如として現れた第三者の声に、二人はビックリした。  
 その第三者は普通に二人の間に座っていて、いつの間に座ったのか  
 分からなかった。  
 
 髪が長くてメガネをかけた背の高い女の子。橘玲だった。  
「きゅ、急に現れるな玲っ! ビックリするだろ!」  
「はわわわわ・・・・・・」  
 芹沢が思いっきり抗議の声を上げるが、玲は絶対零度の意思で持って  
 無視した。  
「つまりだ、この本を貸すからこれを台本代わりにして練習してみて  
 はどうだ? なぁーに礼はいらない。そうだな、ここじゃ人が来ない  
 という保障はないしな。空き教室を教えてやるからそこで思う存分  
 練習するといい。さあいくぞ」  
 一気にまくし立てる玲に無理矢理連れて行かれる芹沢と来栖。  
 あれよあれよという間に気づけば誰もいない教室に連れてこられていた。  
「あ、おい、ちょっ、まっ、れ、玲っ!」  
「ふわわわわわ・・・・・・」  
 背中を押されて芹沢は言葉が上手く発せず、来栖は問題外で、目を  
 回していた。  
 なぜか教室の机は一つ残らず片付けられていて、静かな空間が広がって  
 いる。  
「はいこれ。神様の事情により余分なページを省かせてもらったから。  
 この紙の挟んでる所からやって。この役をちゃんとこなすことが出来たら  
 きっと飛躍的に演技力とか体力とかその他諸々がアップしてるから」  
 言いたいことだけ言って玲は教室から出て行った。  
「・・・・・・・・・・・・・」  
「・・・・・・・・・・・・・」  
 残された二人は呆気に取られていた。  
 口が半開きでポカーンという表現がピッタリくる。  
「い、いったい何だったんだ玲の奴」  
「目が回りましたぁ〜」  
 二人の手には同じタイトルの小説があった。  
 小説というよりはライトノベル並みの大きさと薄さだった。  
 
「『百合の花園〜神様は見ている〜』? 何だこれ?」  
「う〜ん、私も初めて見たタイトルです」  
 表紙にはちょっと男の子っぽいボーイッシュな感じのする子と、  
 見た目からして守ってあげたくなるような、そんな母性本能やら  
 保護欲に駆られるような女の子が描かれていた。  
「・・・・・・ま、まああの玲が言うんだ。きっといい作品なのかも  
 しれないぞ? とりあえずやってみよう」  
「そ、そうなんですか。分かりました、やってみましょう」  
 そして二人はページを開いた。  
 
『柚子、ボクの我がまま聞いてくれてありがとう』  
『いいのよ茜ちゃん。それより私に用って何?』  
 開いたページの最初のページがそう書かれていた。  
 それを二人が分担して読むことにし、どんな偶然が重なったのか、  
 二人の名前が登場人物の名前と一致していた。  
 それが玲によって作られた偶然なのか、本当の偶然なのか、神のみぞ  
 知る。  
 ちなみに内容としては、芹沢扮する茜が中途半端な時期に女子中に  
 転校してきて、最初に仲良くなったのが来栖扮する柚子だった。  
 二人は頻繁に遊ぶようになったが、ある日茜の行動が原因で柚子が  
 少しばかりの怪我することになった。それで茜は深く心を痛めたが、  
 柚子は優しく微笑み許してくれた。その時茜の心の中で何かが  
 締め付けられる。それが何なのかに気づいた茜が柚子を誰もいない  
 教室に呼び出した。  
 というのが芹沢と来栖の台詞の前のページ以前に書かれている。  
「ははっ、同じ名前だと少し恥ずかしいね」  
「う、うん」  
 照れたように芹沢が言うと、来栖も恥ずかしそうにはにかんだ。  
『あ、あの柚子。怪我はもう本当に大丈夫?』  
『ええ。お医者様ももう平気だって。茜ちゃんありがとう』  
 来栖が台詞を言うのと一緒に足の方を見て、芹沢の方を向いて微笑んだ。  
 シナリオ通りに台詞と行動する。  
『どうして柚子がありがとうって言うのさ』  
 芹沢が悲しそうな表情を作って俯く。体を小刻みに震わせ泣きたくなる  
 という表現をちゃんと表している。  
『だって茜ちゃん私の心配してくれたんでしょ? だからお礼言ったの』  
 首を傾げて嬉しそうに微笑む来栖。  
『だ、だってあれはボクが悪いんだよ? 柚子は悪くないのに』  
『違うよ。私がもうちょっと動けたら良かった話なんだもん。  
 もうそれは終わった話でしょ!』  
 
 来栖は明るく言うと震える芹沢の手を取って励ました。  
『そうよ茜ちゃん。茜ちゃんは私に話があったんでしょ? なーに?』  
 真っ直ぐ目を見て明るい顔で首を傾げた。  
 芹沢も来栖の目を真っ直ぐ見て、真剣な表情を作る。  
『柚子・・・・・・、ボク柚子のことが好きだっ!』  
「って、えええええぇぇえぇぇぇぇぇぇ〜!」  
 言った本人が一番ビックリしていた。  
「ふわわわわ・・・・・・、こ、これってぇ〜」  
 ま、いわゆる百合、というやつだった。というかタイトルと表紙で  
 気づけ。  
「れ、玲の奴なんてもん渡してんだよっ!」  
「で、でも玲さんって人は凄い人なんですよね?」  
「そ、そりゃそうだけどさ、なんだってこんなもん渡したんだあいつ」  
「演技の勉強に良いって言ってましたし、貸してくれるくらいだから、  
 一応内容には目を通してるんじゃないですか? その上で一番私達に  
 合うのを選んでくれたんじゃ?」  
 どこまでも良い人な来栖はそう言うが、芹沢には玲がそこまでする  
 とは到底思えなかった。  
 思えなかったが、二人で練習という案は良いと思っている。  
 考えに考え、さすがにこういう展開だと純愛物だろうと先も読まずに  
 推理し、仕方なく続けることにした。  
『クラスに馴染めなかったボクに優しくしてくれたし、いつもボクと一緒  
 にいてくれた柚子がボクにとって大切な人になってたんだ』  
 芹沢は先ほどのうんざりとした表情をガラリと変えて、真面目な表情  
 をさせた。力んだ感じを表すつもりで顔を赤くさせている。  
『あ、茜ちゃん・・・・・・。私達女の子なんだよ?』  
 とまどいの表情をさせる来栖。  
『分かってる。分かってるけど、ボクは柚子のことが好きなんだ。  
 他の女の子や男の子だと感じたことの無い想いが柚子にだけあるんだ。  
 周りから見ればおかしいのは分かってるけど、それでも・・・・・・、  
 それでもボクは柚子と一緒に居たいんだ』  
 
 その芹沢の真剣な台詞に来栖自身がなぜかときめいていた。  
 まるで本当の告白を受けたかのように頬を染め、相手の真摯な想いを  
 受け、潤んだ瞳で芹沢を見つめる。  
『茜ちゃん・・・・・・。嬉しい、本当に嬉しい・・・・・・。ひっく』  
 来栖が目に溜めた涙を本当に零し始め、両手を顔を覆う。  
 内容はともかくとして、二人は真剣に演技していた。  
『柚子、泣かないで。柚子が泣くとボクも泣きたくなっちゃから。  
 それで、その、返事を聞きたいんだけど。あのっ、でもっ、返事は  
 今じゃなくて良いから! 柚子の気持ちの整理がついてからでいいから。  
 じゃ、じゃあね』  
 慌ててとりつくってから、立ち去ろうとする芹沢の腕を来栖は掴んだ。  
『待って茜ちゃん・・・・・・』  
『えっ・・・・・・?』  
 振り返った芹沢の目に映ったのは、やや俯きつつある来栖。  
『私も・・・・・・、私も好きだよ。私も茜ちゃんのこと大好き』  
 告白という行為が恥ずかしいのか、それとも役に入りきっているのか、  
 来栖の顔はトマトよりも赤く、それが逆に真剣味を出していた。  
『ゆ、柚子、本当? 今言ったこと本当? ねえ柚子ぅ・・・・・・』  
 おぼつかない足取りで芹沢は来栖の傍に寄る。  
 抱きしめるように腕を伸ばし、手だけで背中を抱く。  
 二人の距離は五十センチもない。  
『嘘じゃないよ茜ちゃん。私今まで茜ちゃんに嘘吐いたことある?』  
 芹沢は首を振る。  
 涙が頬を伝い、雫となって落ちる。  
『嬉しい。嬉しい。柚子がボクのこと好きだって言ってくれた。  
 夢みたい。ボク・・・・・・ボク・・・・・・』  
 芹沢が震えながら言うと、そんな芹沢を来栖はそっと優しく抱いた。  
 耳元でそっと囁くように言う。  
 
『夢じゃないよ茜ちゃん。私も嬉しいんだよ? 泣かないで。  
 さっき茜ちゃん私に言ったでしょ? 私が泣いたら茜ちゃんも  
 泣きなくなるって。私も一緒だよ? だから、ね? 泣かないで』  
『う、うん。うん。ありがとう、ありがとう柚子・・・・・・』  
 芹沢と来栖は体を離し、見詰め合う。  
 演技という枠を越えて、臨場感たっぷりの雰囲気がこの教室に、  
 二人を包み込んでいた。  
『柚子・・・・・・』  
『茜ちゃん・・・・・・』  
 愛しい相手の名前を呼び合い、二人は現実を忘れて顔を近づけていく。  
 自然に目を閉じ、それでも相手の顔の位置はしっかりと把握出来ている。  
 息が顔にかかるほど近く、存在を全て認識する。  
 柔らかな唇が静かに重なり合う。  
 長く、離れるのを嫌がるかのようにずっと、二人は口付けしあう。  
 大人のようにディープなものではない。けれど大人よりも心を込めて、  
 そんな感じのキスを二人はした。  
 そして二人はゆっくりと顔を離し、お互いを見詰め合った。  
 自然と表情が笑みに変わり、頬をピンク色に染める。  
「来栖・・・・・・」  
「芹沢さん・・・・・・」  
 役名ではなく、ちゃんとした名前で二人は呼び合い、  
 そしてまたキスをした。  
 甘い時間が流れる。  
 二人は今この瞬間一つになった。  
 
 高校生なのに知識の乏しい来栖と一応知識だけはある芹沢。  
 芹沢のリードで行為はエスカレートしていく。  
「芹沢さん、名前で呼んでくれますか?」  
 その問いに頷く芹沢。  
「柚子・・・・・・」  
「茜ちゃん・・・・・・」  
 名前を呼び、三度のキス。  
 芹沢の舌が来栖の口の中へと侵入する。  
 わずかな抵抗を見せた来栖だったが、それも少しだけで、自分の口の中を  
 開放した。ぎこちなさなど微塵も感じない。  
 舌と舌を絡ませ、口内を舐める。唾液の交換をし、飲み込む。  
 そしてお互いの味を堪能しあう。  
 芹沢は来栖の舌の味が好きだった。  
 マシュマロのように柔らかく、紅茶が好きなのか微かに紅茶の味がした。  
 執拗に来栖の舌を舐める。  
 来栖は芹沢の口の中の味が好きだった。  
 ほんのり甘く、デザートにケーキでも食べたのか、甘酸っぱい味がした。  
 唾液に移った味を何度も味わった。  
 二人がゆっくりと顔を離すと、唾液の糸がまだ二人を繋いでいたが、  
 すぐに切れた。  
「柚子・・・・・・、もっと柚子を味わいたい・・・・・・」  
「うん・・・・・・、いいよ茜ちゃん」  
 来栖は自ら制服を脱ぎ、床に置いた。  
 真っ白で柔らかそうな裸体が一つ。  
 恥ずかしいのか全身がほんのりと朱色に染まっている。  
「綺麗だよ・・・・・・柚子」  
「本当? 嬉しい茜ちゃん」  
 芹沢は来栖を抱きしめながら、ゆっくりと床に寝かせた。  
「床、冷たくない?」  
「ううん。茜ちゃんが傍にいるから温かいよ」  
 ニコリと微笑む来栖。  
 
 そしてキス。今度は軽く。  
 芹沢は口を少しずつずらしていく。  
 首筋、肩、鎖骨を通って反対側の肩や首筋を何箇所にも渡って吸い付く。  
 耳の裏や、耳たぶを吸うと、来栖は切なげに声を漏らした。  
 一度口を離すと、来栖の体には赤い斑点のようなものが肩の位置から上に  
 何箇所も出来ている。  
 ピンク色の身体よりも赤いそれはなかなか消えない。  
 来栖に残した自分の痕を見て、芹沢は微笑んだ。  
「柚子の身体、さっきよりもずっと綺麗になったよ」  
「は、恥ずかしいよぉ、茜ちゃん。言わないでぇ〜」  
 顔を真っ赤にした来栖の言葉に芹沢は恥ずかしさを覚えたが、  
 動くことで忘れようとした。  
 最近やっと成長を始めた来栖の胸。  
 その胸の右を右手で包み込むようにして揉んだり、硬くなった先端を  
 親指と人差し指でこねたり、摘んだりする。  
 その刺激が快感となって来栖に声を出させる。  
「はああぁぁぁん! あ、茜ちゃん・・・・・・」  
「柚子の胸、柔らかくて気持ちいいよ。んむ」  
 芹沢は左の胸を左手で揉み、乳輪の周りから吸い付いたり、舌先を硬く  
 して舐めた。  
 焦らす様に、ゆっくりと円を描きながら。しかし円は着実に直径を小さく  
 している。  
「ふふっ、柚子の胸って甘いんだね」  
 そう言って円の中心に到達した舌先で、転がすようにいじる。  
 転がす度に来栖は気持ちよさげに声を上げる。  
「あっ、はっ、はうんっ! きゃふぅ、ひゃぁ、ん〜っ!」  
 口に含んだ乳首を口内で弄ぶ。  
 玉のように舌の上で転がる。そして硬度は増していく。  
「っん・・・・・・。柚子、気持ち良かった?」  
「はぁ、はぁ、はぁ、うん。気持ち良かったよ、茜ちゃん」  
 目を虚ろにさせながらも愛しき相手の顔をしっかりと見て、吐息を吐く。  
 
「もっと気持ち良くしてあげる。柚子が気持ち良くなってくれると、  
 こっちも気持ち良くなってくるから」  
「あ、ありがとう茜ちゃん・・・・・・」  
 芹沢は来栖の身体を愛撫し始めた。  
 舐めるように吸い付き、脇腹や臍を通って細い太ももやふくらはぎ。  
 これも全身に自分の印を付けるように何度も何度も痕を付ける。  
 そしてわざと最後まで残した部分に印を付けようとする。  
 すると、来栖の足が閉じられてガードした。  
「ご、ごめんなさい茜ちゃん。で、でも少し恥ずかしいのぉ」  
 心の底から申し訳なさそうに思っているのか、目に涙を溜めている。  
 顔が真っ赤で、泣き顔を隠そうと手で覆っているが、隠れ切れてなく、  
 逆にそれが芹沢に罪悪感を湧かせた。  
「ごめん柚子。全然柚子のこと考えてなかった」  
 そっと手をどかして、謝罪のキスをし、芹沢は制服を脱ぎ始めた。  
 全てを脱ぎ去り、来栖同様に裸体を現す。  
 そして頭と足の位置が交互になるようにまたぎ、右手でバランスを取り、  
 左手で自分の秘部を広げて来栖に見せた。  
「んっ、恥ずかしいぃ。でもほら見て柚子。柚子と一緒に居るだけで、  
 柚子と一緒にこうしてるだけでここが濡れてくるんだ。  
 柚子はそんな女の子嫌い?」  
 来栖は首を横に振る。  
「そんなことないよ茜ちゃん。茜ちゃんだって恥ずかしいはずなのに、  
 私、私・・・・・・」  
「いいよ柚子。一緒なら恥ずかしくないよね?」  
「う、うん・・・・・・」  
 芹沢は腰を下ろし、来栖は足の力を弱めた。  
 クチュ・・・・・・ピチャ・・・・・・。  
 淫靡な音が響く。  
 来栖はどうしたらいいのか分からないらしく、舐めるだけに徹している。  
 しかし芹沢は強弱や出し入れをし、刺激を繰り返す。  
 
 それ故来栖はただ舐めるという行為しか出来ないのだが。  
 舌先を硬くして、クリトリスをいじる。  
 快感が来栖の身体を襲い、背を仰け反らせて反応を見せた。  
「きゃふっ! し、痺れましたぁ・・・・・・」  
「柚子って感度良いんだね。こんなに濡れてる」  
 事実、来栖は芹沢以上に愛液を溢れさせていた。  
「そ、そんなぁ〜・・・・・・」  
 羞恥で顔がまた赤くなる。  
「それが良いんだよ」  
 言って芹沢は左手で再びバランスを取り始めると、右手を水気のたっぷり  
 な場所へとあてがった。  
 すぐに指は濡れ、ぬめりと共にクチュリと音が鳴る。  
「柚子、もっと舐めてくれる?」  
「う、うん」  
 言われた通り来栖は舐め始めた。芹沢の真似をしてか、強弱こそないが  
 出し入れをさせる。  
 芹沢は指をゆっくりと必要以上に刺激しないように入れた。  
「きゃっ!」  
 当然敏感に反応する来栖。  
 しかし芹沢の指を吐き出そうとしているわけでもなかった。  
「ゆっくり入れるから。力抜いて」  
 その言葉をすんなり受け入れたのか、指の締め付けはあっという間に  
 緩んだ。  
 それどころか芹沢の指が入っていくのに合わせて鼓動している。  
 指は何の抵抗もなく入っていくが、芹沢は最深部に到達する前に  
 入れることを止めた。  
 そして内壁を刺激しながら出し入れを繰り返す。  
 出す、入れる。この二つの動作をする度に来栖は快楽の声が出す。  
 しかし舐めることを忘れないで、声を上げると、舌が微妙な動きをし、  
 芹沢の中で来栖の舌はいやらしく暴れた。  
 
「ふわっ、ダ、ダメだよ柚子!」  
 芹沢も思わず背を反らした。  
 お互いもう絶頂へ到達するのは時間の問題だった。  
 そしてそれはすぐに訪れる。  
「あっ! イクッ! イッちゃうよ柚子っ!」  
「あ、茜ちゃんっ! わ、私もダメェ〜!」  
 プシッ! ピシャー・・・・・・。  
 示し合わせたかのように二人は絶頂の時を迎えた。  
 来栖は力が入らなくなり、体をダランとさせていたが、芹沢は  
 なんとか体を動かして来栖のそばへ寝転がった。  
 手を繋ぎ、見つめ合い、顔を徐々に近づけ、軽くキスをする。  
「柚子・・・・・・」  
「茜ちゃん・・・・・・」  
 名前を呼び合って存在を確認する。  
 そして二人は微笑みあった。  
 
 それからしばらくして二人が制服に着替え、廊下をキョロキョロと  
 誰もいないことを確認し、手を繋いだまま逃げるように出て行く様子を  
 見ていた人物がいた。  
 その人物は二人が教室に入る前から居て、二人の行為を全て見ていた  
 のだった。  
「ふぅ・・・・・・やっと出て行ったか」  
 窓から顔だけを覗かせて、確実にいなくなったことを確認してから窓を  
 開け、足をかけて入ってくる。  
「まさか、本当にやるとは。しかも台本通りに・・・・・・」  
 二人はキスシーンの後、台本つまり『百合の花園〜神様は見ている〜』を  
 置いて、自分たちのやりたいようにやっていた。  
 だが、台本のストーリーと同じだった。  
 話の中では茜と柚子はキスをし、服を脱いで茜のリードで行為を始めて  
 いき、柚子が恥ずかしいと漏らしたので茜も服を脱ぎ、そしてお互いを  
 舐め合い、共に絶頂を迎える。  
 そういう流れだった。  
 しかも手を取り合い、恥ずかしさで顔を赤く染め、逃げるように教室  
 から出て行くシーンまで同じだったりする。  
「しかしカメラを仕掛けておいて正解だったな。  
 これでバイト以外の収入が望めるってもんだ。  
 二人には悪いが、私のおかげで一応演技力もついた訳だし。  
 これはいたって普通の謝礼ってことで」  
 確かに役に感情移入するのは演技には必要なのかもしれないが、  
 だったら真面目な台本を渡してやれよ、的な話である。  
 教室に設置しておいたカメラを全て取り外し、これから先のことを  
 考えて自然と鼻歌を出してしまうC組の魔女こと橘玲だった。  
 
 後日談ではあるが、あれから二人は妙に仲良くなり、朝学校へ来るなり  
 どちらかの都合に合わせて会い、休み時間になると会うか携帯でメール  
 のやり取り。昼休みは一緒に昼食を食べ、のんびりと一時を過ごす。  
 放課後は都合がついたら一緒に行動するが、どちらか一方だけだと、  
 待ち合わせするようになった。  
 それでもお互い着ぐるみの時は犬猿の仲だったりする。  
 しかも運が悪いのか、どちらかが着ぐるみを着ている時は必ずもう一方も  
 着ているという始末。  
 いや、ある意味運がいいのかもしれないが、それが裏から手を回した  
 C組の魔女の最低限の情けだとは二人は知らない。  
 というか一生知ることはないだろう。  
 果たして中と外が一致するのはいつのことやら。  
 今日も二人は平和に過ごしたのだった。  
 

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